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「被告人」チソン、蓋然性が作り出す代替不可能な演技力

「被告人」9話 

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  • 「被告人」チソン、蓋然性が作り出す代替不可能な演技力
俳優チソンの演技はすなわち蓋然性だ。

SBS月火ドラマ『被告人』がチソンの演技に背を押されて3話連続視聴率20%を突破し、圧倒的な1位を続けている。チソンは自身が演じるパク・ジョンウと渾然一体となった姿でお茶の間を意のままにしている。視聴者は同じ涙、怒りもキャラクターの感情によって違って表現するチソンの驚くべき演技力に感嘆しながら画面に釘付けになっている。若干質の荒い仕組みもチソンの名品演技で満たした。「ガッチソン(God+チソン)」などの修飾語で俳優チソンを説明するには不足だ。

20日放送された『被告人』9話ではパク・ジョンウ(チソン扮)とチャ・ミンホ(オム・ギジュン扮)の緊張感溢れる獄中心理戦が繰り広げられた。すべての記憶を取り戻したが、まともな復讐を行うために記憶を失ったように演じるパク・ジョンウ、そしてそんな彼を挑発するチャ・ミンホの姿は見る人々まで手に汗を握らせた。この日チソンとオム・ギジュンの張り詰めた神経戦が興味深く描かれた中、妻を殺した不倶戴天の敵を前にし、知らないふりをして耐えねばならないチソンの節制された怒りの演技が輝いた。

先立ってジョンウは妻ジス(ソン・ヨウン扮)が殺害された日の夜の現場と、真犯人チャ・ミンホの招待まで失っていた記憶をすべて思い出し苦しんだ。この際ジョンウを消すために自分の足で刑務所に入ってきたミンホの登場に衝撃が倍増した。すぐにでも殺してやりたいミンホが目の前に、同じ監房にいること自体が耐えることのできない苦痛であったが、娘ハヨン(シン・リナ扮)を探し出すためには記憶を思い出していないような嘘の演技をせねばならなかった。まずは移送と脱獄に成功し娘を探し出した後に自首し、再審を受ける考えだった。またジョンウは事件当時に隠したミンホの血痕がついたナイフと彼の正体を明かすことができるボイスペン、声紋分析結果を決定的な証拠に活用する計画を描き復讐を決意した。

ミンホは疑いの眼差しでジョンウを観察し、絶えず彼を刺激した。ジョンウもまた黙ってやられはしなかった。前職強力部検事らしく早い判断力と対処でミンホが作り出す罠から抜け出し、危機を避けた。しかし放送末尾、ジョンウを激怒させる状況が起きた。移送計画に気づいたミンホが死刑場のない刑務所に変えて妨害を与えた。脱獄するという一念だけで耐えてきたジョンウは歯を食いしばった。そしてウォルジョン刑務所を離れる前、懲罰部屋に自身の血でチャ・ミンホの名前を残した。これを見たミンホは卑劣に満ちた笑いを見せてジョンウを護送する車両を急いで引き返させた。ジョンウは真っ赤になった目でミンホとの殺伐とした対決を予告し、今後のドラマの展開を期待させた。

この日視聴者にもっとも強烈な印象を残した場面は、ジョンウがミンホを騙すために涙に濡れたパンを食べる演技だった。助けてくれと願うジスを真似るミンホの行動に理性を失ったジョンウは首を絞めて狂気に近い怒りを爆発させた。嘘の記憶喪失演技がばれる状況だった。しかしすぐにジョンウはミリャンの助けにより瞬発力を発揮、「俺のパンを返せ!」と子供のように叫んですべてパンのせいだと演技を開始した。復讐のために鬱憤を隠し、パンをむさぼり食うジョンウの悲しい姿はややもすれば笑いに繋がる可能性もあったが、チソンの力強い演技と出会い名場面となった。

チソンの名品演技は刑務所という限られた空間の制約を飛び越えて、一時間を一瞬に変えてしまった。混乱する複雑な感情と、胸をしめつける父性愛、神がかった発作演技までローラーコースターのようにキャラクターの感情をひとつも逃さずしっかりと伝えて視聴者の没頭度を高めた。
  • O2CNI / 写真=SBS放送画面キャプチャー
  • 入力 2017-02-21 09:31:00




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