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テクノロジー > 韓「1号ロケット」打ち上げ延期…月探査、さらに遅れるか
国内で独自開発中の韓国型発射体(ロケット)「ヌリ号」の発射時点が、来年の2月からり8ヶ月後の10月に電撃的に延期された。表面的には政府が民間の専門家で組織された専門評価団の意見を受け入れて、ヌリ号の成功裏の打ち上げのために準備期間を増やしたという立場だが、事実上はロケットの開発準備が不足したことを認めたも同然という指摘だ。これまで何度も延期された月探査のスケジュールが、再び延期される可能性も排除することはが難しいという診断だ。
科学技術情報通信部は29日に第18回国家宇宙委員会を開き、「韓国型ロケット開発の推進現況と今後の計画」および「静止軌道公共複合通信衛星の開発事業計画」を確定したと発表した。修正された計画によると、ヌリ号は当初予定されたものよりも8ヶ月後退した来年10月に初めて発射される。第二の発射時点もまた、来年10月から7ヶ月後の2022年5月に延期した。
科学技術情報通信部によると、第1段ロケットの開発が遅れたことが打ち上げが延期された最大の原因だ。ヌリ号は75トンエンジンを1段に4基、2段に1基、3段に1基ずつ搭載した3段ロケットだ。そのうちで最大の推進力を出さなければならない1段には、エンジン4基を固定する部品と液体燃料を供給する1000個の配管が配置されることから、2・3段よりも構造が複雑で高い技術力が要求されることが知られている。
実際に75トン級エンジン4基と関連して、配管・電線・バルブなどを組み立てる過程で問題が生じ、分解と再組み立てを繰り返したことで時間を食い、打ち上げ日程が延期されることになったという診断だ。さらに悪いことに、組み立てに必要な部品のリストが次々と変わり、新規部品の供給と追加の検証作業までが加わって時間が必要になったという説明だ。
科学技術情報通信部は、1・2・3段を一つの統合型着陸機(ILV)として組み立てて、極低温環境での安全性を確認するために本来の計画になかったWDR実験(摂氏マイナス183度の酸化剤物質でロケットの安全性検証)が必要になったことも打ち上げが遅れた要因だと明らかにした。
ヌリ号の打ち上げ事業は、独自に1.5トン級の衛星を低軌道(600~800㎞の上空)に打ち上げるロケット技術を確保するために、航空宇宙研究院の主導で2010年から2022年まで、予算総額1兆9572億ウォンを投入して進行される国の事業だ。
この日、科学技術情報通信部は静止軌道の公共複合通信衛星「千里眼3号」の開発に着手すると発表した。韓国型ロケット「ヌリ号」を発射した後、2027年に「千里眼3号」を発射するという目標だ。
静止軌道公共複合通信衛星の開発事業は去る6月の予備妥当性調査を通過して、予算4118億ウォンが投入される。「千里眼3号」を通じて今後は水害の監視、海上警察活動の支援、被災地の緊急通信の支援などの災害・安全対応の支援と、GPS位置情報信号を提供して将来の衛星通信技術のテストベッドとしての機能などを実行できるようにする計画だが、科学技術界では懐疑的な視線が少なくない。
ある科学技術界の関係者は、「今回のヌリ号発射体の遅延のように、千里眼3号も実際には発射時点が近づくと複数の理由をあげて先送りするのではないだろうか」とし、「これまで見せてくれた前例は、科技情報通信部と航空宇宙研究院の信頼をかなり損なわせた」と批判した。
航宇研がヌリ号を改良して月着陸船を完成させる計画を持っているという点から、ヌリ号の発射延期は月探査事業にも悪影響を与えると思われる。航宇研が長いあいだ準備した月探査プロジェクトは、大きく月軌道船と月着陸船の開発に分けられる。月軌道船は月の周りを回って地形観測と、着陸地点の情報収集などを行う探査船だ。先だって航宇研は年内に月軌道船を発射する計画だったが昨年、月軌道船の目的の重量である550キログラムに合わせることに失敗し、再び月探査計画を延期している。
けっきょく打ち上げ日程が2022年7月に先送りされたし、必要な予算も昨年9月の1978億ウォンから去る3月には2333億ウォンに急増した状態だ。月着陸船も同じだ。もともと航空宇宙研究院は2025年までに月着陸船を開発し、発射する計画だった。しかし月軌道船の開発が遅れ、文在寅(ムン・ヂェイン)政府に入って航空宇宙研究院は最終的に月着陸船開発の完了時点を2030年に大きく先送りした。