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数字経済 > 企業 > サムスン電子、カナダのスタートアップ「アドギア(AdGear)」社買収発表
買収・合併(M&A)に消極的だったサムスン電子が、最近は速度を加えている。去る15日、米国のクラウドサービスプロバイダのジョイエント(Joyent)社の買収を宣言して6日後に、カナダのデジタル広告のスタートアップ企業「アドギア(AdGear)」社の買収を発表した。
サムスン電子のM&Aの動きを見ると、新規事業への進出ではなく既存事業の強化に焦点を当てている。買収金額の大きい大型取引ではなく、スタートアップに近い会社に興味を示すことはこのような理由からだ。サムスン電子の関係者は、「これまでならば内部で開発しようとしたが、最近では外部から積極的に買収する側を選択している」とし、「必要な技術やサービスがあるたびに、レゴブロックを積むように合わせていく渦中」だと説明した。
代表的な事例が2014年に買収した「ループペイ(LoopPay)」と「スマートシングス(SmartThings)」だ。ループペイはサムスン電子のモバイル決済サービス「サムスンペイ(Samsung Pay)」に核心技術を提供した企業だ。モバイルペイメント市場でアップルやグーグルなどに後れたサムスン電子は、ループペイを取得してこれを一気に覆した。
モノのインターネット(IoT)のプラットフォームを提供するスマートシングスも似たような軌跡を描いている。サムスンの既存家電製品に競争力を付加する役割を果たしているわけだ。最近買収したジョイエントもクラウド技術が重要となる状況で、これに対する能力が不足していたサムスン電子の空席を満たす役割を果たすことになる。
このようなM&Aの背景には、米国シリコンバレーにオフィスを置いたサムスンのグローバルイノベーションセンター(GIC)が役割を果たしている。革新的な企業を発掘し、サムスンの生態系づくりに貢献するわけだ。GICの関係者は、「サムスン内部で開発可能なものは開発し、なければ買って使うのが最近の雰囲気」だとし、「特に新事業分野では積極的に会社を物色している」と説明した。