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エンタメ > TV・映画 > 「記憶」眼差しさえも演技したイ・ソンミン、大衆の「記憶」となる
▶ この記事にはドラマ本編の内容の一部が含まれています。
大きな響きを披露し幕を下ろしたtvN金土ドラマ『記憶』の最大の功労者はやはりアルツハイマーを患う弁護士パク・テソクを演じた俳優イ・ソンミンだった。すべての作品でそうであるように、真っ直ぐなイ・ソンミンの演技はお茶の間に再び大きな感動を抱かせた。
『記憶』はアルツハイマー診断を受けたローファーム弁護士パク・テソク(イ・ソンミン扮)が残りの人生をかけて繰り広げる最後の弁論記であり、記憶を失いながらも最後まで守りたい生の大切な価値と家族愛を描いたドラマだ。
『記憶』にてパク・テソクを演じたイ・ソンミンは序盤に成功だけのために駆け抜けてきた非情な姿を見せて強い印象をお茶の間に残した。裁判の成功のために相手がアルツハイマー診断を受けたという弱点を利用することは基本であり、自分の出世の助けとなるのであれば手が汚くなる事件を担当することもいとわない。出世に対するパク・テソクの欲望に対する被害は家族にまでつながった。日々我慢に我慢してきた彼の妻ソ・ヨンジュ(キム・ジス扮)は不眠症により睡眠剤なしには眠れず、彼の息子ジョンウ(ナム・ダルム扮)はいじめの被害を受けているにもよらず、それに気づくことが出来なかった。
イ・ソンミンはワーカーホリック弁護士からアルツハイマーにかかった事実を知ることになって以降感じることになった混乱、そして周辺を振り返りようやく自身が逃している何かに気づくことになったパク・テソクの衝撃をしっかりと表現しながらドラマをリードした。これまで金のために動いていたパク・テソクは家族のために仕事を行いはじめ、残りの日々があまり残っていないだけに真実を探すために動こうとする変化は見る人に感動を抱かせるのに十分だった。
それだけでなかった。パク・テソクは父親の姿だけがあったわけではなかった。家族を捨てて生きたパク・チョルミン(チャン・グァン扮)に向かう憎しみと怒りは本心であり、そうであるからその後この父子が和解する姿はより大きな感動として視聴者に届いた。最終回で一生憎んできた父親が自身の手を取って記者たちの間を抜け出すとパク・テソクは申し訳なさと感謝などを同時に感じ、ついに父親の前で子供のように涙を見せた。心の中にあるわだかまりを解き放ち和解したパク・テソクとパク・チョルミン父子の姿は見る人々の胸を締め付けた。
イ・ソンミンの熱演はここで終わりではなかった。すべての裁判が終わった後、パク・テソクの記憶は少しずつ消え、深夜にトイレに行くことも苦労するほどに症状が悪化していった。さらには家族の存在さえも忘れ、また記憶することを繰り返すパク・テソクであったが、それでも自分を信じ守ってくれる家族たちがいるため、パク・テソクは幸福でいられた。パク・テソクは「人生の不幸はある日突然やって来た。すべてのことが終わったと考えた絶望の末に、またひとつの始まりがやって来た。ひとつ願いがあるとすれば家族たち、友人たちの愛を永遠に忘れないことだ。そうだと信じている。良いことは決して消えたりしないのだから」というナレーションを通じて作品のメッセージについてもう一度強調した。このようなパク・テソクの姿は強すぎない、淡々と本心を演技するイ・ソンミンの演技と出会うことで輝きを発することができた。
アルツハイマーを患う弁護士パク・テソクについて描いた『記憶』であるだけに、その誰よりもイ・ソンミンの熱演は重要だった。アルツハイマーが与える絶望と苦痛、怒り。そしてこういった過程を経験しすべてを受け入れる過程を見せてくれたイ・ソンミンは台詞はもちろん焦点が揺らぐ眼差しさえも演技しドラマへの没頭度を高めた。イ・ソンミンの演技が完璧であるほど『記憶』は伝えようとするメッセージをよりしっかりと伝達することができた。