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  • Q.
    韓国のドラマおよび映画の制作会社について教えてください。(2)
  • A.
    ※この記事は「韓国のドラマおよび映画の制作会社について教えてください。(1)」の続きです。

    高麗時代の武士と現代を生きる女性医師。2012年に放映されたSBSドラマ『シンイ-信義-』は、時空を飛び越える男女の愛を描きました。ドラマの巨匠がメガホンを握りましたが、残念ながら視聴率が12.2%に留まってしまいました。

    視聴率はお金を意味します。ドラマ制作会社は、放送局から受け取るお金と広告収入、PPL協賛などで制作費をカバーするのですが、常に不足している状況でしょう。視聴率が30%を遥かに超えるなら、ドラマを放映している間にも広告やPPLが増え、放送局の制作費も増加します。そもそも放送局との契約も視聴率を担保にします。

    • < 韓国ドラマを塗り変えたと評価されるキム・ジョンハクPD演出の『黎明の瞳』 >

    『シンイ-信義-』を制作したキム・ジョンハクPDは、1990年代初めに放映された『黎明の瞳』(MBC)で韓国ドラマの基礎をひっくり返した人物です。ある人にとっては記憶することも嫌な韓国の近・現代史を3人の男女の行き違った運命と愛を通して見せてくれたこの作品は、100億ウォン台の制作費と海外ロケ、半分ほどは事前制作された作品でした。最近に入ってはドラマ制作によくある姿ですが、当時としては破格のことでした。そのため、一部では韓国ドラマを『黎明の瞳』の前後で区別するほどでしょう。

    この作品のほか、『砂時計』(SBS)、『第5列』(MBC)、『人間市場』(MBC)、『退役戦線』(MBC)も前人未到の道を開拓した作品でした。

    しかし、残念ながら2010年以来、キム・ジョンハクプロダクションが手がけたドラマの視聴率が回復しませんでした。低調という程度ではなかったでしょう。決心して作成したコメディー諜報物『国家が呼ぶ~恋する国家情報局 』(KBS)は、ヒットの予感という当初の予想とは異なり、一桁台の視聴率で放映終了を迎えました。度重なる制作の失敗で俳優たちに出演料を適切に支給できなくなり、キム・ジョンハクPDは訴訟に苦しめられました。

    いくら視聴率が低調だったと言っても俳優に出演料を払えないほどだって? 信じ難いですが事実です。『シンイ-信義-』を例に見てみましょうか。

    『シンイ-信義-』は、1回当たりの制作費が5億5000万ウォンで、計132億ウォンという莫大な資金がかかりました。SBSが放映権を確保した見返りに支払ったお金は、予告編の制作費8億ウォンと1回当たり3億2000万ウォンほどでしょう。残りは制作会社がPPL広告、版権輸出などで調達するでしょう。当初は10億程度の黒字を期待しましたが、PPL誘致などに支障を来たしながら借金だけが積もっていきました。

    視聴率が高く、日本や中国の反応も良く、版権が期待しただけ輸出されても、10億ウォン程度の収益を期待する程度という意味ですね。似たような時期にKBS2で放送された『王(ワン)家の家族たち』は、ドロドロ愛憎劇だという非難にもかかわらず、48%という高い視聴率を記録しました。このドラマを作ったドリームE&Mは、大金を稼いだでしょうか? 知られていることとしては、黒字になったものの金額的に計算すれば、本当にたいしたものではないほどだったそうです。出演陣に韓流スターが見当たらなかったためなのかも知れませんが、版権の輸出が微々たるものだったためだといいますね。

    このようにドラマの制作にはリスクがいっぱいです。収益規模に比べてリスクが大きすぎるのでしょう。成功も保証するのは難しいです。カギは視聴率です。そのため、ドラマ制作会社は視聴率保証の作家、興行保証小切手と評価される俳優、ヒット作品を撮る演出家を確保するために必死になります。

    このうち、ドラマ作家の確保が代表的な方法として動員されますね。韓国のドラマはいまだ作家の影響が最も強いためです。苦労してPPLを確保しておいても作家がPPLを露出するストーリーを編んでくれない限り、PPLは効果を見ることは困難です。効果がなければ? PPL契約は途中で破棄される可能性がありますよね。そのため制作会社は、ドラマが放映される途中に作家にPPLを露出してほしいと哀願するようになります。

    事前に契約金をもらった作家であれば、事情は少しましでしょう。保証小切手として定評のある作家は、長期契約に縛られることをはばかります。多くて1本当たり5000万~1億程度を受けるため、拘束される理由もないですよね。しかし、作家をたくさん保有しているなら、それなりに利点があります。まず、放送局に絶えず企画案を差し出すことができますよね。毎週新しい企画案を持って放送局に訪れたなら、少なくともドラマPDの関心は引くでしょう。そうするうちに企画案が採用されれば、制作会社は儲かるのです。

    作家を抱えようとするなら、契約金を事前に渡さなければならないため資金力が必要です。お金がなければ、新人作家の登竜門という名声でもなければならないでしょう。このような利点を持って作家を保有する会社としては、三和ネットワークス、PANエンターテイメント、キム・ジョンハクプロダクション、ドリームE&M、ストーリーTVなどが挙げられます。

    演技者と契約した芸能マネジメントを兼ねている時は、所属俳優のスケジュールを調整することができ、出演料も一部制御できますよね。主演俳優の出演料が1本あたり1億ウォンまでにも急騰するほどだから、ある程度制御するだけでもドラマを作るコストを削減できるでしょう。芸能マネージメントを兼業するドラマ制作会社は、iHQ、JSピクチャーズ、チョロクベム、HBエンターテイメント、FNCエンターテイメント、SMC&Cなどです。

    1つ付け加えるなら、制作者や演出家(PD)が率いる制作会社より専門経営者が会社を引き受ける制作会社の経営成果が良いという点です。作ってみたい作品よりはお金になる作品を作るためでしょう。