トップ > テクノロジー > 健康・医学 > [科学の香り] 軽い風にも全身が痛い!帯状疱疹の仕業!

[科学の香り] 軽い風にも全身が痛い!帯状疱疹の仕業!

韓国科学技術情報研究院(KISTI) 

  • [科学の香り] 軽い風にも全身が痛い!帯状疱疹の仕業!
冬の風邪だと思って病院を訪れた結果、帯状疱疹の診断を受ける人が多い。ここ5年間、帯状疱疹の患者数は毎年約2~3万人ずつ着実に増加し、2009年には約45万人から2013年に62万人を超えた。

▶ 風邪だと思っていたのに、帯状疱疹

帯状疱疹の初期症状は風邪と似ている。頭痛と疲労があり、腕と脚がズキズキしてだるい。1週間が経過すると胴や腕、足などの神経が分布されたところに小さな水疱が数個ずつ群れをなして現れる。最初は膿が溜まり色が濃くなるが、2週間ほど経つとかさぶたができて症状がよくなる。痛みと感覚異常の症状も現れる。特徴があるとしたら、右や左など、症状が片側のみに現れる。

帯状疱疹を引き起こすウイルスは、水痘のウイルスだ。子供の頃患った水痘(いわゆる「みずぼうそう」)は時間が経てば良くなるが、ウイルスはなくならず、体の中の神経細胞が集まっている神経節に隠れる。免疫力が強いときは、死んだように静かだが、疲労がたまってストレスを受けて免疫力が弱くなると、神経に乗って現れ、帯状疱疹を起こす。

▶ 過労が原因、20~30代の帯状疱疹注意報

過去には、60代以上の高齢者の患者が多かったが、最近では、過労による20~30代の患者も難なく見つけることができる。健康保険審査評価院の統計資料を見ると、20~30代の患者は約12万人で、全体の患者の19.2%を占めている。帯状疱疹患者の10人のうち2人が20​​〜30代なわけだ。女性患者のみを見れば、70代が4万6千713人、30代が4万2千719人で、その数は似ている。

治療は抗ウイルス剤だ。神経の損傷を最小限に抑えることに治療目的を置くが、帯状疱疹が治った後も、神経痛などの合併症を訴える患者が多くいる。神経痛が代表的だが、症状は数か月から数年続く。痛みの症状は多様だ。ナイフで刺されるような感覚から虫が這っているような異常な感覚、髪や風が触れるだけで痛みが感じられたりする。また、痛みを感じる感覚が鋭敏になり、些細な痛みも激しい痛みとして感じることもある。痛みの程度は痛みを1~10で分けたときに6程度で、第二子を産む痛みと比較されるほど深刻だ(第一子の出産は8)。麻酔科学専門医は、「患者の中には服に触れるだけでもヒリヒリしたり、扇風機やエアコンの風に触れるだけでも痛くて仕方ないという患者も多い」と伝えた。

  • [科学の香り] 軽い風にも全身が痛い!帯状疱疹の仕業!
△写真 = 帯状疱疹の進行 - 密集している小さな隆起が(1)、水ぶくれになる(2)、水ぶくれにリンパ液たまって、炸裂(3)、かさぶたがとれて(4)、最終的には消えるが、神経の損傷で帯状疱疹後神経痛が残ることがある (5)、写真 = ウィキペディア

▶ 風にもヒリヒリ、帯状疱疹は神​​経痛を残す

神経痛が現れる理由は、帯状疱疹ウイルスが皮膚表面に水泡を作るときに神経管に乗って現れるのだが、この時に神経損傷が起こるからだ。したがって、治療が遅れるほど、水泡の範囲が広いほど、帯状疱疹の痛みが激しかった場合ほど神経痛が発生する確率が高い。

麻酔科学専門医は「帯状疱疹の症状が激しくなかったとしても、いきなり神経痛が起きる場合には、帯状疱疹後の神経痛を疑って見る必要がある」とし「水泡が生じる前あるいは水泡なく帯状疱疹が発症して、自らなくなった場合でも、神経の損傷がある場合があるから」だと説明した。

帯状疱疹後神経痛は、過去5年間、毎年百万人ずつ患者数が増加して、2009年には約8万人から2013年には約13万まで増えた。神経痛を訴える年齢層は主に50~70で、全体の74%を占めている。通常、60歳以上の場合、2人のうち1人の割合で神経痛が現れることが分かった。20~30代にも帯状疱疹患者は多いが、幸いなことに神経痛につながる場合は珍しい。

治療は薬物治療と神経治療などの外科的治療に分かれる。薬物には、抗てんかん薬と抗うつ薬などを使用するが、神経痛が発生する確率を低くし、痛みを緩和する役割をする。神経遮断術も方法だ。痛みを伝達する神経を一時的に遮断して、痛みが悪化することを防ぎ、その間の神経周囲の炎症とむくみを沈め、痛みの再発を防ぐ方法だ。交感神経と体神経の遮断術が代表的だ。脊髄刺激療法を使ったりもする。硬膜外腔(脊髄を囲む三重の膜の中で最も外側の膜である硬膜の外側空間)に糸のように細い電線を挿入して電気刺激を与える施術だ。刺激は、痛みを抑制する神経回路を活性化させ痛みを軽減する。

治療時期も重要だ。痛みが現れてから二か月内に治療してこそ、神経痛が慢性的に移動する可能性が低くなる。治療効果は時期が遅くなるほど低下する。

帯状疱疹は、神​​経痛のほか、他の合併症も多い。目の周りに帯状疱疹が生じた場合、虹彩炎や角膜炎により失明の危機に陥ることもある。また、ウイルスが髄膜炎や脳炎、肝炎や肺炎に進行することもある。中枢神経系が破損した場合には、顔面神経が麻痺したり、聴覚消失、中風や昏睡状態などの致命的な症状を誘発することもある。

  • [科学の香り] 軽い風にも全身が痛い!帯状疱疹の仕業!
  • < 写真=ウィキペディア、CC BY-SA 3.0 >

▶ 帯状疱疹の予防接種の効果は50%

問題は、帯状疱疹ウイルスは、常に潜伏状態にあり、免疫力が弱くなると、いつでも再発するということだ。予防法は、帯状疱疹の予防接種が唯一だが、注射自体の予防効果は少なくとも3年から5年の周期で定期的に接種してこそ効果がある。効果は臨床試験の結果、帯状疱疹は50%、神経痛は60%程度発症率を下げることが確認された。すなわち、予防接種をしても帯状疱疹にかかる場合があるということだ。ただし、症状を若干軽くして、神経痛につながる可能性を少し減らしてくれる効果がある。しかし、この効果も年齢により変わり、80代の場合には効果が20%程度に過ぎないことが分かった。

実際には、予防接種より完全な予防法を私たち皆が知っている。帯状疱疹が再び私たちの体で横行しないように、よく食べ、よく休むことだ。しかし、小学生も塾と自習で、一日7時間も寝ることができず、20~30代さえも過労で帯状疱疹にかかる件数が毎年増えている大韓民国において、完璧な予防法は、知っていても実践することができない絵に描いた餅であるだけだ。
  • 文:イ・ファヨン科学コラムニスト、コラム提供:韓国科学技術情報研究院(KISTI)
  • 入力 2014-12-22 10:03:33




      • facebook icon
      • twetter icon
      • RSSFeed icon
      • もっと! コリア