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年20兆のクルーズ造船市場…韓国は傍観者に


■ 韓国企業所有の「STXフランス」海外売却、まもなく仕上げ

  • 年20兆のクルーズ造船市場…韓国は傍観者に
STX造船海洋が持分66.7%を保有しているSTXフランスは、最終的にイタリアの造船所であるフィンカンティエリ(Fincantieri)に売却される可能性が高まった。最近、フランス政府とイタリア政府がSTXフランスの売却と関連し、これまでの葛藤を縫合して劇的に合意に達したからだ。

これによってSTX造船は、年末までに株式の売却代金約1000億ウォンを受け取れば、STXフランスの経営権と所有権を完全に失うことになる。同時に、韓国はクルーズ船を建造できる最後の造船所と別れることになる。

年間20兆ウォンに迫るクルーズ船市場で、韓国の造船業界は「見るだけ」という状況がしばらく続く見通しだ。

フランスは大統領が、イタリアは首相が袖をまくって乗り出した事案だが、最大株主であるわが国では債権団の金融論理が先に立った。去る5月に文在寅政府が発足した後も、状況は変わらなかった。似たような時期に当選したエマニュエル・マクロン仏大統領が売却再交渉の主張を貫徹させたことと対照的だった。造船業界のあちこちから、STXフランスの売却について惜しむ声が出てくる理由だ。

27日の造船業界などによると、1年近く続いたSTXフランスの売却は早ければ来月、遅くとも年末までにすべて仕上がる予定だ。 STX造船の関係者は、「今年1月に債権団はSTXフランスの売却優先交渉対象者としてイタリアの国営造船会社であるフィンカンティエリを選定したが、フランスのマクロン政府の反対で売却は終了しなかった」とし、「先月末にフランス政府とイタリア政府が持分に対する葛藤を解消したことで、STXフランスの売却は年内に仕上されるだろう」と話した。

STX造船は2008年、クルーズ船建造のためにSTXフランス(旧アケル・フランス)を買収した。当時は造船業況が最高潮に達する時だった。当時の姜徳寿(カン・ドクス)STXグループ会長の止まらない買収・合併は世界の注目を受けるに充分だった。

しかし、親会社であるSTX造船が債権団の自律協約(2013年)と企業再生手続(法定管理、2016年)に入り、KDB産業銀行などの債権団はSTXフランスの売却に着手した。造船業況の悪化で売却は難航を続け、今年初めに伊フィンカンティエリ社が優先交渉者に選定された。フィンカンティエリは世界1・2位を争うクルーズ船の専門造船所で、STX造船が保有する持分66.7%を1000億ウォン(7950万ユーロ)で買収すると提案した。

フランソワ・オランド政府はフィンカンティエリ社の提案を承認したが、マクロン政府がブレーキをかけた。フィンカンティエリが持分66.7%を買収する場合、サンナゼール造船がを縮小して雇用も減少することを懸念したためだ。けっきょく両国首脳は先月27日(現地時間)に首脳会議を開き、フィンカンティエリが株式の50%を買収し、1%は12年のあいだフランス政府から借りることに合意した。フランス政府はフィンカンティエリの造船所運営が気に入らない場合は、1%の持分を回収することができる。

問題はこの過程で韓国政府が徹底的に疎外されたという点だ。フランスとイタリアはSTXフランスの売却に直接乗り出したが、実際に株式を売却する当事者であるSTX造船はもちろん、韓国政府は事実上傍観したという指摘だ。政府の無関心のなかで、世界の船舶市場で20%を占める高付加価値船舶であるクルーズ船を建造できる造船所を逃すという状況に置かれた。

造船業界によると、クルーズ船は低騒音・低振動の高難度の設計・建造技術を必要とする。また商船とは異なり、高度なインテリアの技術が必要だ。材料の確保も難しい。高い参入障壁のために、欧州の各造船所が世界の発注量の大部分を受注している。韓国の造船所は商船と海洋プラント建造の経験は豊富だが、クルーズ船を建造した経験はない。

造船業界のある高位関係者は、「STXフランスは2025年までの物量をすでに確保しており、クルーズ船市場は今後さらに大きな成長が予想される」とし、「フランスとイタリアの首脳が合意したため、STXフランスの株式売却を元に戻すことができず残念だ」とため息をついた。

実際、英国の造船・海運分析機関のクラークソンリサーチ(Clarkson Research)によると、先月初めの時点でSTXフランスの受注残高は11隻で世界8位に上がっている。
  • 毎日経済 ムン・ジウン記者 | (C) mk.co.kr
  • 入力 2017-10-27 16:12:35




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