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ドラマ「宮廷女官チャングムの誓い」の「チャングム」は実在人物ですか?
ドラマではソ・チャングム(徐長今)を御医にして王の健康をお世話させようとしましたが、官吏たちの反発があまりにも激しく従3品*官職に該当する「大長今(テチャングム)」の称号を賜ったものとして描かれていましたね。
*内命婦の宮人である宮女は4品以上の品階には上がれませんでした。
しかし、「大長今」という称号がドラマで描かれたように、高い官職を意味するのかは明らかではありません。
朝鮮11代王の中宗が彼女をあまりにも寵愛していたので大の字を付けて呼んだという説は、一般人の支持を受けていますが、学会の定説は少し異なります。
「おそらく、チャングムという名前を持つ医女が2人以上いて年齢が高いか、背の高い医女を、『大長今』と呼んだのだろう」
そう言われてみれば学生時代、ピョン(邊)の苗字を持っていた2人の友人を思い出します。1人は背が非常に高く、1人は小型体格なので友人たちが冗談でテビョン(大邊、発音が大便と同じ)、ソビョン(小邊、小便)と呼んでいました。
言葉が少し汚いですが、とにかくソ・チャングムは実在の人物であり、チャングムと称され、王の至極な寵愛を受けたことは明らかな事実です。中宗の主治医で数回病気を治した事実があることも記録されていますね。
『朝鮮王朝実録』にチャングムが初めて登場したのは、中宗10年(1515年)3月8日の記録です。その年の2月25日中宗の継妃章敬王后が元子**(後の仁宗)を産み命を落としたのですが、司憲府はこの日、「王妃の治療を担当した医員を罰する必要がある」と主張しました。これに中宗は「医員は医女が言う症状に応じて薬を調剤したので審問するのはふさわしくない」と司憲府の主張を払いのけました。中宗が言った医女の中にはチャングムが含まれていました。
**元子は王の長男。王世子に冊封される前はこのように呼んだ。
しかし司憲府はチャングムの責任を追及すべきだと主張しました。しかし、中宗は「チャングムは元子を産ませる手柄を立てたので、褒美を取らせないどころか杖罪を加えることはできない」と反対の意を明らかにしました。
実録にチャングムに関する記録は、7年後の1522年8月に再び登場します。大妃が痛風の症状に風邪まで患っており、治療を担当した医女だけでは難しそうなので医員が加わるよう命を出しました。そして9月には、大妃の症状が良くなると、治療を担当した医員と医女チャングム、シンビに褒美を取らせたという記録が続きます。(チャングムの医女の同僚シンピも実在の人物であるわけですね。)
1524年からチャングムは深刻な病気の看病を担当することになります。内医院の長が「王の病気を医女に任せるのは心が楽ではない」と医員を派遣することを懇願しました。王がその言葉を聞いて医員に脈診を任せました。中宗の腫れ物は良くならずチャングムが再び診察して薬を処方した後治癒しました。この功績で医女チャングムは医女ケグムと一緒に米と豆を賜りました。
中宗は1544年2月に、ひどい病気を患い床に就いていました。この時、中宗は薬に対する細かい意見は医女を通して伝えると、自身の病気をチャングムに任せるという意を明らかにしました。内医院長がお見舞いに行くと中宗は症状が良くなっていると述べ、その後、病状が良くなり床から立ち上がりました。医女チャングムは医女ウンビと大きな褒美を賜りました。
中宗は病床中には、スムーズではない排泄もありました。漢方医学者たちは、チャングムが出した処方で王とどのくらい深い関係だったのかを改めて感じたでしょう。
チャングムは複数回バンチョンサン(蟠葱散)という処方を出しましたが、変化が見られなかったため、ミルジョン(蜜釘)という極端な処方を出しました。蜂蜜で浣腸する方法ですね。このような方法を使えば、王の秘密の部分を触らないすべがないでしょう。本当の寵愛を受けている医女だけができる処方というわけですね。
しかし、中宗の病気は完治した状態ではなく、10月に再び深刻な病気を発症し、最終的には1か月後の11月に亡くなります。以後チャングムに関する記録を実録から見つけることはできません。中宗がチャングムを非常に寵愛したうえに、親孝行な仁宗が父王のこのような意中に従っただろうという点などを勘案して、運よく命を取りとめただろうとする推測するだけです。(ドラマでは、王の命令を受けた内官の手に導かれて逃亡します)
医女になる前チャングムが宮女だったのでしょうか?そうですね。未知数です。実録にはそのような記録が全くありません。チャングムの母である宮女が逃亡し、チャングムを産んだというところから、残りはすべてはドラマ制作陣が作った話でしょう。
『宮廷女官チャングムの誓い』の演出を引き受けたイ・ビョンフンPDは初期には正統な時代劇を作りましたが、チャングム以降の後期では専門職の女性が登場するフュージョン時代劇でヒット作を出しました。チャングムは水剌間の宮女と医女、トンイの主人公トンイは掌楽院の楽工の妹、イ・サンの主人公ソン・ソンヨンは図画署の茶母です。ドラマを通じて、朝鮮の料理と音楽、美術を探求したかったのだと思います。
ちなみに大長今のチャングム役は当初ソン・ユナとチャン・ジニョンが挙げられていましたが、個人の事情で出演を拒否、紆余曲折の末イ・ヨンエが選ばれたのです。もともとカン・ソンヨンが引き受けることにしていたチャングムのライバルのチェ・グムヨン役もやはり彼女がKBS月火ドラマ『彼女は最高』に突然キャスティングされたため、ホン・リナに決まりました。
悪役であるチェ・サングンもソン・チェファンが務める予定でしたが、個人的な事情のためドラマから降板し、ハン・サングンにキャスティングされたキョン・ミリがチェ・サングン役を演じて、ハン・サングンにはヤン・ミギョンが代打で入りました。
こうしてみると、人生は計り知ることができませんね。