トップ >
数字経済 > 企業 > サムスン電子、ベトナム工場の生産能力を拡大し1万人を追加雇用
< サムスン電子 ベトナム工場 >
サムスン電子はベトナム北部のタイグエン省イエンビン工業団地の第2携帯電話工場の生産能力を、年産1億2000万台レベルから1億7000万台レベルに拡大する。このために、現在は3万1000人が働いている工場に、生産人力1万人を追加投入することにした。
携帯電話業界によると15日、サムスン電子は急速に追い上げてきている中国のスマートフォンメーカーのシャオミを締め出すための戦略の一つとして、ベトナム所在の第2携帯電話工場の生産能力と人員を増やし、来年の上半期からスマートフォンの生産量を拡大するにした。追加された人力の多くは、中・低価格のメタルスマートフォンの生産に投入される。ベトナム政府は、間接的な雇用誘発効果まで勘案した場合、3万人程度の雇用効果があると期待している。
金鍾重(キム・ジョンジュン)サムスングループ未来戦略室戦略1チーム長は先週末、ベトナム携帯電話第2工場の現場を訪問した。来年上半期の中・低価格メタルスマートフォンの生産が支障なく進行するかどうかを直接確認するためだ。
サムスン電子の関係者は、「世界的にスマートフォン市場の成長が止まっており、全体の生産量をむやみに増やすことはできない」とし、「市場で消費者の反応が良い、中・低価格のメタルスマートフォンの生産比率を高めるための措置」だと説明した。
サムスン電子は、去る9月にメタルデザインの高級スマートフォンGALAXY Alphaを発売したことに続き、今月あるいは来月初めに、中国で低価格のメタルスマートフォンGALAXY A5とGALAXY A7を出す予定だ。GALAXY A5とGALAXY A7は中国だけでなく、インドや東南アジアなどでも発売する計画だ。ベトナム携帯電話第2工場はGALAXY A5とGALAXY A7と、メタルデザインを採用した後続スマートフォンの主要な生産拠点となる見込みだ。
サムスン電子は、今年の第2四半期からスマートフォン販売の上昇が止まった理由として、中・低価格市場対応への失敗、メタルデザインのスマートフォン発売の遅れなどを挙げている。中低価戦略とメタルデザインの採用を、中国第1位のスマートフォンメーカーとして浮上したシャオミが最初に選択したことで、サムスン電子に打撃を与えた。
サムスンはベトナムで生産される中・低価メタルスマートフォンで、中国だけでなくインドや東南アジア、中東やアフリカなどの第3国でシャオミと対抗するという覚悟だ。サムスン電子は今年4月、戦略スマートフォンGALAXY S5を発売したが、メタルデザインの採用を留保した。メタルケースを生産する工程をセッティングできなかったために、メタルデザインの採択で増える原価に対処することは難しいと判断したからだ。アップルがiPhone 5以前のモデルからメタルデザインを適用し、メタルスマートフォンは大勢として定着していたが、サムスン電子はこれを追随できなかったわけだ。ここに中国のシャオミがメタルデザインを採択したスマートフォンを発売し、サムスン電子が掌握していた市場シェアを急速に蚕食した。しかし、ベトナムで生産されるスマートフォンはメタルデザインを採択しただけでなく、原価面で競争力を備えると期待されている。
ベトナム現地でスマートフォンの生産が増えれば、ベトナムの低廉な人件費と賃貸料等の影響で、生産コストを下げることができる。サムスン電子の工場に対して、ベトナム政府は土地使用料の補助や法人税減免などの支援を行っており、スマートフォンの生産コストを下げるために有利だ。タイグエン省政府は追加投資を承認したサムスン電子の第2工場に対して、土地使用料を50%補助して法人税を3年間50%減免するなど、破格の支援を行っている。
サムスン電気やサムスンディスプレイなど、部品系列会社の生産基地もベトナムに拡充している。
サムスン電気は、タイグエン省イエンビン工団内に12億3000万ドルを投資した生産設備を今年から稼動し、カメラモジュールなどを生産して、近隣のサムスン電子の携帯電話工場に納品している。サムスンディスプレイはバクニン省のイェンポン工団内に、10億ドル規模の生産設備の投資承認をベトナム政府から得ている状態だ。