A. | 全斗煥政権が威勢を振るった1983年頃の江原道春川。検察、警察幹部と安全企画部の要員、将軍たちが一堂に集まるいわゆる機関長会では、会うたびにウイスキーを楽しんだ。権力の頂上に立っている彼らは、男らしさを自慢するために、酒でも負けないように気を使ったという。 当時、機関長の集まりに出てきた軍人たちは民間の機関長を脅すために、ベトナム戦争でヘルメットにビールをいっぱい入れ、ウイスキーを瓶ごと入れて飲んだことにならって、ビールグラスに洋酒をいっぱいにして配った。これに疲れた民間の機関長がビールと洋酒を混ぜて飲むうと提案した。飲んでみると、のど越しがよく、集まるたびに愛用したというのが爆弾酒の由来として知られている。 このように爆弾酒は権力層から始まった。春川地域の機関長は、それぞれの集まりで爆弾酒の製造法と飲む方法を伝播した。団体の飲み会で参加者からいちいちグラスにお酒を注いでもらって飲んでいた機関長は、爆弾酒が参加した人たちが公平に飲む最も民主的な(?)酒道であることを発見しては歓呼した。 しばらくして、軍と検察と警察、政治家、政府高官、マスコミなどの特定の勢力に限定されていた爆弾酒は急速に広まった。上流階級が酒を飲む方法を横で見ていた人々の口から口に伝えられ、爆弾酒を飲むことが流行のように韓国を席巻した。 86年末、韓国メディアが選んだその年の言葉は、「爆弾酒」だった。 爆弾酒は、ビールが入ったグラスに洋酒を注いだグラスを入れて飲む酒だ。洋酒の代わりに焼酎、ビールの代わりにマッコリを利用したり、紅酢、トマトジュースなどを一緒に混ぜて飲む様々な爆弾酒が登場した。 ▶ 製造方式による爆弾酒の種類 ・原子爆弾酒:ビールグラスに入ったビールに、ショットグラスに入った洋酒を混ぜて飲む酒 ・水素爆弾酒:ビールグラスに入った洋酒に、ショットグラスに入ったビールを注いで作った爆弾酒 ・中性子弾:250ccのビールグラスに入った洋酒に、ショットグラスのビールを入れて飲む酒 ・忠誠酒:ビールグラスにビールを注いだ後、箸を二つ載せて、その上に洋酒が入ったショットグラスをのせる。その後、「忠誠」と叫んだ後にテーブルに頭をぶつけるとショットグラスが落ちて爆弾酒が作られる。新入社員や大学の新入生歓迎会でよく使われる方法で、マパク酒またはパクチギ酒(頭突き酒)とも呼ばれる ・竜巻酒:ビールグラスにビールを入れた後、洋酒を一杯を注ぐ。ティッシュペーパーでグラスを覆った後、手のひらでグラスを覆って、力強く回転させる。グラスの中で竜巻が起きたら、ティッシュペーパーを外して飲む 竜巻酒に氷をひとかけ入れると照明を受けて宝石のように輝くため、これをダイヤモンド酒と呼ぶ。ダイヤモンド酒は女性専用だ ・ゴルフ酒:ビールグラスの上に箸を置き、ショットグラスを載せる。他の箸でスイングして、ビールグラスの上の箸を払いのけるとショットグラスがビールグラスの中に落ちる。箸を落とす方法に応じてボクシング酒、テコンドー酒、空手酒など、さまざまな名前が付けられる ・ゴルフ酒 2:製造方法は同じだが飲み方が違う、一気に飲むとホールインワン、二回であればイーグル、三回であればバーディー、四回であればファー、5回であればボギーだ。バーディーまで賞金を与え、ファーだったら賞金なし、ボギー以上は罰金を課す、というようにルールを決めれば、酔うことも知らず飲むようになる。 ・タイタニック酒:ビールを注いだビールグラスに焼酎グラスを浮かべた後、焼酎グラスが沈むまで洋酒を注いだ爆弾酒 ・ピョンガリ酒:ビールグラスにビールの代わりにイオン飲料を注ぎ、洋酒を混ぜて飲む酒。イオン飲料によりアルコールの吸収が速く、すぐにピョンと酔いが回る ・サンクリ(二艘引き)酒:二杯の爆弾酒を両手に持ち、続けざまに飲む酒。違反した場合には、罰も下される。人を壊す爆弾酒だ。二人が同時に飲む場合もサンクリ酒と呼ばれる ・吸血鬼酒:赤ワインをビールグラスに注いだ後、洋酒を入れて作った爆弾酒。赤いワインが口元から流れ、血を飲んだ吸血鬼を連想させる。ドラキュラ酒とも呼ばれる。 ・皇帝酒:ビールグラスに体に良いという滋養強壮剤を満たした後、ウイスキーを注いで飲む爆弾酒。回復酒とも言う ・六角水酒:酒の席にいる人に6個のコップやグラスを与え、グラスごとに違う液体を満たす。配列順序は通常、ビール、イオン飲料、洋酒、サイダー、ミネラルウォーター、焼酎の順だ。歌が終わるまでに一杯ずつ飲む。グラスの配列が列車と似ていてるためチクチクポクポク酒(シュッシュッポッポ酒)とも呼ばれる。 ・水車酒:ビールグラスの上にショットグラスを指で持ち、ショットグラスから洋酒がビールグラスの中に滴るの外観を作る酒 ・手榴弾酒:缶ビールのオープナー部分をとった後、ビールを少し注ぎ、洋酒を入れて作った爆弾酒。全部飲んでから空き缶を天井に投げることから手榴弾酒と呼ばれる ・焼酎爆弾酒:爆弾酒と原理は同じだが、洋酒の代わりに焼酎が使用される。庶民が愛用する爆弾酒だ ・ひよこ酒:厳密な意味で爆弾酒ではないが、ショットグラスをテーブルに置いて、両手を後ろで組んだ後、グラスを口にくわえて飲む酒だ。説明するのは簡単だが、こぼさずに飲むのはなかなか難しい。失敗した場合、罰として爆弾酒を飲むようにする ・ドンドン爆弾酒:ドンドン酒(濁酒)にビールを混ぜた爆弾酒。すっきりとした味わいが一品だ ・三色酒:ビールグラスの中に雷管として洋酒を満たしたショットグラスを入れた後、ビールを80%程度満たす。ここに赤いワインを注ぐと、ショットグラスのウイスキーが押し出され、ワインがショットグラスとビールの泡の間を満たしてT字の姿を描く。このため、T字酒とも呼ばれる ・金縁酒:ビールを80%程度注いで、グラスの上にティッシュペーパーを乗せた後、洋酒を注ぐ。洋酒がビールに直接混ざらず金箔をかけたかのように見える。虹酒という名称も使用される。洋酒の代わりに焼酎を使うと、白い枠が生じるため、銀縁酒となる。 ・入れ酒:女好きの男たちがロビーを行うときに使う方法。ビールグラスにビールを注ぎ、その上に箸を置いて、その上にショットグラスを置く。「では、入ります」と言った後、箸を広げショットグラスを落とす。 ・消防酒:爆弾酒を作った後、その上にペーパーネプキンをかぶせてコインを置く。参加者が順番にタバコの火で穴を開け、コインを落とした人が飲む ・ストロー酒:爆弾酒を作った後、ストローで飲む ・三豊酒:三豊百貨店崩壊事故後に出てきた方法。爆弾酒を作った後、おしぼりを浸す。テーブルの下からタオルを介して滲み出るお酒を飲む ・射精酒:ビールと洋酒を満たしたビールグラスにラップをかぶせる。爪楊枝で小さな穴を開けて竜巻を作り、グラスをテーブルの上で勢いよく打ち落すと、穴から酒が発射される ・コンドーム酒:爆弾酒を製造した後、コンドームに入れて吸って飲む ・ドミノ酒:複数の人が休まずに順番に飲む爆弾酒 ▶ 飲む人に応じた爆弾酒の種類 酒類会社の営業社員が自社の洋酒で作った爆弾酒 ・ハイプル酒:ハイトビール + ディンプルウイスキー ・イムカ酒:インペリアルウイスキー + カスビール ・ウィンカ酒:ウィンザー + カプリ 集まった業界によって違う呼び名 ・ハンボル酒:衣類業に従事している人々が飲む爆弾酒。服を数える単位である「ボル」を取ってきた言葉だ。 ・クルゴ酒:クレジットカード関連業種に従事する人々が飲む爆弾酒。クレジットカードを使用することを指す「クルゴ」を連想して付けられた名前だ |