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韓コスモ新素材、AIでバッテリー陽極材製造


  • 韓コスモ新素材、AIでバッテリー陽極材製造

「業界初でスマート工場ベースのニッケル・コバルト・マンガン(NCM)陽極材の生産工場を増設しただけに、差別化された品質で2次電池用陽極材市場で勝負します」

コスモ新素材(Cosmo AM&T)のホン・ドンファン代表(写真)は、忠清北道忠州市の本社に310億ウォンを投資して増設した工場を紹介し、2次電池用陽極活物質(陽極材)事業に対する強い自信を示した。最近は国内バッテリー3社の陽極材に対する需要の急増で、国内主要陽極材メーカーのエコプロビーエム(ECOPROBM)、ポスコケミカル(POSCO CHEMICAL)、エルアンドエフ(LANDF)が競争的に増設しているなかで、コスモ新素材が本格的に追撃に乗り出したものだ。

コスモ新素材は今回の増設設備に国内業界初で人工知能(AI)技術を導入し、競合他社との差別化に焦点を置いた。全工程を自動化することはもちろん、「デジタルツイン技術」を通じて品質も安定的に確保する計画だ。デジタルツインは現実に発生する可能性のある状況をコンピュータでシミュレーションすることによって結果を予測する技術で、コスモ新素材は顧客のニーズを1次的にコンピュータでシミュレーションし、最適の配合比を導出して陽極材を生産することになる。

また今回の増設によって、コスモ新素材は年間約2万トン規模のNCM陽極材を生産できるようになった。未来アセット証券によると、陽極材事業の売上げは今年の2522億ウォンから来年は3586億ウォンに大きく高まると予想される。

昨年は営業利益の黒字転換に成功したコスモ新素材は、これまでサムスンSDIに小型陽極材のみ供給したが、昨年からは電気自動車用陽極材の供給を本格化した。陽極材はバッテリーのエネルギー密度を決定する重要な要素だ。現在はLGにバッテリー用陽極材としてNCM622(ニッケル60%、コバルト20%・マンガン20%)を、サムスンSDIにはNCM523(ニッケル50%、コバルト20%・マンガン30%)を供給している。

ホン代表は「昨年は陽極材と離型フィルムの比重が50対50だったが、今年からは設備増設を通じて陽極材の割合が大幅に高まって、3~4年以内には売上全体の80%以上を占めるだろう」とし、「今後は陽極再生産を最大で年間10万トンまで増やすつもり」だと語った。

生産拡大と同時にハイニッケル陽極材と次世代全固体電池の核心素材である単結晶陽極材の開発にニッチ市場も攻略する計画だ。

このためにサムスンSDI、韓国電子技術研究所、韓国電気研究院などと多様な産学研コンソーシアムを構成し、ニッケル含有量90%以上の高強度・高容量陽極材、全固体電池用ハイニッケル系陽極材などを開発している。特に次世代全固体電池の核心素材である単結晶陽極材の開発にも積極的に乗り出している。現在の市場の主流である多結晶陽極材は、バッテリー製造工程と充・放電過程で壊れる欠点があり、バッテリーの寿命と性能低下の原因として指摘されてきた。しかし単結晶陽極材はひとつの粒子であることから容易には壊れず、全固体電池に適した次世代素材として注目されている。

中・長期の目標としては、陽極材の主原料であるバッテリー前駆体の国産化も推進する計画だ。コスモ新素材の親会社であるコスモ化学(COSMO CHEMICAL)は、国内唯一で硫酸コバルトを生産する企業だ。また高純度溶媒抽出技術を活用し、鉱石やNCMスクラップから高純度の金属だけでなく、前駆体の原料を生産している。先だってコスモグループは昨年、サムスンSDIの陽極材子会社であるエスティエム(STM)の前駆体設備を買収している。これによって年末には硫酸コバルト、前駆体原料、前駆体、陽極材まで垂直系列化の構築が可能となる展望だ。

ホン代表は「コスモグループの二次電池素材の垂直系列化が完成したら、前駆体から陽極材までの技術開発期間の短縮と独自技術の保有が可能となり、顧客のニーズに合った陽極材を開発することができる」と説明した。

一方、コスモ新素材の二大軸の一つである積層セラミックコンデンサ(MLCC)の核心素材である離型フィルム事業も手堅く伸びている。 MLCCは電子回路に接続された半導体チップのような主要部品に、電流が安定して流れるように制御する小型部品だ。スマートフォンをはじめとする各種IT機器だけでなく、生活家電や自動車に数千個以上が使用され、MLCCの製造に必須で使用される離型フィルムの需要も大幅に増えている。国内ではコスモ新素材が唯一で離型フィルムを供給しており、世界でも1位と評価される。ホン代表は「MLCCの需要の増加に対応するために、現在の月4500平方メートルから60%増の月7000万平方メートルまで増設する計画だ」と語った。
  • 毎日経済 | アン・ビョンジュン記者
  • 入力 2021-07-08 17:47:13




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