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韓国の書店街、ノーベル賞のモディアノと村上春樹…ベストセラー競争

韓国10位圏に2冊...イギリス・スウェーデンなどヨーロッパ超強勢 

    10月の3週め、韓国のベストセラー1~2位を争う本はノーベル文学賞受賞者パトリック・モディアノの『暗いブティック通り』と村上春樹の『女のいない男たち』だ。ヨーロッパ対日本のこの張り詰めた対決は、今年一年の小説市場を縮約した姿に他ならない。「小説の季節」夏が過ぎていった。10月末までの今年の国内小説市場を振り返ると、韓国の小説は泣いて日本とヨーロッパの小説は笑った。

    教保文庫の集計によると、今年の上半期のベストセラー1位であり、現在までの累積販売数1位はイギリスの小説ジョジョ・モイズの『ミービフォアユー(Me Before You)』だ。下半期を平定したヨナス・ヨナソンの『窓から逃げた100歳老人』はスウェーデン産。ヨナソンは『スウェーデン王国を救ったスーパーガール』も14位に上げて、連続ホームランを打った。フランスは7位『幸福はどこにある』(フランソワ・ルロール)と8位『明日(Demain)』(ギョーム・ミュッソ)、そして9位『第3の人類 1(Les micro-humains)』(ベルナール・ヴェルベール)を総なめにした。ノーベル賞特需が始まったばかりのパトリック・モディアノの善戦まで勘案すれば、フランスは今年の国内小説市場の勝者になる可能性が高い。

    日本もヨーロッパと二強構図を形成した。東野圭吾は20位圏に『ナミヤ雑貨店の奇蹟』(5位)と『夢幻花』(15位)の2冊の名前をあげ、今年だけで10冊の本を出版して韓国で最も売れている作家の座を獲得した。9年ぶりに小説集を出した村上春樹の人気も相変わらずだった。『女のいない男たち』は8月末の出版以来2ヶ月間、小説分野で1位を守っている。発刊総数を比較するとより明確になる。教保文庫によると、今年1月から9月までに出版された韓国の小説は3852種で昨年の同じ期間よりも4%減少し、日本の小説は800種で前年同期(694種)よりも15%も増えた。

    ◆ 観念・意識に重点を置きストーリーテリング弱く

    一方、韓国小説の教保文庫での販売量は、10月22日までに前年比で14.7%減となった。シェアも32%から28.6%に低下した。10位圏に上がったのはチョ・ヂョンネ(趙廷来)の『ジャングル万里』1冊とキム・エランの『ドキドキ私の人生』だけだ。2冊はそれぞれ昨年の7月と2011年に出版されたので、新作は全滅したわけだ。20位圏に視野を広げても、13位に上がったキム・ヂンミョンの『サドゥ(THAAD)』が新作としては唯一名前を上げた。

    昨年の夏市場を趙廷来やシン・ギョンスク(申京淑)、チョン・ユジョンやキム・ヨンハ(金英夏)などの韓国作家がリードしたこと振り返ってみると隔世の感がある。出版界はこのような低迷の原因として、セウォル号の影響をあげる。夏市場に出師表を投じる本は4~6月に集中的に出版され、マーケティング競争を繰り広げる。しかし、今年の国内作家の新作はブックコンサートなどのプロモーションが難しいという理由から、この時期を避けて出版を延期した。その空席が海外小説で満たされたわけだ。

    昨年、ヘビー級作家らの長編が降り注いだことととは異なり、今年は大型作品の数も減った。夏に穏やかな人気を呼んだソン・ソクチェ『透明人間』が4万部、ハン・ガン『少年が来る』が2万部を超えて善戦した程度だ。

    ヨーロッパ小説の躍進は多様なジャンル小説の善戦のおかげだ。『ミービフォアユー』は涙を誘うロマンス小説であり、ヨナソンはおもしろくてすらすら読める「ページチューナー(page‐turner/譜めくり)」小説の典型だ。ベルナール・ヴェルベールはSF的な性格が強い。東野圭吾・奥田英朗・宮部みゆきなどが率いる日本小説はミステリー&スリラーに強みがある。

    出版評論家のチャン・ドンソクは、「日本やヨーロッパから輸入された小説は、物語が生き生きと生きている。ヨナソンの小説は水が流れるように、ユーモラスにページをめくっていく。東野圭吾もジャンル小説と決めつける前に、推理的なユニークな物語構造が卓越している」とし、「小説は文字通り物語だが、韓国小説は過度に意味や概念・文体美学を追求する。ストーリーテリング小説を格の低い小説と見る厳粛主義も毒になっている」と説明した。
  • 毎日経済_キム・スルギ記者 | (C) mk.co.kr | 入力 2014-10-22 17:04:26