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鍾路火災、29室が一瞬のうちに…「スプリンクラーさえあれば」

鍾路觀水洞クギル考試院火災事件 

  • 鍾路火災、29室が一瞬のうちに…「スプリンクラーさえあれば」
  • 9日未明、火災が発生したソウル市鍾路区觀水洞(クァンスドン)クギル考試院で、消防当局の関係者が事故現場を鑑識している。 ハン・ヂュヒョン記者



9日、ソウル市鍾路区觀水洞のクギル考試院(コシウォン)の前。火魔が完全に鎮圧されてから1時間あまり経ったが、一帯は鼻を突くけむい臭いでいっぱいだった。考試院の看板は高温に耐えられずに溶けて壊れ、もとの姿を知ることもできないほ変わっていた。火が出た3階の窓はすべて破裂し、ガラスの破片だけが残った。

法規の抜け穴と劣悪な火災安全設備が、再び大惨事を生んだ。

昨年の末、堤川(チェチョン)スポーツセンター火災と1月の密陽(ミリャン)世宗病院の火災にもかかわらず、私たちの社会が依然として安全のための教訓を得られなかったという指摘が出ている。特に考試院の家主がソウル市スのプリンクラー設置支援事業に同意しなかったことが明らかになり、世論の怒りを買っている。この日に発生した鍾路区クギル考試院火災が大規模な人命被害になったのは、まずは劣悪な施設が原因としてあげられる。規定上、スプリンクラー設置義務施設であるにもかかわらず、スプリンクラーがなかった点が決定的に作用した。

ソウル市によると、クギル考試院は2015年にソウル市の考試院簡易スプリンクラー設置支援事業に申請した。ソウル市は2009年以前に建てられた古くて零細な考試院を対象に、簡易スプリンクラーの設置を支援している「老朽考試院安全施設設置支援事業」を2012年から進めている。スプリンクラー設置義務対象ではない居住者のうち50%以上が脆弱階層であり、設備が古くて火災に弱い考試院に4億ウォンをかけてスプリンクラーを設置する代わりに、考試院の運営者は5年にあいだ賃貸料を凍結する条件だ。クギル考試院も考試院運営者がこのような条件を受け入れて、ソウル市にスプリンクラー設置を申請し、市の審査を通じて事業対象地として選定した。しかしその後に家主が同意せず、スプリンクラー設置は失敗に終わったことが確認された。

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火災が発生した位置も良くなかった。入り口であり、階段のすぐそばの301号室から火が出たことで避難路がふさがってしまった。当時、唯一の脱出口だった緩降機は、しかし使用方法を知っている居住者は誰もいなかった。ほとんどの居住者が40~70代の日雇い労働者であるうえに、夜遅くまで働いて夜明けにはこんこんと眠りに落ちていたことも被害を大きくした要因だった。

近くの不動産仲介業者の従業員A氏は、「建物じたいが30年を過ぎた老朽建物だし、2年前に外壁だけを改造して表面だけは立派に見える」とし、「金のある学生や会社員は月に45万~60万ウォンのコシテル(ホテル形式の考試院)に住むが、コシテルは耐火素材だしスプリンクラーや火災警報システムがきちんとしているが、この考試院はだいたいが金のない日雇いや中国同胞が多く住んでいた。最終的にこのような惨事につながった」と残念がった。

居住者らによると、この考試院は主人のク某氏(68、女性)と息子が管理していたことが分かった。考試院の2階に住んでいたチョ某氏(40)は、「おばさんがみんなを起こせと叫んで、最後まで人を助けようとした」と述べた。毎日経済新聞はク氏と通話したが、ク氏は「今はあまりに大変でなにも言うことができない」と電話を切った。

一部の生存者は消防署側の初期対応に問題があったと指摘した。チョさんは「消防士がすばやく到着したものの、20~30分後から水をまき、結果的に大きく燃えだしてようやく火を消し始めた」とし、「消防士と警察官は統制はしたが、積極的に消火をしようとしなかった」と言う。 2階の居住者だったイ某氏(56)も「3階にいる人から救助しようと放水しなかったというが、消防士が数十人もいてなぜ(救助と鎮火を)同時に進められなかったのか分からない」と言う。これに対して消防署側は、「ただちに消火を開始した」と釈明した。

はしご車の問題もまな板に上がった。はしご車の設置が遅くなり、救助に時間がかかったというわけだ。消防署側はこれに対して、「現場が狭くて屈折はしご車を利用できなかった」とし、「代わりに絶縁はしごを設置して、午前5時07分08分に建物の3階と屋上からの退避者を救助した」と説明した。

専門家らは、法規を改正してスプリンクラーの設置を増やすべきだと主張する。ウソク大のコン・ハソン教授は、「安全意識が形成されるまで、法でスプリンクラーの義務設置範囲を拡大する必要がある」と助言した。

警察は死者7人の身元をすべて把握して、葬儀の手続きなどを遺族と相談している。死亡者のうち1人は日本人であることが分かった。消防署や警察署などの関連機関は、より正確な火災原因を分析する予定だ。
  • 毎日経済_ムン・グァンミン記者 | (C) mk.co.kr
  • 入力 2018-11-09 18:12:43




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