Q.韓国の公共交通機関の利用運賃は日本に比べて安いようです。理由はありますか?

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A. 先日、ソウル市がバスや地下鉄などの公共交通機関の運賃を上げると発表しました。単に運賃を上げるだけでなく、現在とは異なる運賃体系もいくつか発表しました。

これまでで最大5回まで可能だった乗り換えの回数も3回に減らし、地下鉄やバスなどを一緒に利用する「複合手段乗り換え」の時には100ウォンの追加料金を課すというものです。ここに完全な距離比例運賃制を導入して乗り換えをしなくても同じ距離を移動した場合は、同じ運賃を課すという方針を明らかにした。

ソウルに続いて仁川市と京畿道も公共交通機関の運賃を上げるとしています。引き上げ案が確定されると、新年早々から首都圏の公共交通機関の運賃が200~300ウォン上がると思われます。確かに、2012年以降、バスや地下鉄の運賃が凍結された状態だったので、上がる時にもなりました。その当時は、4年10か月ぶりに地下鉄と幹線・支線バス、広域バス、マウルバスを一律に900ウォンから1050ウォンに上げたのですが、どうやら、今回の引き上げ幅がより大きいようです。

たばこの価格が一箱につき2000ウォンも上がり、交通費を節約してタバコ代に充てようとしていた人々は大きく失望したことでしょう。歩いて通うしかありません。それが嫌なら、他の人が自宅で快適に休んでいるか、寝ている時間に通勤をするしかないでしょう。

ソウル市は、庶民層の負担を軽減するとして、夜11時から朝7時まで公共交通機関を利用して行き来する人々を対象に、従来よりもはるかに経済的な先行(EarlyBird)定期券を発行するとしています。この定期券は、これまで、地下鉄だけで、指定された駅からから乗ることができ、一か月に60回まで使用が可能でした。しかし、新たに出てくる先行定期券は、一定期間中に公共交通機関を無制限に利用することができ、バスや地下鉄を問わず乗り換えも可能だそうです。ただし睡眠を減らさなければならない点が困惑する部分です。

ソウル市が交通運賃の値上げの理由として打ち出したのは、毎年ソウル地下鉄が5000億ウォン、ソウル市内バスが3000億ウォンの赤字を抱えているからです。地下鉄の場合は1人が1回搭乗するたびに284ウォンの損をしているというのが、ソウル市の主張でもあります。このように赤字になる理由は、65歳以上の高齢者や、国家有功者などをお金を払わずに乗せてあげるからでしょう。

とにかく運賃の値上げが自治体の計画通りに進めば、ソウルのバスと首都圏の電車は1050ウォンから1300ウォン、京畿道と仁川バスは1100ウォンから1300ウォンに引き上げられます。

まだ日本や米国に比べて安価な方ではあります。国民所得や物価水準を考慮しても韓国の公共交通機関の運賃が安いという事実は変わりません。

日本に旅行に行った人が書いた文章を見ると、旅費のうち、交通費が占める割合がなんと60%にもなったそうです。この人は、経費の30%を宿泊費、10%を食費に費やしたと書いているので、食べたり寝ずに移動だけしたようです。

日本の市内バス運賃が約170~210円、SuicaやPASMOの購入額が保証金を含めて2000円、タクシー基本運賃が660円だなんて、韓国より2~3倍程度高いんですね。

しかし、韓国のバスや地下鉄の運賃も香港や北京、バンコク、ニューデリー、カイロ、ブエノスアイレスに比べると決して安いとすることはできないでしょう。国民所得が韓国よりもはるかに多いシンガポールでも、バス運賃が70セント~1ドル50セント(630~1540ウォン)なので、韓国交通料金が安いとよろこぶことはできないものです。

韓国が安いというよりは、日本が高い方だと見てこそ正しいでしょう。しかし、先進国の場合には、交通料金を含めてサービス料金が高い方なので、日本が特別な場合とも言えないでしょう。

前述のように、韓国の公共交通機関はバスと地下鉄の両方が赤字運行している状態です。比較的安価な料金体系は、後代に借金を残しているという意味でもあります。韓国政府は、少なくとも同時代に住んでいる韓国人に行き来する手段だけは余裕をもって確保してくれている状態だということです。

自治体が、今後、バスや地下鉄の運賃も原価連動制にすると言いだしているので、日本に比べて比較的安価な運賃がいつまで続くか、断言することは困難です。



主要都市の公共交通機関運賃
  • < 2014年11月末基準(単位=ウォン)*資料=行政自治部 >

  • Lim, Chul
  • 入力 2014-12-26 09:00:00

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