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もっと! コリア (Motto! KOREA)
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  • Q.
    韓国の伝承に登場するサムシンハルメ(三神婆さん)とはどんな神ですか。
  • A.
    tvNドラマ『寂しくて、輝かしい神 - 鬼』には、神格的な存在が3人出てきますよね。鬼と死神、そしてサムシンハルメ(三神婆さん)。

    ドラマでの割合は最も低いサムシンハルメが、考えてみれば3人の中で最も地位が高いんです。

    サムシンハルメは韓国の神話に出てくる数少ない女神です。

    とても昔の話ですが、KBSの納涼特集『伝説の故郷』にはサムシンハルメが天然痘を広める災厄神の媽媽(ママ、天然痘)大王と一勝負する内容が紹介されたこともあります。

    ***

    人間を誕生させる役割を引き受けたサムシンハルメは、「息子を産ませてくれ」と願う家にずっと娘だけを授けて失敗したせいで困った状況に陥ります。彼女が滞在する村にちょうど天然痘大王が訪れ、天然痘を広めながらめちゃくちゃにしてしまいます。天然痘大王との争いで劣勢に追い込まれたサムシンハルメは、天然痘大王の妻に「子どもを授けてあげる」と提案します。この言葉に天然痘大王も天然痘を鎮ませて大人しく過ごすことにしました。

    やがて出産の日が近づき陣痛が始まると、天然痘大王はサムシンハルメのもとを訪れ、「二度と問題は起こさない」と哀願しながら妻を助けてくれと訴えます。やがて子どもが生まれるのですが、産んでみると天然痘大王が望んだ息子ではなく、娘でした。

    天然痘大王が問い詰めると、サムシンハルメは一言で天然痘大王を退けました。

    「私は子どもを産ませてあげると言っただけ、息子の約束はしていない」

    ***

    韓国で伝承されているサムシンハルメの話は地方によって少しずつ違いますが、最もよく知られているサムシンハルメは済州島の伝承です。(サムシンハルメはサムシンハルミとも呼ぶが、済州島で呼ぶ名称はサムシンハルマン)

    ***

    サムシンハルマンの祖父は天王菩薩、祖母は地王菩薩、父は世界大王、母はミョンジン国の娘だ。

    7歳になった時に玉皇上帝が呼び、人間の世界に子どもを産ませるサムシンになれと言われて、学んで命令を受けて降りてくる途中、竜王の娘が泣いているのを発見して理由を尋ねる。竜王の娘が子どもを授かったのだが、分娩する方法を知らず、産婦と赤ちゃんの両方が亡くなったという話を聞いた。

    話を聞いていたサムシンが「私がサムシンなのにどういうことだ?」と言うと、昔のサムシンハルマンが来てサムシンハルマンを叩いた。

    一方、昔のサムシンハルマンによって妻と赤ちゃんを失った者が玉皇上帝に訴えると、玉皇上帝が昔のサムシンハルマンを連れて来て取り調べを行ったところ、昔のサムシンハルマンは東海竜王の娘で罪を犯して追い出され、人間の世界で罪を償うためにサムシンの役割を果たしていたのだった。

    これに玉皇上帝が2人のサムシンハルマンに花を咲かせる問題を解かせたが、サムシンハルマンの花はきれいに咲いた一方、昔のサムシンハルマンの花は上手く咲かなかったため、サムシンハルマンはこの世で子どもを授ける役割を与え、昔のサムシンハルマンはあの世で亡くなった子どもたちの世話をさせることにした。

    ***

    伝承はサムシンハルメが1人で活動せず、複数いることを教えてくれます。産婆たちが亡くなってからサムシンハルメを助ける神になり、家ごとにサムシンができたという話も伝わってきます。

    • < 双子の頭のそばに置かれた三神床(サムシンサン) >



    • < 典型的な済州の三神床 >

    サムシンハルメが慈愛に満ちた祖母の姿であるため、アンバン(母屋の奥にあって台所のついている部屋)を任せるのに最適でした。そのため、一部の地方では家宅神として表れたりもします。まだ赤ちゃんの出産と育児を担当していたりもするため、アンバンの女主人として定着しています。

    アンバンにサムシンハルメを祀る方法としては、韓紙で袋を作った後、米を入れてオンドル部屋の焚き口に近い部分に高く吊るしたり、米をひょうたんに入れて棚の上にのせたりします。家庭に不和が生じたり、しっかりと敬わなければ家を出ていきます。サムシンハルメが出て行った家では子どもを産むことができず、子どもが病気にかかります。

    子どもが健康に育つことを願う家では、サムシンハルメに三神床を捧げました。

    お膳に韓紙を敷いて米とワカメ、浄化水を供えますが、地方によってははさみとお金をおいたりもします。

    嫁の三神床は部屋の内側に供え、出家した娘が実家に帰ってきて分娩する時はアンバンの戸口に供えます。出産後3日、7日、14日、21日になる日に三神床を供えた後、その上に置かれた食べ物を産婦が食べます。

    子どもの百日床(ペクイルサン / 日本のお食い初め)から毎年誕生日にキビと小豆の餅をつき、サムシンハルメに捧げますが、子どもにも食べさせます。主に10歳までこの餅を捧げます。キビと小豆の餅の赤色が、厄を追いだすことを願うのです。

    サムシンハルメのこのような伝承は、幼児の死亡率が高かった昔、子どもが健やかに育つことを願う心から生まれたのでしょうね。しかし、韓国と日本を含むモンゴリアンたちにはサムシンハルメの跡が残っています。

    他でもない蒙古斑です。出産を助けるサムシンハルメが、赤ちゃんが母親の身体の外に出て行けとお尻を叩いた痕跡なんだそうです。