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コリアナウ > 社会 > 「西海公務員射殺事件」の真実究明 金正恩は謝罪したのか?
2020年9月に起きた「西海公務員射殺事件」を巡り与野党間の真相についての攻防がますます加熱している。与党の国民の力は、当時文在寅(ムン・ジェイン)政府が犠牲になった公務員を越北者に見せかけて事件を歪曲したとし、連日真実究明を促している。反面、共に民主党は当時、軍情報と捜査内容などを総合的に検討し越北と判断したという立場を固守し、むしろ「北韓(北朝鮮)がすでに謝罪した」、「当時の国民の力も越北を認めた」などの主張を展開し反撃中だ。
① 金正恩、謝罪したのか。
禹相虎(ウ・サンホ)民主党非常対策委員長は最近、同事件と関連して「(北韓側の)謝罪を受けて屈服させた」と表現した。しかし、事件直後の2020年9月25日、大統領府が公開した北朝鮮側の通知文の全文によると実際に北朝鮮側が謝罪したかどうかは非常に曖昧だ。通知文を要約すれば事件が起きたのは申し訳ないが、過ちはないという内容だからだ。
朝鮮労働党中央委員会統一戦線部名義で発信されたこの通知文で、北朝鮮側は最初の5文壇で当時の状況を詳細に描写し「約10発の銃弾で不法侵入者が射殺されたと判断…(中略)…海上現地で焼却した」と伝えた。不法侵入と判断して適法な処理をしたという内容だ。
その一方で北朝鮮側は「貴側軍部が何の証拠をもとに、我々に不法侵入者の取り締まりと取り締まり過程の解明に対する要求もなく一方的な憶測で「蛮行」、「応分の代償」などの不敬で対決色の強い表現を使っているのか、大きな遺憾を表明せざるを得ない」と反発した。むしろ当時の韓国軍の表現が過度だ」と遺憾を示したのだ。ただ最後の文壇で「金正恩同志は…(中略)…我が水域で意外にも不祥事が発生し、文在寅大統領と韓国の同胞に大きな失望感を与えたことに対して大変申し訳ないと思うという意思を伝えろとおっしゃった」とし、「申し訳ない」という表現を使った。軍出身の国民の力のシン・ウォンシク議員はこの日「真心が込められていれば少なくとも共同調査はなされただろう」と批判した。
② 国民の力も「越北」に納得したのか。
民主党のもう一つの主張の一つは、国民の力も当時の軍当局の報告を受けて「越北」を素直に受け入れたということだ。このような主張に対する根拠は2020年9月24日、与野党国防委員17人が参加した国会国防委員会緊急懸案報告非公開会議以後、国民の力の幹事だったハン・ギホ議員が記者たちに答えた内容だ。ハン議員は当時「国防部の報告内容を見れば越北と判断できる情況があまりにも鮮明に見えた」とし「(具体的な内容は)私たちがブリーフィングしないことにした内容なので言えない」と付け加えた。
しかし、当時の会議録に公開された内容は雰囲気が全く違う。国防部の報告に対し国民の力の姜大植(カン・デシク)議員をはじめ、多数の国民の力の議員は「北韓の主張は北朝鮮の主張なのですか、それとも「我々の観測されたファクトによる越北だ」と断定するのですか」と反問または抗議した。翌日の9月25日にも国会情報委員会の懇談会が開かれたが、懇談会直後のブリーフィングで与野党幹事の答弁は交錯した。民主党幹事のキム・ビョンギ議員は「すでに国防部が越北にかなり根拠を持って発表したことがある」と話したが、国民の力の幹事である河泰慶議員は「互いにファクトに対する立場が異なるため真相調査が必要だ」と強調した。越北の可能性について与野党が明確に相反する意見だったわけだ。
③ 賭博による借金、パニック障害だったのか。
この日スタートした党レベルの真相調査TFで委員長を務めた河議員は「海洋警察が越北だと発表した証拠は、ただ一つの例外もなく全て操作」と主張した。例えば海洋警察が2020年当時、イ氏の越北動機と指摘した「賭博による借金」や「パニック障害状態」と関連して昨年、国家人権委員会が「十分な資料や事実に基づいた客観的な発表とは見られない」と指摘した点を根拠に挙げた。
海洋警察が当時、西海上の潮流方向と関連して判断を覆したことも「言葉を変えた」という指摘が出た。事件直後の2020年9月29日の1次中間捜査結果の時は「イ氏が行方不明になった9月21日の潮流方向上、人為的な努力なしに北韓海域まで漂流することは不可能だ」とし単純な失足・漂流の可能性を一蹴したが、1か月後の10月22日のブリーフィングでは「潮流の影響を受けて5~12時間を所要すれば北韓沿岸に接近できる」と発表した部分だ。河議員は「専門家の間で潮流に逆らって17時間33キロメートルを浮遊物に頼って泳ぐことが不可能だという指摘が出てくると言葉を変えた」と主張した。