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通常賃金の爆風…企業経営は視界ゼロ

  • 起亜自動車の生産職1年目のAさんは、今年は月平均455万ウォンを受け取る。これは全国の5人以上の事業場の労働者の平均賃金341万ウォンよりも114万ウォン多い。現行制度のままであれば、来年のAさんの賃金ははるかに上がる。

    まず基本給が突きあがる。最低賃金の算入範囲(基本給と一部固定手当)に該当する金額は170万ウォンなため、団体協約に基づく総労働時間(月243時間)で分けた場合の時給は7000ウォンで、来年度の最低賃金7530ウォンに比べて低いためだ。また、定期賞与金130万ウォンを含めさせる通常賃金関連の1審判決がそのまま維持されると、延長・夜間勤労と有給休暇手当も大きく上がることになる。通常賃金はこれらの手当を計算する基準となるからだ。

    文在寅(ムン・ジェイン)政府が発足初期から最低賃金の引き上げや労働時間の短縮など、労働者よりの政策を矢継ぎ早に出し、裁判部さえも全体的な考慮を行わず、通常賃金関連の訴訟で相次いで労組側を持ち上げたことで企業は混乱に陥っている。基本給に加えて賞与や手当、退職金などの算定基準などが互いに複雑に絡み合っている現行の給与体系は、長いあいだ労使政(労働者と使用者と政府)の合意なしに、その場しのぎ的に労働者の報酬を決定する過程で作られた現実的な妥協物だ。

    このために、給与体系を改善するためには何よりも「政労使」間の大妥協が必要だが、最低賃金の引き上げや通常賃金の拡大解釈、労働時間の短縮などが一気に押し寄せて、予想もできなかった企業の負担が雪だるま式にふくれあがっている。

    今後は人件費の負担がどれだけ増えるか不確実な状況で、企業は投資計画もしっかりできないほど深刻な「視界ゼロ」状態に陥った。

    通常賃金で訴訟中のある鉄鋼メーカーの関係者は、「中国に発するサード報復や米国の鉄鋼セーフガード規制、韓米自由貿易協定(FTA)の再交渉などの対外不確実性も濃いにもかかわらず、国内でさえ最低賃金の引き上げや通常賃金の敗訴の可能性などの悪材料が一度に津波のように押し寄せ、経営計画をどのように組むか悩みだ」と息苦しさを訴えた。

    1980年代に作られた最低賃金・通常賃金の制度を現実に合わせて法制化しなかった政府・国会に対する不満の声も出ている。

    KB証券によると、通常賃金訴訟によって確定退職給付債務を自己資本の10%以上積んだ業種は機械・造船、輸送、情報技術ハードウェア、ディスプレイなどで、製造業には全方位的な問題になった。

    最低賃金1万ウォンへの引き上げにともなう企業の負担は36兆ウォン(小商工人連合会)~140兆ウォン(中小企業中央会)で、通常賃金にともなう負担は14兆6000億ウォン(労働研究院)~38兆6000億ウォン(経営者総協会)と天文学的な数字だ。状況が深刻になったことから、一歩遅れて1日に金東兗(キム・ドンヨン)経済副総理は経済関係長官会議で、「通常賃金の法的範囲を明確にする勤労基準法のすみやかな改正を推進する」と明らかにした。
  • 毎日経済 チョ・シヨン記者/イ・ジェチョル記者/ナ・ヒョンジュン記者 | (C) mk.co.kr | 入力 2017-09-02 08:29:19