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イ・ビョンホン、「8年ぶりの悪役、大きな喜びを感じた」

    「この帳簿に書かれた奴、全員俺の犬だ。俺が吠えろといえば噛み、噛めといえば飲み込む」

    賄賂で作り上げた政府関係人脈を踏み台にし、巨大な金融多段階会社を引き連れてきた詐欺師チン・ヒョンピル(チン会長)。庶民たちを対象に数千億ウォン詐欺を行って力を増していた彼が、ある日敵と出会った。彼を通じて背後勢力まで一網打尽にするという一念の一本気な刑事キム・ジェミョン(カン・ドンウォン扮)は、チン会長の右腕であり天才ハッカーのパク将軍(キム・ウビン扮)を利用して捜査網を狭めてくる。息詰まる追撃戦を続け、ついに行き詰まりに追いやられるチン会長。足をひきずり、大切な帳簿を胸に抱いて、彼は悔しそうに繰り返した。「あのやろう、夢みたいだな」

    21日公開される映画『マスター』(監督チョ・ウィソク)にて俳優イ・ビョンホンが演じるチン・ヒョンピルはそのものが八色鳥だ。会場に集まった数万人の多段階会員の前で「私たちはひとつの家族」と熱弁する際の高揚した表情と、賄賂を与えた高位公務員を脅迫する際の冷たい眼差し、ねちっこいアクセントの英語でフィリピン政治家たちを焼いて煮る姿は同じ人物とは思えないほどだ。

    「骨の髄まで悪い人間にも、きっと心の奥深くで自ら合理化する名分があると考えました。自分なりの所信を作り出そうと努力しました」。ただ金だけを信じ、崇拝するこの現実密着型悪党の顔はデビュー25年目を向かえた老練俳優の直感から相当部分が作り出された。

    映画の中で「俺は土のスプーンの人生たちに夢と希望を与えているだけ」だと庶民から金を巻き上げる行為を釈明するチン会長の厚かましい台詞から、強烈な白髪と衣装、話し方、様々なアドリブすべて彼の作品だ。

    チン会長は『グッド・バッド・ウィアード』以降イ・ビョンホンが8年ぶりに演じる純粋な悪役だ。昨年主演した映画『内部者たち』の中の政治ヤクザであるアン・サング役とは妙な既視感がある。

    「どうやってでも生き残るために頭を回転させてもがくこと以外は完璧に違うキャラクターだと思っています。アン・サングは実際には悪党というにはちょっと違う人物でもありましたが(笑)」

    演技人生にて、悪党と縁が深くは無かったという彼は「頻繁に演じることが出来なかったことに対する渇望、それを達成したときの喜びにより悪役も拒否感はありませんでした」と話した。

    2013年に新鮮な素材のアクションスリラー『監視者たち』で550万人の観客を動員したチョ・ウィソク監督の新作である事に加えてイ・ビョンホン、カン・ドンウォン、キム・ウビンなど各世代を代表するヒット俳優たちが集まったことで早くから口コミが広がった映画だ。『内部者たち』、『ベテラン』、『犯罪者との戦争』など社会不正を描く過去のヒット作にて検証された要素を抜き出して連結させた形だ。馴染みのある勧善懲悪の構図と、多少長いランニングタイム(143分)でも観客の興味を維持させる原動力はカラーのはっきりとしたキャラクターの力だ。熟練のイ・ビョンホンのチン会長を筆頭に、愚直で爽やかな存在感を見せるエリート警察役のカン・ドンウォンや、善と悪の間で絶えず葛藤するパク将軍役のキム・ウビンが絶妙なアンサンブルを見せる。

    「ドンウォンはジャージを着ても、どうしてそんなに格好良いんだろうと思いましたよ。性格も本当にクールで、万能運動選手でとても驚くほどシャープなアクションシーンを見せてくれました。ウビンは聞いていたよりもずっと素晴らしい青年でした。礼儀正しく、義理もあり」

    187センチのキム・ウビンを相手にする場面では「(見上げるのに)首が痛い。座れ」と吐き出す台詞は後輩との相性を考慮した彼のアドリブだった。

    今年イ・ビョンホンは賞との縁が多かった。映画『内部者たち』で百想芸術大賞、青龍映画賞、韓国映画評論家協会賞などを総なめにした。

    「こうして多くの賞を受けてもいいのだろうか、少し申し訳ない気持ちが沸くほどです。アン・サングという役割が本当に人々に多くの影響を与えたんだなと思いました」

    彼は今年末と来年キム・ユンソク、コ・スが出演する映画『南漢山城』撮影にまい進する計画だ。「少し休まねばとも思いますが、最近数年間シナリオを読んで見ると逃したくない気持ちが大きくなりました。俳優という職業は次の歩みを確信できないため、目標を立てはしないタイプです」
  • 毎日経済_オ・シネ記者 / 写真=CJエンターテイメント | (C) mk.co.kr | 入力 2016-12-17 07:11:23