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【韓国コラム】はるか遠いノブレス・オブリージュ


ある世論調査会社が韓国社会では「ノブレス・オブリージュ」を見つけるのが難しいというアンケート調査の結果を発表した。

今更のようなことではない話だ。道徳性が指導者層の問題ばかりではないだろう。

社会階層を問わず韓国社会の道徳性が深刻なレベルだということには国民全体が共感している。

10年前の調査に比べて改善したと言うが、回答者の2人に1人は「韓国社会の道徳性が全般的に深刻なレベルだ」という認識を持っていることが明らかになった。アンケート調査に応じた人たち自らも自分の道徳性がむちゃくちゃだということに同意するしかないだろう。

先日、行われたソウルや釜山(プサン)市長選挙で与党の候補者たちが「ネロナムブル*」(ダブルスタンダード、同じ事に対して他人には厳しいが自分には甘い態度をとる)としか言いようがないと、冷厳に票で審判を下したが、ほとんどの韓国人はネロナムブルから自由ではないだろう。誰も知らないマンションや株式の情報を手に入れるなら貧しい人のお金を借りてでも手に入れようとする人がほとんどだろう。

*「自分がすればロマンス他人がすれば不倫」の略語

それでも社会的に名声と地位を得た指導者層、そして富裕層に対しては道徳的であることを願う気持ちが切実だ。

いずれにせよ彼らが韓国社会を導いていくからだろう。問題は指導者層の道徳性が底に落ちたということにある。成人男女1000人を対象にしたトレンドモニターによるアンケート調査で「韓国社会でノブレス・オブリージュがきちんと実践されている」と答えた人はわずか5.7%に過ぎなかった。

その中でも国会議員と政治家に対する評価は非常に低い。わずか2.1%だけが彼らを道徳的だと評価している。高位公務員(4.1%)、ジャーナリスト(5.8%)、大企業役員(5.5%)、財閥(5.7%)など指導層の中で道徳的という評価で10%を超える集団がいない。「社会で享受する分だけの義務を果たす上流階級が多い」ということに同意する人も15.4%にとどまっている。

指導者層がこうなのに韓国社会が機能するという事実は驚くばかりだ。

もしかしたら韓国人の大部分が腐ってしまったせいで自分の利益を追いかけて富と名誉を得た彼らに似ることを望んでいるのではないかと心配になったりもする。どう見ても国家から生計補助金をもらって暮らしていると見られる極貧層のおじいさん、おばさんたちが「ムンジェアン**は退け」とプラカードを持ってデモをしているのを見ると、そんな思いが消えない。

**文在寅(ムン・ジェイン)大統領を卑下する極右主義者たちの表現

このような追従者たちがいる限り指導者層の人々は態度を変えないだろう。一握りの追従者を見て、天下を握ったように行動するのが政治家の習性でもある。

イスラエル人たちはエジプトで奴隷生活を清算してカナンに入るまで40年もかかった。

近くにあっても荒野をぐるぐる回りながら一世代が終わってから、ようやく約束の地に足を踏み入れることができた。火柱が敵を遮り海水が割れて避難道が安全になる奇跡を目の当たりにしながらも「奴隷の道は、それでも人生を保障する」として金の子牛を作って敬拝しようという声に応えたからだ。

もしかしたら、一世代が終わってからノブレス・オブリージュが存在し、自らの基準でも道徳的だという評価を下す社会が到来するのではないかという気もする。だから青年世代だけでも彼らが嫌悪する不公正、不当の人生を歩まないことを願うだけだ。
  • Lim, Chul
  • 入力 2021-04-25 00:00:00




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