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  • Q.
    韓国で人気のロングランミュージカルを教えてください。(1)
  • A.
    「どうだろう、ナンタ(NANTA)じゃないかな?」

    韓国を代表するロングランミュージカルについての質問に、音楽で生計を立てている友人がしばらく考えた後に出した意見です。

    『明成皇后』が20年の歴史を誇り、『マンマ・ミーア!』がそれなりに成功したミュージカルだとしても、観客動員数ではナンタに負けるという説明が続きました。

    「ナンタ?ナンタもミュージカルなのか?」

    この言葉をなんとなく呟いたせいで、1時間、無知な奴だという扱いを受け、説教を受けることになりました。

    セリフはほぼなくても、音楽やダンス、ストーリーだけで構成されていても、ミュージカルとして遜色がないという意味です。このようなミュージカルをノンバーバル・パフォーマンス(non-verval performance)と呼ぶそうで、ミュージカルの一種に分類されるという説明が続きました。見方を変えれば、主流からは少し外れた感を与えるミュージカルなわけです。

    そのため、『ナンタ』は韓国ミュージカル大賞で本賞の代わりに特別賞を受けるにとどまりました。ナンタが特別賞を受けた年に作品賞を受けたミュージカルは「ロングラン」の隊列に合流するのに失敗した作品です。

    『ナンタ』がミュージカルであるとすれば…そうだとすれば…『B-BOYに恋したバレリーナ』や『ジャンプ(JUMP)』もミュージカルなんでしょうか…? 正解です。ミュージカルなんだそうです。

    『ナンタ』が突然結婚式のパーティを準備するために賑やかになるキッチンの様子を描いているものだとしたら、『B-boyを愛したバレリーナ』は『ロミオとジュリエット』と似たようなストーリーを含んでいます。『ジャンプ』は韓国のテコンドーをもとにしたパフォーマンスすね。

    そういえば、代表的な韓国のノンバーバル・パフォーマンスには、韓国のプライドであるサムルノリ(韓国の伝統楽器を用いた音楽)、ビーボーイ、テコンドーを素材にしてストーリーを組んだ作品という共通点があります。この三作品は、韓国だけでなく、ブロードウェイやロンドンなど、海外に進出することにも成功しました。

    韓国のミュージカルが比較的短い歴史であるにもかかわらず、それなりの成果を出す背景には、韓国音楽に似たようなジャンルが発達していたためでもあるでしょう。唱劇や、歌劇、パンソリ、タルチュムは西洋のミュージカルと舞台上での演出は異なりますが、表現方法は似ています。韓国人がパンソリやタルチュム、サムルノリに慣れているため、西洋のミュージカルも簡単に受け入れることができたのでしょう。

    韓国の音楽家たちが本格的に大型ミュージカルに飛び込んだのは、翻案ミュージカルである『オペラ座の怪人』が興行で成功を収めてからです。もちろん、その前にも、ミュージカルの公演がなかったわけではありませんが、莫大な制作費をかけることは避ける傾向にありました。

    韓国初の西洋式創作ミュージカルは1966年に舞台になったイェグリン楽団の『サルチャギ・オプソイェ(살짜기 옵서예)』(韓国の方言で、「そおっとそおっと来てください」の意)です。官吏と妓生(キーセン)の間の愛を描いた古典的な小説『裵裨将伝』のストーリーをベースにしたミュージカルなのですが、残念ながらわずか7回で公演が終わってしまいました。イェグリン楽団は、政府が主導して作られた団体で、評判があまり良い方ではありませんでした。舞台に立った歌手たちは渾身の力を尽くしましたが、大衆の関心を引くことは大変でした。

    1990年代後半から『明成皇后』と『愛は雨に乗って』などの作品が公開されましたが、「ミュージカルでお金を稼ぐことができるのか」という懐疑的な視線は相変わらずでした。このような状態を劇的に変えたのが、先に紹介した『オペラ座の怪人』です。2001年にLGアートセンターで公演したこの作品は、7カ月間の公演期間中に94%の座席を売り、24万人の観客を動員しました。総制作費として約150億ウォン程度がかかりましたが、売上高が192億ウォンに達し、42億ウォンの純利益を出しました。

    当時の韓国ミュージカルの市場規模が年間200億ウォン程度だったことを勘案すれば、どれ程の成果であったかを簡単に推測することができるでしょう。『オペラ座の怪人』のおかげで、韓国のミュージカル市場の規模が一気に2倍に大きくなったのです。『オペラ座の怪人』が興行に成功すると、『マンマ・ミーア!』、『キャッツ』、『美女と野獣』などの作品が韓国で全国巡回公演を行いました。 120億ウォンの制作費が投入された『美女と野獣』は、約6カ月間の公演で5億ウォンを稼ぐにとどまりましたが、制作会社や歌手たちに勇気を与えるのに十分でした。少なくとも損をする商売ではないという認識をしっかりと植え込まれたからです。

    ここに大型ミュージカル『明成皇后』と小劇場を中心とした『愛は雨に乗って』、『パルレ(洗濯)』、『OH!あなたが眠る間に』、『キム・ジョンウク探し』などが加わり、韓国ミュージカル市場は急速に規模を育てました。

    しかし、韓国ミュージカルは、ようやく社会に一歩を踏み出した青年に例えられます。まだ完ぺきではなく、問題が多いということです。韓国ミュージカルの慢性的な問題である専用劇場の問題もかなり解決されましたが、高価なチケットが原因で、まだ少ない忠実なファンに依存しているというのが最も急がれる解決課題です。

    劇団側が観客を生計手段としてだけ見て、作品に対する観客の批判を受け入れていないまま、観客のレベルが低いと騒いでは、ファンの怒りを買ったりもしました。『ジキル&ハイド』の場合、公演10周年記念で初演メンバーをキャスティングして期待を集めたが、オーケストラの拍子もぎくしゃくしており、観客が拍手をしている中でも、次の曲を始めてしまうといった進行で、ファンを当惑させました。

    さらに、1階の一番後ろの席まで観覧料が14万ウォンもするVIP席に指定して、ファンをカモだと思っているのかという非難を受けました。ミュージカルファンは、この事件を起こしたミュージカル『ジキル&ハイド』を「ジキルとヤンボン(ばた屋+カモ)」と呼ぶほど、深刻な後遺症を残しました。

    まだまだ空腹な状態で起きたハプニングだと理解してあげるべきでしょうが、韓国ミュージカルが安定的な成長を続けていくには、このような事態が再発してしまっては困ってしまいますね。

    • < 韓国初の創作ミュージカル『サルチャギ・オプソイェ』の公演場面 >



    • < 韓国で大型ミュージカル成功の可能性を立証した『オペラ座の怪人』韓国公演25周年を記念して、オリジナルチームが来韓した >



    (※この記事は「韓国で人気のロングランミュージカルを教えてください。(2)」へ続きます。)