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  • Q.
    女優のユン・ヨジョンはなぜ英語が上手なのですか
  • A.



    映画『ミナリ*』は女優のユン・ヨジョン(尹汝貞)に多くの賞をもたらしました。ナッシュビルの評論家たちが選定する米ミュージックシティ映画批評家協会賞はもちろん、様々な映画祭で助演女優賞を総なめしました。大阪でも助演女優賞有力候補として挙げられています。

    * 韓国では3月中に公開予定です。

    賞を受ける場はユン・ヨジョンの英語の実力を確認する場でもあります。ユン・ヨジョンはすでにインドネシアの小さな島でオープンした『ユン食堂』(tvNリアリティ番組)と『ユンステイ』を通じて外国人と自由にコミュニケーションできる実力を発揮しました。




    YouTubeを見れば分かると思いますがネイティブレベルの発音ではなくても表現だけは英語を使う現地人そのものです。ですから英語がとても上手だと評価するに値します。

    いつ英語を勉強したんでしょうか。学生時代ではありません。韓国最高の名門女子高の一つである梨花(イファ)女子高を経て漢陽(ハニャン)大学国文学科に進学しましたから特に英語を専攻して勉強したわけでもありません。

    20代後半から13年間アメリカで暮らし、その期間に英語を覚えたと思います。しかも、子供の頃から各種の作文や雄弁大会で賞を総なめし、優れた暗記力を持っているというので歳は遅れていましたが英語を身につけるのはそれほど難しくなかったと思います。

    女優の間ではユン・ヨジョンは鋭敏であることにも定評があります。芸能界デビューは偶然な出来事でした。漢陽大学に進学した後、アナウンサーのチャン・ドンゴンが進行する番組の助っ人役をしましたが、彼女に注目したチャン・ドンゴンはTBCタレント公開採用を受けるよう勧めたそうです。

    そのようにして演技者になり大学を中退しました。当時、タレントは新しい職業でしたがソウル大学出身のイ・スンジェ、イ・ナクフンなどが活動するのを見て恥ずかしい職業ではないと思い勇気を出したそうです。

    新人時代からユン・ヨジョンは前途有望な女優に選ばれました。1971年にMBCドラマ『張禧嬪』でチャン・ヒビン役を演じた時は悪女の演技があまりにも優れていたため「悪女」と罵られ通りを歩き回ることもできないほどでした。同年に出演したキム・ギヨン(金綺泳)監督の映画『火女』で、主人の家の男を誘惑する家政婦役を演じ好評を得ました。

    「天才女優が現れた」と新聞に特筆大書されるほどでした。

    しかし、ユン・ヨジョン本人は演技生活にあまり愛着がなかったようです。

    スターダムに上がった頃、歌手のチョ・ヨンナム(趙英男)と結婚した後、アメリカに飛んでしまい彼女の演技力を欲しがった監督だけが無駄骨を折ったのです。

    英語を学びアメリカという大陸で遊んだ経験は、後に役に立ったとしてもユン・ヨジョンはその歳月を記憶から消したいと思うでしょう。 お金を一銭も儲けずユン・ヨジョンの貯めておいたお金を全部使い果たした夫は「ユン・ヨジョンがブスだ」と言って浮気をして回ったそうです。離婚後、ユン・ヨジョンはチョ・ヨンナムについてあまり話さないため「寛大な人」と言われてます。本人が言うには「あの時代の話は口にしたくないから」だそうです。

    チョ・ヨンナム本人が「ユン・ヨジョンが口を開けば私は社会的に埋葬されるだろう」と認めたのでアメリカ生活の10年余りは英語を覚える時間ではなく忍苦の歳月だったようです。

    韓国に帰って夫と離婚したユン・ヨジョンは、また演技者の道に飛び込みます。米びつに米がなくなったからでしょう。言葉通りあらゆる作品に出演しました。ユン・ヨジョンの演技スペクトラムがとても幅が広いのが、もしかしたら作品を厭わなかった(?)貧しさの結果物なのかもしれません。

    とにかくユン・ヨジョンは厳格で保守的な姑から、頑固なおばさん、それとなく色気を漂わせるおばさん、孫娘しか知らない老いた海女、小銭をもらって城を売るバッカスのおばあさんまであらゆる役割をやりこなしました。

    映画『エミ』(1985)では、人身売買で連れ去られ自殺した娘の復讐のため人身売買犯を一人ずつ処理する殺気立った演技で観客に衝撃を与えました。

    映画『エミ』のスチール·カット

    その中でも人身売買犯一人を車に乗せて行く途中「お前の妹もその町に売春婦として売ったのか?」と顔に塩酸を浴びせかけ、タバコを吸いながら運転する姿は圧巻でした。

    映画『ミナリ』以前、ユン・ヨジョンは映画『殺してくれる女』ですでにモントリオール国際映画祭、アジア太平洋スクリーンアワードなどで主演女優賞、審査委員賞を受賞し、世界の映画界が強く注目しています。一言で言うと『殺してくれる女』は韓国より世界が先に惚れた映画です。評論家からは高い評価を受けましたが12万人を超える観客だけが映画館を訪れたので興行には失敗したわけです。

    この映画でユン・ヨジョンが演じる役は鐘路(チョンノ)一帯で老人を相手に性を売りながらかろうじて生きていく65歳のバッカスおばあさん、ソヨン役です。ユン・ヨジョンはややもすると存在が薄く映るかもしれないキャラクターを、さりげなく暖かい演技で描きました。

    映画監督カン・ヒョンチョルは「ユン・ヨジョンさんのとても小さな表情としぐさ一つ一つが永遠に記憶される映画」と絶賛しました。

    しかし、ユン・ヨジョンはこの映画を撮った後、後遺症に悩まされました。作品終了後、演じたキャラクターから抜け出せなかったことはありませんが、『殺される女』の撮影の際、精神的にとてもつらくて撮影が終わった後もワインを飲まないとごはん一杯も食べられないほどでした。

    映画『ミナリ』を見てユン・ヨジョンに惚れた方なら関心を持っていい作品でしょう。