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もっと! コリア (Motto! KOREA)
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  • Q.
    黄砂対策には豚肉がいいというのは本当ですか?
  • A.
    昨年春、豚を育てる畜産農家と環境部の間で騒動がありました。(環境部:空気や水、土壌中にある各種の汚染物質を管理する政府の部処)

    黄砂のせいで空気をきれいにするのが容易でないためなのか、環境部で豚肉が黄砂に効果がないと発表をしてしまったのです。黄砂のおかげで豚肉の売れ行きをよくしようとしている畜産農家が憤慨したのはいうまでもありません。畜産関連の団体は、環境部の発表を報道しないよう言論者に泣いて訴えましたが、良くない噂に限ってすぐに広まるもの、すでにあちこちでその噂は広まってしまったのです。

    環境部の発表した内容は、豚肉が喉(気道)を通じて入ってくるほこりを豚のサムギョプサルで洗い流すということは科学的に証明されたことがなく、むやみに豚肉を食べて体重が増え、健康を害するかもしれないことへの警告が含まれていました。

    貧しい時代には、豚肉で足りないタンパク質を補い、豚肉の脂が肺に蓄積した公害物質を中和させる効果が若干あるといわれていましたが、普段から脂っこい食べ物をたくさん食べるようになった最近では、黄砂が飛んでくるからといって豚肉を食べる必要があえてなくなったというのが発表内容の要点でした。

    非常事態に陥った畜産農家では、各種の資料をつきつけて激しく反発しました。豚肉が売れなければ黄砂をたっぷり吸いこんで死んでやるという悲壮な覚悟をしていたかもしれません。

    「東医宝鑑」にも出ています。一度読んでみてください。水銀中毒と鉱物性薬中毒を治療すると書かれていませんでしょうか。東医宝鑑は16世紀に活動していた朝鮮の名医「ホ・ジュン」が書いた本ですが、医術が大変優れ、最近の韓国人は医者よりもホ・ジュン先生をずっと信用するでしょう。

    とにかく、東医宝鑑では不足であると感じたのか、数年前に食品研究院の研究結果とスンチョンヒャン大学の予防医学教室で調査した資料も突きつけました。せんじ詰めれば豚肉が黄砂に効果があるということも科学的に証明されていない状態だから、このような場合は声の大きい者が勝利するというものなのです。

    一方は生死のかかった問題である上に、韓国の民族医師格の「ホ・ジュン」先生を背負っていて、もう一方は勝とうが負けようがなんの利益もないのであれば、事実上勝敗は最初から決まっていたといっても過言ではありませんでした。

    環境部は黄砂と豚肉を巡る騒動について発表してから一週間も経たないうちに長官が直接、国会で過ちを認定し、発表した資料の責任部署の課長が畜産農家の関連団体を訪れ謝罪をおこない、両陣営間の争いは幕を閉じました。

    さて、環境部と畜産農家のどちらが勝者でしょうか?

    豚肉には豚肉は効果がないとおそまつに発表したため、もはや豚肉が黄砂に効くというのは伝説になってしまったということになります。

    実際に炭鉱村の鉱夫やほこりがたくさん飛び交っている所で仕事をしている建設労働者は、かなり以前から豚肉を好んで食べていました。昔、学生に勉強を教えながらたっぷりとチョークの粉を吸引した教師も、豚肉をたくさん食べたといいます。豚肉が塵肺予防に役立つという信心は、今では黄砂の心配をする国民、とくにこどもを育てる主婦の間で広がる傾向です。環境部の否定的な報道資料が、むしろその信心を強めていったようです。

    それでは豚肉は本当に黄砂の中に含まれる微細粉塵が肺に蓄積するのを防ぐでしょうか。微細粉塵だけでなく、粉塵に付着しているカドミウム・アルミニウム・鉛・ダイオキシン・ウイルスも追い出してくれるでしょうか?

    現時点では、「そうだ」と答えるのが優勢です。豚肉にたっぷり含まれている不飽和脂肪酸が血管にコレステロールが蓄積するのを防ぐうえに、豚肉の脂肪質は吸着能力が優れ、胃腸から出る際にともに重金属を体外に出してくれるという説明が正しいように思えます。

    そのうえ、前にも少し言及しましたが、食品研究院の調査結果、一週間に2~3回ずつ豚肉を食べる労働者の血液が、食べない人より若干濁りが少ないことがわかりました。血液中にあるカドミウムと鉛の濃度が若干減ったという研究結果のようですので、いったん豚肉を遠ざける理由はみつからないようですね。

    また、豚肉の遺伝子が脊髄動物の中で人間と最も似ているということをご存じですか?フランスの小説家ベルナル・ベルベルは、「父親たちの父親」という小説で、人類の起源を豚から求めています。ぞっとしますが面白い本なので一度読んでみてください。感想は不要です。その本を買うお金で豚肉を買って黄砂の対策をするというなら、仕方ありませんが。

    Tip1:黄砂が激しいと霧がかかったようになり、遠くの風景も見えなくなります。とくにきれいなスーツでめかし込んだり、洗車をした直後などにはおびただしい損害を被ることになります。ほこりを吸い込んで気分が良くなることはありませんが、黄砂が運んでくる問題は微細粉塵からはじまります。ほとんどのほこりは、鼻でろ過されますが(鼻毛がその役割をします)、10マイクロメートル未満のほこりは鼻毛の間をすり抜けて肺に直行します。

    黄砂は中国大陸と海を渡ってきながら、質量の重いほこりは下に落ち、微細粉塵の割合が相当大きくなります。風が吹くとき、田舎で吹き荒れるほこりなどは相手にもならないほど有毒です。微細粉塵に混ざって有害重金属が付着しているので考えただけでもおそろしいことです。

    Tip2:食べ物の好き嫌いが激しく、豚肉が食べられない人は水をたくさん摂取しましょう。洗顔で顔の汚れを落とすように水で体内の有害物質を洗い流す原理です。キキョウや菊、けつめいしなどを煎じて飲めば、黄砂のせいで疲れた目を保護するのに役立ちます。野菜をたくさん食べることもひとつの方法です。