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またしても1000万人を動員した映画誕生、喜んでいいのだろうか?

◆ City Life 第463号…STAR TAP ①/⑤ 

  • またしても1000万人を動員した映画誕生、喜んでいいのだろうか?
映画『国際市場』が公開されてから1か月で1000万人の観客を集めて、もう一つの1000万人観客の記録を立てた。昨年1月に映画『弁護人』が1000万人の観客を動員し、2014年の新年を1000万映画で始めたのと同じ形だ。特に、昨年の『弁護人』、『アナと雪の女王』、『鳴梁』、『インターステラ』に続き、1年の間に実に5本の1000万映画が出てきたことは、国内映画市場の規模から見て、それこそ驚異的な記録だ。本当に驚くほどにすごい。人口5000万の国で1年の間に1000万の映画がなんと5本も出た。しかし、多くの映画の専門家たちは、1000万映画という記録が確実に韓国映画産業の競争力を意味する肯定的な側面もあるが、それに劣らない副作用も多いと指摘している。

昨年、国内映画の総観客動員数は2億1500万人で過去最多を記録したと発表された。このうち、上位5本の映画の観客動員数だけで5500万人。全体観客の50%を占めた。言い換えれば、特定の映画数本が観客を独占したという話になる。映画が商品としての価値を基盤にした経済効果だけでなく、社会的、文化的な価値と影響力も無視できない状況では、特定の小数の映画の観客独占による文化の多様性の破壊は深刻な問題を引き起こす可能性があるということだ。

もちろん、純粋に映画の作品性と興行性に起因して達成した記録であれば、問題になることはない。観客動員新記録が韓国映画史に大きな足跡を残したのは確かだが、数本の映画がスクリーンを独占する映画産業の寡占により成されたのであれば問題になる。したがって、現在いくつかの大企業が掌握している映画配給網と上映館のせいで、優れたインディーズ系の映画や低予算映画、小規模事務所の映画が劇場から押し出されているという事実は、憂慮すべき状況だ。

その意味で、昨年末から興行突風を起こし、500万人の観客動員を目前にしている映画『君よ、その川を渡らないで』を注目する必要がある。 2009年のドキュメンタリー映画で、292万人の観客を動員、興行記録を立てた『牛の鈴音』と比較される『君よ、その川を渡らないで』は、『牛の鈴音』の記録を超え、歴代の多様性映画最高の興行作である『はじまりのうた / Begin Again』(340万)の観客動員記録をはるかに超えた。自主映画の10万人の観客が商業映画の1000万人の観客に比肩する現実を勘案すると、『君よ、その川を渡らないで』の記録こそ驚異的だ。しかし、『牛の鈴』が1桁のスクリーンで始まり、上映館を次第に広げたこととは異なり、『君よ、その川を渡らないで』は、自主映画としては異例の186つのスクリーンで始まり、一時800を超えるスクリーンを占めていて、その後も500程度のスクリーンを保有しながら、興行記録を達成した。

大型劇場チェーンであるCGVのアート作品専門のCGVアートハウスが共同配給を引き受け、他のインディーズ系の映画に比べて安定した配電網を備えていたことも興行の決定的な要因になったという分析だ。最終的にはドキュメンタリーのようなインディーズ系の映画や他の多様性映画の場合であっても安定した配電網とスクリーン数を確保することができれば、一定レベルの観客を動員することができ、観客の立場からもブロックバスター級の商業映画以外にも多様なジャンルとレベルの映画を取捨選択する機会が提供されることを示唆している。

1000万人の観客映画の登場は韓国映画の光と影を同時に示す指標だ。大企業の映画資本の既得権保持と、1000万映画だから見るという視聴者の巻き込まれ現象を非難する前に、すべての観客が様々な映画を見ることができようにする政策的支援と努力が必要な時期だ。今では毎年恒例のイベントのようになってしまった1000万人の観客動員を、これ以上嬉しがっているだけではいけない。
  • Citylife第463号(15.01.27付)
  • 入力 2015-01-21 15:41:41




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