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韓国、潜在的成長率はすでに2%台…6年後はゼロ成長の可能性も


  • 韓国、潜在的成長率はすでに2%台…6年後はゼロ成長の可能性も
  • < 政府別の長期成長率下落推移 >

これまで20年の間に韓国の経済成長の長期(潜在)成長率は5年ごとに1%ポイントずつ下落し、現在は2%台に墜落したという研究結果が出された。このような傾向が続けば、次期大統領の任期末ぐらいの6~7年後には、長期成長率は0%台に進入する可能性が高いという診断だ。

ソウル大のキム・セジク教授は、1日に発刊されたソウル大経済研究所「経済論集」に発表した「韓国経済:成長の危機と構造改革」論文を通じて、「構造改革がきちんと行われていない状態で強力な内・外部の衝撃が来るならば、0%台に墜落する時点が早まる可能性も完全に排除することはできない」と述べて警告した。

キム教授は、海運・造船業の構造調整などで浮き彫りになった最近の危機的状況を「成長の危機」と規定した。これまでの20年間に構造改革なく景気浮揚にのみ依存した結果、過剰投資の副作用が「成長率墜落現象」としてついに姿を現し始めたという分析だ。キム教授は、10年の移動平均で韓国の長期成長率の傾向を分析した結果、1990年代半ばの長期成長率が7%台を下回った後、成長率は5年ごとに約1%ポイントずつ規則正しく落ちていることが分かった。

キム教授は論文で、「毎年0.2%ポイントずつ線形に低下する傾向線にうまく収束されるほど、非常に強力な傾向によって下落した」と明らかにした。キム教授は続けて、「長期成長率5年1%ポイントの法則は、保守政府や進歩政府に関係なく進行した」とし、「朴槿恵政府でもこの傾向は続き、現在は2%台を過ぎていると推定される」と付け加えた。

成長率が長期にわたって継続的に墜落した場合、これは非常に低いレベルに落ちた後になって国民が危機を認識することになる。最近、成長率が2%台を続ける中で限界企業や青年失業問題が浮き彫りになり、危機が肌で感じられ始めたが、肝心の危機の原因は20年前から作動してきたというのがキム教授の説明だ。

キム教授は「長期成長率が0%台に近づくと、1998年のような非常に痛みを伴う総体的な経済・金融の危機に直面する可能性も排除できない」とし、「これまでの傾向が継続する場合は、2~3%台の低成長にとどまっているよりもゼロ成長に陥る可能性がより高い」と憂慮した。

米国のように長期成長率が100年以上2%のレベルから大きく逸脱することなく維持されている経済は、財政・金融政策を動員した一般的な総需要浮揚策が効果を出すことができる。

しかし、韓国のように生産側面の制約要因に起因する長期的な成長墜落の状況では、このような政策はむしろ過剰投資をもたらして、金融危機の可能性を高めるという指摘だ。

キム教授はこの20年の間に構造改革が行われた時期は、1997年の通貨危機以降の2年ほどに過ぎないと見た。当時、生産性の低い企業・銀行が退出して、これらに配分された資源は生産性の高い部門に再配分されたが、2000年からは景気刺激策だけがさまざまな形で推進されてきたわけだ。キム教授は最近の高まる構造改革の声にも「正確な診断にもとづかない枝葉末的、または誤った解決策を構造改革と勘違いしてはならない」と厳しい忠告を与えた。キム教授が診断した成長墜落の原因は投資効率の急落であり、そのためには創造性と競争、インフラを生かす構造改革が必要だと主張する。資本・技術・人的資本への投資を合わせた韓国の総投資は国内総生産(GDP)の40%水準で、世界で最も高い水準だが効率は極めて低い。

キム教授が成長率を投資率で割った投資効率を計算した結果、1995年に0.25を記録して以来、通貨危機以降は反騰して1999年は0.37まで上昇したが、その後は持続的に下落し、2000年に0.27で2014年には0.11レベルに落ちたことが分かった。

投資効率がこのように落ちた理由についてキム教授は、人的資本の正停滞と競争インフラの弱体化を挙げた。韓国経済は1980年代までに、ロバート・ルーカス米シカゴ大教授などが主張した「内生的成長理論」に基づいて、教育を通じた人的資本の蓄積と投資を通じた物的資本の蓄積で年7%以上の高度成長を達成した。

当時は既存の知識・技術を習得した模倣型の人的資本が主要な成長動力だった。しかし1990年代以降、韓国はロバート・ソローMIT教授の新古典派成長理論による経済構造に変化しており、企業は独自の技術で勝負しなければならない段階に入った。しかし、まだ教育制度や労働市場の報償システムは、過去の旧態を脱することができなかったという評価だ。

それだけでなく、資本主義体制の効率化と原動力の核心である「競争」も急速に弱体化しているという批判だ。 2000年代以降、すでに大企業に成長した比較的少ない数の企業が、市場で独寡占的地位を強化することよって競争企業のプール(pool)が制限されたというものだ。

キム教授は「新しい創業企業家が出現して、大企業に成長することがだんだん容易でない環境が造成された」と語った。

キム教授はノーベル経済学賞を受けたルーカス教授の下で経済学博士号を取得し、国際通貨基金(IMF)でエコノミストとして活動したマクロ経済理論の専門家だ。
  • 毎日経済_チョン・ウイヒョン記者 | (C) mk.co.kr
  • 入力 2016-06-30 20:14:48




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