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  • Q.
    韓国ドラマの作家:マクチャンドラマの大家、イム・ソンハン、ムン・ヨンナム、キム・スンオク
  • A.
    マクチャンドラマが何かご存知ですか。ありきたりなストーリーでありながら、蓋然性の薄い事件が連続するドラマです。前に当サイトの新造語辞典でも説明したことがありますので、ここでは説明を省略します。(詳しくはこちらへ)ここからは、マクチャンドラマと非難されながらも有名作家の列に加わった人に誰がいるのかご紹介します。

    「マクチャンドラマ」といえば、韓国の放送界で2大山脈を成す、2人の人物がいます。イム・ソンハンとムン・ヨンナムです。インターネットで検索すると、韓国マクチャンドラマの2大山脈として、2人の脚本スタイルを比較する資料も出て来るはずです。

    イム・ソンハンは、大学で電子計算学を専攻して、塾でコンミューターの講師として仕事をしていたのですが、後に作家に転業した人です。今では故人となった12歳年下の夫がドラマPDだったからなのかもしれませんが、私にも分かりません。

    イム・ソンハンは対外露出を避けており、ウィキペディアにも自分の項目を削除してほしいと要請しています。この写真の他には公開できるような写真が手に入りませんでした。

    彼女の本命はイム・ヨンランで、ペンネームはお兄さんの名前なのですが、夫が突然死んだというニュースを聞いて、初めて女性という事実を知った人もいます。イム・ソンハンがドラマを書き始めたきっかけは面白いです。「最近、テレビをつけても面白いドラマがない。それなら、私が書こうかな」

    1997年、MBCの公募展で『怨讐』という短編ドラマが当選して、作家となりましたが、初期の作品は良い評価を受けました。日日ドラマ(月~金曜日まで毎日放送されるドラマ)歴史上、最高の57.3%の視聴率を記録した1999年MBCドラマ『見て、また見て』は互いの兄弟同士が結婚したり、無理に話数を延長したりした点を除けば、マクチャンドラマの要素をほとんど探すことのできない作品です。

    しかし、『見て、また見て』以降に出てきた作品がマクチャンへと変わり始めました。常識を超えた素材と話の展開、極端なキャラクターと状況設定などが『オンダル王子たち』(MBC、2001)、『人魚姫』(MBC、2003)、『花の仙女様』(MBC、2005)、『神様、お願い』(SBS、2006)、『オーロラ姫』(MBC、2013)に共通で登場します。イム・ソンハンは一時、悪口を言いながら、それでも見るマクチャンドラマの代名詞になっていました。なぜ、代名詞になったのでしょうか。彼女が執筆したドラマが、最低でも視聴率20%を超えたからです。

    イム・ソンハンに匹敵する作家がムン・ヨンナムです。ソウル女子大学の国文科を卒業したムン・ヨンナムも、初期には考えさせられる意味のある作品を書いていましたが、主婦を対象にした週末ドラマを執筆しながら、マクチャン作家として有名になり始めました。2014年に終わったKBSドラマ『王(ワン)家の家族たち』はマクチャンの頂点に至ったと非難されながらも、最高視聴率が48.3%にもなりました。

    • < ムン・ヨンナムは作品に出演する俳優たちと、会食を持つことが多い >

    嫁を虐める夫の家族、夫の浮気症は女性が我慢すべき宿命、浮気をした女性は許されないというストーリーや、男性らしい名前のせいでムン・ヨンナム作家が男性だと思っていたのに、年末の授賞式で顔を見て、「あの作家が女性だったの」と驚く人も多数います。

    ムン・ヨンナムのマクチャンは、イム・ソンハンとは差があります。

    イム・ソンハンは破格的な素材を介して視聴者の予測を超えるストーリーを展開します。良い人であろうが、悪役であろうが、ほとんどのキャラクターの性格が悪く、我慢できないとケンカを始めます。『人魚姫』ではコ・ドゥシムとハン・ヘスクが髪の毛をつかんでタックルを食らわせながら戦う場面に8枚の台本がさかれたと言います。コ・ドゥシムはこの場面を演技した後、二度とイム・ソンハンのドラマには出演しないと宣言したそうです。

    イム・ソンハンのドラマには突然死する登場人物が沢山います。『宝石ビビンバ』では、車に乗っていた女性主人公が心臓まひでこの世をを去り、『神様、お願い』ではテレビのコメディー番組を見ているときに、笑いすぎて死ぬ場面も登場します。『オーロラ姫』では、「がん細胞も生き物」として、「自分の間違った生活によりできた癌細胞なのに、殺すのはおかしい」と至極奇怪な言葉を述べる場面も登場します。

    これに比べて、ムン・ヨンナムのドラマには、不倫、離婚、姑と嫁の葛藤、暴力、倒産、出生の秘密など、マクチャンの要素が殆ど毎週欠かさずに登場します。そのため、ムン・ヨンナムのドラマにはまった視聴者は「ドラマを見ていたら、息苦しくてがんにかかる」という愚痴を言います。がんにかかりそうだと思っても、頭を抱えながらもドラマを見る視聴者、理解できますか。

    マクチャンの要素がムン・ヨンナムよりも、頻繁に登場する作家はキム・スンオクです。ある人によると、分単位でマクチャンが登場するそうです。専業主婦だったキム・スンオクは2000年にデビューした後、2008年に韓国ドラマの歴史にその名を残すマクチャンドラマ『妻の誘惑』を執筆しました。38%という高い視聴率を誇った『来た!チャン・ボリ』(MBC、2014)でも極端なキャラクター、頻繁な偶然、邪悪な悪役などに文句を言いながらも視聴するマクチャンドラマの真髄を見せてくれました。

    ドラマのマクチャン要素は以前から作家たちが扱ってきたクリーシェ(典型的な手法)です。キム・スンオクはこのようなクリーシェをさらに刺激的に活用して作品を作ることに卓越している作家です。似ている類型の作家には『アジュンマが行く』(KBS、2007)を執筆したムン・ウンアがいます。

    最近ではあまり活動をしていませんが、イム・ソンハの前にはマクチャンドラマで指折り数えられる作家としてソ・ヨンミョンがいました。活躍していた時には、イム・ソンハンのライバルに挙げられていた作家です。2013年にはJTBCの『これ以上は我慢できない』で復帰しましたが、常識を逸したストーリー展開をこれ以上我慢できなかった放送局が「作家交代」という極端な処方を出したりもしました。

    マクチャンドラマの作家の作品を見ると、妙な共通点があります。作品の題名の文字数が殆ど同じだという事実です。イム・ソンハン、キム・スンオクは5文字、ムン・ヨンナムは6文字、ソ・ヨンミョンは7文字のハングルで題名をつけます。