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自動車の鋼板開発のために輸入車を年23台解体

唐津製鉄所最上部「現代製鉄の心臓部」技術研究所に行ってみた 

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△写真=現代製鉄技術研究所のスタッフがジェネシス車両のシャシ構造を覗いている

「虫との戦い」忠清南道の唐津市(タンジンシ)に位置する現代製鉄冷延工場出入口に掲げられている警告表示だ。「製鉄所で虫との戦いとは…」。自動車鋼板のように薄く堅い鉄板を作る冷延工場では、虫が製品の表面に張り付くとすぐに不良品となるほど鋭敏な工程が進行されるからだ。現代製鉄が最高の品質を維持するために、どれほど努力しているのか端的に示す事例だ。冷延工場は温度と湿度が地下のワインセラーのように快適だった。高さの低いヴィラほどの冷延設備から低温熱処理を終えて出てきた鉄鋼製品はシャープペンシルの芯よりも薄い厚さの、繊維生地のようになって出てきた。冷延鋼は、建物の3~4階の高さまで跳ね上がってから降りて来ることを数回繰り返しながら、ますます薄くなって、黒色から銀色へとメッキされた。

現代製鉄は親会社が現代自動車であるだけに、自動車鋼板に対する自信があふれていた。唐津製鉄所のあちこちをツアーしながら、通常の一貫製鉄所というよりも、「自動車のための」製鉄所という感じを強く受けた。その中でも中心は、製鉄所内で最も高いところに位置する技術研究所だ。一般的な鉄鋼研究所より、自動車素材研究所に近いところだった。

2008年に最初の高炉が安定的に稼動し始めながら、研究所の中核は、より良い自動車鋼板を作る自動車鋼材センターに向かって集められてきた。自動車鋼材センターは、自動車の車体とシャシ、主要部品などの自動車素材の研究を行う。研究開発(R&D)への投資を続けてきたため、いつの間にか技術研究所の施設と空間が不足し、R&D施設を増築している。

技術研究所の中に入ると、分解分析室が目に飛び込んできた。縦方向に切断された外車が並んでいたからだ。各種車両から抜き出した様々な部品が車種と部品名が描かれた名札をつけて陳列されていた。ト畜場に入ってきた牛を完全に分解して部位別にかけておいたような感じだ。ここでは、毎年車体(鋼板)の分析のために約8台、シャシ分析用に約15台の海外有名車種を買って持ち込んできて分解しているという。世界的に性能が検証された車両の内部を入念に分解して、目に見えないところで車両の性能を支える技術と工法を探すためだ。ここで何かを発見した場合、現代自動車と現代製鉄、その他の関連会社まで力を合わせて新技術を適用することができる方案を探す。

実際に現代製鉄は最近、ドイツ車を分解・分析したおかげで、核心部品の重量を削減して、耐久性を高める成果を収めた。前輪とサブフレームを接続するロアアームの場合、従来は上下二つの板で接続していた構造を高強度単板型に交換して約20%の重量減少効果を上げた。研究所のこのような成果は、独自のR&D能力がない中小の自動車部品メーカーに広がっていく共生協力事例として挙げられている。技術研究所のR&Dによりアップグレードされた新型部品が現代車新車に適用され、部品メーカーは新型部品を現代以外の他の自動車メーカーへも売りながら競争力を育てるという方式だ。

技術研究所は、鄭夢九(チョン・モング)現代自動車グループ会長のチャレンジ精神が宿っている「現代製鉄の心臓」と呼ばれる。唐津製鉄所を建てる前から最も高い地帯に研究所を先に建設して工事現場のコントロールタワーにしたのもそのためだ。当初の予想より早い時間内に高炉を安定化できたのも研究所のおかげだという評価がある。技術研究所の研究員は、「最初は大型製鉄所を私たちが上手く運営できるか心配したのは事実だが、不可能に見えることも、最終的に成し遂げてしまう『現代自動車の精神』が発揮された」と述べた。
  • 毎日経済 唐津(忠南)=チョン・ボムジュ/写真提供=現代製鉄 | (C) mk.co.kr
  • 入力 2015-10-01 17:29:44




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