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  • Q.
    韓国の芸能事務所ファンタジオの代表が解任された理由を教えてください。
  • A.
    • ファンタジオのホームページ

    ファンタジオ(Fantagio)は数多くの芸能事務所の中でも数少ないコスダック(KOSDAQ、韓国の中小企業およびベンチャー企業向けの証券市場)上場企業です。

    つまりSMエンターテイメント、JYPエンターテイメント、YGエンターテイメントなど韓国を代表する芸能事務所と肩を並べることができるという意味でもありますから、ファンタジオ所属の芸能人や社員は上場会社に所属しているという自負心が高いことでしょう。

    上場会社の何がそんなに特別なのか疑問ですか。

    芸能人を夢見る若者がデビューをしてスターになるように、多くの企業の中でごく一部だけが株式を上場するチャンスを得ることができます。言うなれば企業の中のスターになるのです。

    ファンタジオは早目にコスダック市場に会社の名札を刻みました。

    コスダック上場企業である「エデュカンパニー」と合併して証券市場に進出することに成功しました。

    ちなみにエデュカンパニーは1991年にETRI(韓国電子通信研究所)研究院創業第1号として設立された会社です。コスダック市場が門を開けた初期に上場して複数回に渡る経営権の変更を経た後、ナ・ビョンジュンさんのファンタジオに吸収されました。

    合併当時、存続会社はファンタジオではなくエデュカンパニーだったのですが、その後に社名をファンタジオに変えました。このような方法で株式市場に入ることを迂回上場と言いますが、韓国の芸能事務所の中には迂回上場した企業がかなり多く存在します。

    上場に成功すれば株式価値が上がってすぐに大金を握ることができます。

    女優のコ・ヒョンジョンが創業したアイオーケイカンパニー(IOK COMPANY)も合併方式で迂回上場しましたが、コ・ヒョンジョンが保有していた株式の価値は3億ウォンから一気に37億ウォンへと高騰しました。

    株式を持っている会社の所有者や従業員が儲けることのほかにも、株式上場は会社が必要な資本を簡単に集めることができるという利点を発揮します。しかしリスクも潜んでいます。最大の脅威は経営権が脆弱になるということです。会社の経営は株式数により決定されるので、いくら才能の優れた人でも保有株式で負けると会社から切​​り捨てられることがあるということです。

    ファンタジオで今回起こったこともまさにそのような脅威が現実となったものです。

    公開された財務諸表をみるとファンタジオはそれほど成功している状態ではありませんでした。

    2015年末基準で売上額は231億ウォン、営業利益は9億ウォンと、小さいながらも利益を出していましたが、2016年末には売上額が217億ウォンと、前年に比べて14億ウォン減り、37億6千万ウォンの当期純損失を記録するほど経営状態が悪化してしまいました。

    ハ・ジョンウ、キム・セロン、チュ・ジンモ、イ・ソヨンなど看板俳優たちが再契約をせずに離れていった打撃をそのまま受けたようです。しかし、俳優たちの離脱だけが問題ではなかったようです。

    歌手部門を担当しているファンタジオミュージックが売上17億5000万ウォン、当期純損失13億9000万ウォンと、資本蚕食が37億ウォンに達するほど経営が不振していました。

    このような局面なので株主は株式を売りさばきたかったことでしょう。2016年の最大株主は合併当時のパートナーであるサボイE&Mと特殊関係人で27.29%の株式を保有していましたが、中国JCグループの韓国系列会社であるゴールドファイナンスコリアが、これを300億ウォンで買収しました。

    JCグループは最大株主となったものの会社の経営はナ・ビョンジュンさんに引き続き任せると明らかにしました。その後の2017年、320億ウォンの資本を増資しました。資本金を取り崩していっているような状態なので仕方のない措置だったと思います。増資によりJCグループの持分は50.07%へ増加したのに対し、ナ・ビョンジュンさんの持分は9.18%から6.24%へと大幅に減少しました。

    そうするうちに最終的に2017年12月28日、代表理事の席から退くことになります。従業員は非常対策委員会を結成してストライキを辞さないと宣言した状態です。Wanna Woneのオン・ソンウをはじめ、ファンタジオ所属芸能人のファンも解任撤回運動に参加するという意向を明らかにしています。

    緊急対策委員会はJCグループ韓国支社の従業員が不法に経営に関与した責任を負うべきだなど、9つの事項を記載したましたが、その中には法人カードの使用を一方的に廃止したことに対する責任も込められています。

    ファンタジオ緊急対策委員会の最終的な要求はナ・ビョンジュン代表の復帰です。

    これに対してJCグループ側は「ファンタジオ所属のアーティストをすべて大切に考えている」とし「持続的に企業が赤字を出している状態で実績を改善して親会社とのビジネス協力強化のために代表理事を変えた」と説明しました。

    iHQに身を置いていたナ・ビョンジュンさんはファンタジオを設立して2012年には発掘した新人アーティストが映画、ドラマ、芸能、音楽などの文化コンテンツの全分野で活躍して新人賞を席巻する会社に育てました。このようなR&D能力はすでに実証されています。人材を選抜するナ・ビョンジュンさんの肥えた目には定評があります。

    人を見る目があるのに比べて企画能力はかなり低くい方です。6人組のボーイズグループASTROは中下位をさまよい、HELLOVENUSは空白期間が1年を超えています。2017年に新たに立ち上げたのWeki Mekiのデビューアルバムは発売から1日にしてチャートから追い出された屈辱を味わったりもしました。

    このような経営実績を見ながらも我慢し続けてくれる大株主がいるでしょうか。

    ファンタジオを代表していたハ・ジョンウ、チュ・ジンモ、チ・ジニなど演技者たちが契約が終わるとすぐに未練なく去る姿を見て、大株主は何を考えたのでしょうか。