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  • Q.
    韓国で社会的に物議をかもしたスポーツ賭博や八百長事件について教えてください。(5)
  • A.
    (※この記事は「韓国で社会的に物議をかもしたスポーツ賭博や八百長事件について教えてください。(4)」の続きです。)

    ▶ プロサッカー八百長事件

    球技の種目のうち、おそらくサッカーが最も簡単に八百長をすることができます。審判だけを買収しても操作が可能で、ディフェンダー1人だけが八百長をしようとするだけで、相手側が勝つようにできることでしょう。2011年2月、トルコで行われたAマッチの2試合は、このような疑惑を持たざるを得ないことを見せてくれた事例です。2試合の得点の7点分が丸ごとペナルティキックによるゴールだったからです。

    2013年ユーロポールが、欧州15カ国でおよそ425人の審判と選手、サッカー関係者が八百長に関与したと発表したため、韓国Kリーグで起こった八百長事件は、世界的な傾向に沿ったものとでも言えるでしょうか。2011年に明らかになった韓国Kリーグの八百長は韓国サッカー史上最悪のスキャンダルでした。

    韓国プロサッカーの八百長疑惑を初めて提起した人はチャ・ボムグンです。あるメディアとのインタビューで、勝負操作(八百長)が起きていると言及したのです。その時は1998年でしたが、当時はチャ・ボムグンが代表監督としてフランスワールドカップに参加したのですが、成績が低調で途中で更迭されて戻ってきたところで、あまり大衆の支持も受けておらず、うやむやに終わってしまいました。むしろ根拠のない噂でサッカー界の名誉を失墜させたとして、5年間の資格停止処分を受けたそうです。

    その後、12年が経った2011年、韓国サッカー界で八百長が行われるという事実が白日の下に晒されたのです。事件はその年の5月に仁川ユナイテッド所属のGKユン・ギウォンが自殺して、水面上に浮かびました。ユン・ギウォン選手が自殺をする特別な理由がなかったせいで、家族も納得できずにいたのですが、巷で八百長を拒否して組織暴力団に殺されたという噂が広がったのです。

    昌原地検で八百長に加担した疑いのあるサッカー選手とブローカーに対する大々的な捜査を開始し、光州FCのGKソン・ギョンモと尚州尚武FCのFWキム・ドンヒョンが拘束されました。キム・ドンヒョンは周辺のプレーヤーを引き込むブローカーの役割をした事実が明らかになっています。

    サッカー界がひっくりかえりました。プロサッカー連盟総裁が国民に頭を下げた日、ソウル・ユナイテッド所属のチョン・ジョングァン選手がソウル市内のホテルで自分が八百長の関係者であることを明らかにして、許しを願うという遺書を残して自殺しながら、謝罪するタイミングさえ間違ったと皮肉を言われました。

    浦項スティーラーズのDFがチームメイトに勝負操作(八百長)が行われるという予告を聞いて、姉の夫の名前でスポーツtotoを買ってお金を手にしたという事実も明らかになりました。

    検察が捜査を続ける中で、サッカー協会は、八百長に加担した選手たちに自主申告をするように圧力をかけました。全北現代のレギュラーGKヨム・ドンギュンが勝負操作に加担した事実が追加で明らかになり、衝撃を加えました。それまで勝負操作に加担した選手たちは、年俸が低く小銭ですらも惜しかっただろうと同情が可能でしたが、ヨム・ドンギュンは高額年俸を受け取るレギュラーのGKだったからです。

    Kリーグを代表するベテランも勝負操作に加担したかもしれないという疑惑が大きくなっていきました。結局、自己申告の締め切りを一​​日後に控えて、代表選手を務めた水原サムスンのチェ・ソングクが、尚州尚武FCプレー時代に勝負操作に加担したと自己申告したのです。後で判明したことですが、チェ・ソングクは単純な加担者ではなく、銭主に2000万ウォンを受けとっては、仲間の選手を積極的に引き入れて試合操作で得られた収益金を分けあったことが明らかになりました。

    検察の捜査は、8月になってからようやく終わりましたが、最終的に検察に起訴された選手は合計59人で、2001年シーズンのKリーグ登録選手680人の9%にもなりました。そして、このうち8人を除いた51人が有罪判決を受けて、選手生命が終わったのです。プロサッカー連盟は、この事実をFIFAにも通知しました。チェ・ソングクなど、技量が優れていた一部の選手は、海外のチームへ移ろうとしましたが、永久除名は韓国だけでなく世界のサッカー界に共通で適用されるFIFAの方針のため、失敗に終わってしまいました。

    八百長の事実が明らかになり、サッカー選手3人と監督1人が幽明境を異にしました。チョン・ジョングァンの他に尚州尚武FCのイ・スチョル監督も自ら命を絶ちました。この監督は勝負操作には関与していませんでしたが、ブローカーの役割をしたキム・ドンヒョン選手から金品を受け取った事実が明らかになり、名誉が失墜した事実に耐えられなかったのでしょう。

    勝負操作に加担していた水原サムスンのイ・ギョンファン選手はサッカーの試合に出場することができなくなりながら、生活苦に耐えられず自殺しており、浦項スティーラーズのチャン・ヒョンギュは急性心不全で生を終えました。

    イ・スチョル監督の自殺は確かに残念なことでした。勝負操作の中核として活動したチャン・ドンヒョンの父親が息子のことをお願いしながら1000万ウォンを渡し、イ監督が慣習的にこのお金を受け取りながら、球団の会食費として使用しましたが、キム・ドンヒョンの不正が明らかになった後、キム・ドンヒョン父子はイ監督に恐喝と横領の疑いの濡れ衣を着せたのです。裁判を経て疑いがないという事実が明らかになりましたが、巨額の訴訟費用を使いながら裁判を受けている間、息子の大学入学が取り消される事態まで起き、激しい精神的苦痛を受けたという話です。

    確かに悲しいことでしが、このような勝負操作が再発する可能性はまだ残っています。サッカー界の慢性的な内部問題が改善されていないうえ、事件を主導した組織暴力団はちゃんと検挙されていない状態です。プロサッカー選手たちの中には、財閥の息子もうらやましくないほどのお金と人気を獲得したスターも​​多いですが、彼らの陰には、薄給に悩まされている無名の選手も数多く存在します。八百長の魔の手が伸びてきたとき、すべての選手が甘い誘惑と脅迫を克服するのは難しいことではないでしょうか。

    (※この記事は「韓国で社会的に物議をかもしたスポーツ賭博や八百長事件について教えてください。(6)」へ続きます。)