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イスラエル企業、韓バッテリー企業と協業…「5分充電時代」開く


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イスラエルの革新技術ベンチャーのStoreDot(ストアドット)は、5分でフル充電が可能な「夢の電気自動車用バッテリー」を韓国で生産することに舵を切った。 SKイノベーション、LG化学、サムスンSDIなど韓国のバッテリー製造企業と手を組んで、世界の電気自動車市場の版図を覆そうというものだ。韓国のバッテリー企業との協業が実現すれば、通常は7~8時間かかる完全充電をわずか5分で終える時代が足早に近づく見通しだ。電気自動車の普及の最大の障害だった、充電時間の限界を解消することになる。

ストアドットの大株主であるYOZMA Group(ヨズマグループ)によると去る17日、ストアドットは韓国バッテリー3社と電気自動車用の急速充電バッテリー量産プロジェクトに対する議論に突入した。

サムスンSDIはグループ内のサムスンベンチャーズがストアドットに既に投資した状況であり、SKイノベーションもSKテレコムが既にヨズマグループと共同投資した経験がある。現代自動車グループも電気自動車用バッテリーの生産と充電インフラの構築など、さまざまなプロジェクトへの参加を検討していることが伝えられた。

ヨズマグループのイ・ウォンジェ アジア総括代表は「ヨズマグループのイガル・アリフ(Yigal Erlich)会長は、イスラエルの技術革新スタートアップと韓国の証明された製造インフラとの相乗効果を、世界最高の組み合わせとして確信している」とし、「ストアドットの5分フル充電電気自動車用バッテリーを韓国メーカーと量産しようということで、ストアドット経営陣の総意が集まったと聞いている」と語った。イ代表は「国内のバッテリー製造企業とストアドットのバッテリー量産のための議論を開始した」とし、「終局的にはイスラエルの技術と韓国の製造インフラが合わさったジョイントベンチャー(JV)を作り、国内で直接生産するのが目標」だと説明した。

ストアドットは電気自動車用の高速充電技術(extreme fast charging)を保有している革新的な技術ベンチャーで、2008年にスマートフォンのバッテリーを30秒でフル充電する映像を公開して世間の耳目を引き付けた。イスラエルのテルアビブ大学材料工学の研究員らが創業し、半導体のナノ素材を研究している途中でバッテリー分野に領域を拡張した。リチウムイオン電池の正極をこれまでの黒鉛から金属ロイド(シリコンを含む遷移金属)に交換し、イオンの拡散機能を活用して充電時間を大幅に改善した。同社は2019年に5分でフル充電できるスクーター用リチウムイオン電池を世に公開し、今年からは中国のバッテリー製造企業のEve Energy(イブエネルギー)と生産に突入した。ストアドットは2024年に電気自動車用の高速充電リチウムイオンバッテリーを量産する計画で、国内に生産インフラを構築するというものだ。

ストアドットの主要株主は世界第2位のエネルギーグループである英BP、日本の電子部品メーカーTDK、ヨズマグループ、独メルセデスベンツ、韓サムスン・ベンチャーズなどだ。特にBPは既存のガソリンスタンドを今後は電気自動車用の急速充電インフラへの移行という目標を持って、ストアドットへの大規模な投資を主導している。アリフ会長は過去のイスラエルの首席科学館時代にストアドットを発掘して育てた縁で、創業者と取締役会に相当な影響力を及ぼしている。中国と日本の電池メーカーがストアドットとのコラボレーションを必要とする状況で、韓国を最優先パートナーとして定めたのもエルランリフ会長の影響力のためだという分析だ。

特に中国のバッテリー企業は莫大な資金力を前面に出して、ストアドットの技術を土台に次世代電気自動車用バッテリーを先取りするという意欲が強い。しかし中国企業への技術流出の懸念がストアドット内部で提起されていることが分かった。またJPモルガンを主幹事と定め、来年の上半期にナスダック上場を計画しているストアドットは、最近になって激化している米・中紛争の顔色をうかがわざるを得ない状況だ。

一部ではストアドットの超高速充電技術に対する懸念も出ている。リチウムイオン電池は放電が早くなることがあるが、充電には一定以上の時間がかかるしかないとうのが既存の通説だ。

バッテリー素材メーカーであるエスエムラボを設立したチョ・ジェピル蔚山科学技術院(UNIST)特訓教授は「ストアドットは電気自動車用バッテリーで、商業的量産がほとんど不可能の技術を持っていると思う」とし、「BPのような大規模石油会社はあまりにも金が多く、将来の有望事業が切迫して莫大な金を投資しているが、実際のグローバルバッテリーメーカーからは何も検証されたものはない」と説明した。

ストアドットは革新的な技術を開発し発展させているが、商業的量産と海外の検証のためには韓国のバッテリーメーカーとのコラボレーションが不可欠だという傍証だ。
  • 毎日経済 | チョン・ボムジュ記者
  • 入力 2021-08-17 20:30:45




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