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もっと! コリア (Motto! KOREA)
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  • Q.
    韓国で、子連れの女性を虫(蟲)と呼ぶことになった代表的な事例を教えてください。(2)
  • A.
    韓国で、マムチュンにより騒ぎが起きた事例をもう一つ紹介します。非常識な母親に対して特別な恨みがあって書いているのでは絶対にありません。

    前回書いたマムチュン事例が妊婦だったため、少し足りないような気がして、紹介するべきだと考えたのです。事件の発生から、以降の展開過程はほぼ同じです。もちろん反転の過程も似ています。

    紹介する事件は「フードコート火傷事故」ですが、韓国のインターネットでは一時「スープ女事件」という名前でにぎわっていた事件です。

    この事件も被害者だと主張する子どもの母親がインターネットに投稿した文章が発端とされています。

    2012年2月24日、ポータルサイト「ネイト(Nate)」に子どもの母親が加害者を探してほしいという長文の文を書きます。

    2月20日、上の娘と9歳の息子を連れて光化門(クァンファムン)の教保文庫に行き、飲食店に立ち寄ったのですが、自分が料理を注文してから、水を取りに席を離れている間に、突然、息子の悲鳴が聞こえてきます。驚いて駆け付けたところ、顔が赤くなるほど火傷を負った息子があちこちへと走り回りながら、声を上げていたというのです。突然の状況に我を失っていたところ、横にいた女性が顔に水をかける応急措置をしてくれて、それから火傷専門病院に移されます。味噌汁をこぼした50代の女性は、自分も手に火傷を負ったからと、電話番号ひとつ残さず席を立ったというものです。

    文章を要約すると、だいたい、こんな内容です。子どもの母親が悔しいあまり、事件当時の防犯カメラの映像を確保して、警察に捜査を依頼したというのです。

    この記事は、瞬く間にインターネット上で広がりました。50代の女性は、スープ女というニックネームもつきました。

    しかし、4日後、この事件の加害者として指名を受けた50代の女性は、被害に遭った人に変わります。当事者であるこの女性が警察に自主的に出頭して、被害者はむしろ自分だと主張したのです。スープを持って席に向かっていたところ、子どもが走ってきて、スープをこぼしてから逃げてしまい、手に火傷を負った彼女は店員の助けを受けて応急処置をした後、食事の途中に飲食店を出て行きました。

    子どもの母親に問い詰めようとしましたが、姿が見えなく諦め、当時はスープをこぼした子どもが逃げてしまい、ケガをしたかどうかさえ知らなかったといものでした。その後、インターネット上で、テロリストだと、スープ女だと後ろ指を指さていた人が自分であることを知り、悔しくて警察に出てきたというのが彼女の主張でした。

    警察が防犯カメラの映像を確認した結果、女性の主張が事実として確認されました。

    • < 警察が公開した防犯カメラの映像のキャプチャ >

    防犯カメラがインターネットに流布した後、非難の矛先は子どもの母親に向かいました。

    ここまでは事実確認もせずに魔女狩りを日常的に行うネットユーザーたちの行為が目に余るくらいで、子どもの母親にも大きな責任を問うことはできないように見えました。子どもが怒られるのが怖くて、嘘をついた可能性がありますからね。しかし、事実確認がされた後にも、あれほど非難していた50代の女性に対する謝罪の一言もなく、言い訳をすることに一貫して、50代の女性に責任を転嫁する姿は相変わらずでした。

    謝罪文が掲載されはしましたが、50代の女性に対してではなく、自分の知り合いに謝罪する内容だったのです。自分たちが犯した罪は絶対に認めないという、その態度を曲げなかったのですが、さらに加えて、子どもの伯父だという人は妹の味方になって、子どもがケガをしたかどうかも確認せずにその場を離れた女性は、ひき逃げ事故を起こした後、そのまま姿を消した人と変わらないと、法的対応をするというような文章を掲載しました。

    マムチュンとして非難される理由は、この部分です。自分の子どもが顔に火傷を負い、生涯、下を向いて生きなくてはいけないかもしれないのに、といった風に子どもを売って責任を他人に転嫁しようとする態度が、悪い母親の典型的な姿ということです。

    この事件がインターネットで広く知られた後、ある韓国系の米国人が米国で起きた交​​通事故の事例を紹介しました。

    5歳の子どもが一人で自転車に乗って店に行く道路で転び、交通事故に遭ったため、子どもの親が損害賠償を請求した事件で、裁判官は運転手に無罪を宣告し、子どもを正しく保護する責任のある親が車の破損部分について弁償するように命令したという内容でした。

    他人に迷惑をかける「子どもの過ちは、親の過ち」というこの単純な事実を受け入れることが非常に簡単に見えますが、一部の人にとっては容易ではないことが示されています。