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[コラム] 韓国の知識人には苦い季節、ノーベル賞シーズン

  • 今年もノーベル賞シーズンが終わりました。人類の知識の世界を広げてくれた世界の碩学と平和に貢献した方々にノーベル財団のメダルが授与されました。

    今年のノーベル賞の特徴として地球村の平和と人類の苦しみを克服することに寄与した功労を高く評価したという点が挙げられています。生理医学賞は、熱帯地方の風土病の薬を開発して、第3世界の住民2億人を失明の危機から救った米国と日本の科学者に与えられ、文学賞は第二次世界大戦とチェルノブイリの惨状を描いた女性作家スベトラーナ・アレクシエービッチが受け取ったことについての話です。

    この方々の話をしようと、このコラムを書いているのではありません。

    ノーベル賞シーズンになると韓国の知識人は、沈み込みます。「今年はもしかして…」が「今年もやっぱり」で終わってしまうからです。

    インターネットにも荒唐な話が出回ります。

    「ノーベル賞の話が出てくると、中国人がわなわなとする理由?」という文もその中のひとつです。今回、中国人としては初めて中国中医科学院の研究員、屠ヨウヨウ教授(85)がマラリア治療薬を開発した功労でノーベル賞を受けはしましたが、古くからアメリカ国籍の中国人が物理学、化学の分野でノーベル賞を受賞した事実についてのことです。

    北京外大を出た高行健は、1988年にフランスへ亡命した作家で、ノーベル文学賞も受けとりました。国籍は違っても、中国人はすでにいくつかの分野でノーベル賞を受けています。英国に留学に行って、そのまま居座り、2009年にノーベル物理学賞を受賞したチャールズ・カオは国籍がイギリスでした。

    G2だと自負しながらも、これまで学術分野で中国国籍の学者たちがノーベル賞とは縁がなかったので、中国人のプライドが傷ついていたのでしょう。まあ、韓国人の私がのんびりと中国の話をしている時ではありませんが。

    だから、違う話を紹介します。「私は一家の恥だ」という言葉です。ここでの私とは誰でしょうか。マリー・キュリーの次女エーヴ・キュリーです。

    2007年、102歳で亡くなった彼女は、ピアノ奏者、作家、ジャーナリストとして、多彩な人生を送りました。第二次世界大戦では、戦争特派員として活動しており、ユニセフの活動功労でフランスの最高勲章であるレジオン・ドヌール勲章を受けた素晴らしい女性です。彼女がなぜ一家の恥になったのでしょうか。

    ノーベル賞を受け取らなかったからです。お父さんのピエール・キュリーは物理学賞、お母さんのマリー・キュリーは物理学と化学の分野でノーベル賞を2回も受けとったではありませんか。それだけでしょうか、姉のイレーヌ・ジョリオ=キュリーと義兄のフレデリック・ジョリオも一緒にノーベル化学賞を受け取り、家系の栄誉を引き継ぎました。さらに、夫ヘンリー・リチャードソンもノーベル平和賞を受け取って、エーブにプレッシャー(?)を与えました。

    一家の中に5人のノーベル賞受賞者がいるところもあるのに、韓国は平和賞がたった一つだけ、ぽつんと(?)、それも今、とても複雑になっている朝鮮半島の問題において受け取ったのですから、あまり誇りにもなりません。

    ノーベル賞のシーズンになると韓国の知識人が落ち込む理由がお分かりになるでしょうか。落ち葉が散る季節に創造的な研究風土が醸成されていないという不満ばかり言うことになるのですから、実際に荒涼とした季節ですね。

    「ノーベル賞を受賞した後に、何かをやり遂げた人は一人もいない。ノーベル賞は受賞者の葬儀へのチケットだ」と言った詩人T・S・エリオットの言葉もあまり慰めにはなりません。
  • Lim, Chul | 入力 2015-10-18 08:00:00