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[コラム] ゾンビ・スリーピーについての断想

  • 日曜日の夜に放送されるMBCのバラエティ番組『本物の男』出演メンバーの中に、スリーピー(Sleepy)という歌手がいます。

    アンタッチャブル(Untouchable)のメンバーとして活動する歌手で、189センチの身長に体重は75キロだそうです。ここまでは、プロフィールに記載されている内容なのですが、テレビの画面を通してみると、体重がもっと少ないように見えたりします。

    彼はタフなPT体操や高空ラペルも、最後にはやり遂げる根性を見せます。倒れそうで、さらに気絶しそうになりながらも、再び起きて教官の助けを受けて訓練を終えることが多いため、彼にゾンビ(Zombie)というニックネームがつきました。

    • < ゾンビスリーピーPT体操姿(MBC画面キャプチャ) >

    ゾンビ。動く死体という意味ですね。

    先週の日曜日、知人とビールを飲んでいたのですが、その店のテレビで『本物の男』が映されていて、ゾンビのスリーピーを見ることになり、そのためにひとしきり議論が続きました。「軍ではあんな奴を連れていくことはできない。あいつひとりのために部隊が全滅する」というのが一方の主張であり、「それでも最後までやり遂げるというのがすごいことではないか」というのが対抗する側の意見でした。

    こうしてゾンビ・スリーピーを長期出演させる意図についての攻防戦が行われました。実際、スリーピーは『本物の男』の現在の出演者の中で、ガーナ出身のタレント、サム・オチュリと一緒に最も長く登場している出演者です。

    昨年2月10日に『本物の男』に参加したため、すでに1年近くになります。キム・スンヒョン、カンイン、サム・キム、イ・ソンジョン、イ・ギュハンなど、数カ月で出演をやめたメンバーが数多く存在するという点を勘案すれば、生命力が強いのだという気もします。

    ふんばることしか見せるもののない弱虫を『本物の男』の精鋭メンバーにした理由を非常に酷評した知人の一人は「努力すればできないことはないということを見せるため」という保守層の作戦だと診断します。ヘル朝鮮だと言って、社会のせいにする若者に刺激を与えるためだ、という診断です。

    もちろん対抗する人はとんでもない無理な主張だと反論します。厳しい訓練をする彼を応援して、組織に適応しにくい弱虫も一緒に進むという共同体意識が見えないのかと、あまり否定的にだけ見ないようにしろと訓戒も並べます。

    どちらの意見が正しいのでしょうか。簡単に判断することは容易ではありません。ところがです。ゾンビという言葉の本来の意味を考えると、陰謀論も一見妥当性があったりします。

    ブードゥー教にて呪術でゾンビを作る本来の趣旨は、死んで再び目を覚まして、自分の人生を振り返ってみて反省するという意味でしたが、仕事をさせるためにゾンビを作ったというのです。

    フグに含まれている毒、テトロドトキシンなどが入った「ゾンビパウダー」という薬物で仮死状態にした後、意志を喪失したゾンビにして、奴隷のように働かせるというものです。実際に中央アメリカでは、薬物を用いた奴隷農場があったりします。拉致されてその農場に連れて行かれた人々は、薬物中毒の状態で奴隷のように仕事をし、女性は薬物中毒になって性奴隷として過ごして生を終えたりしました。

    ゾンビのスリーピー、こんな風に呼ばれるなら、スリーピーには自分の意志がないということです。自分の意志がない存在が努力をすることに何の意味があるでしょうか。

    ブラッド・ピットが出演したWorld War Zの一場面。高い障壁をよじ登るゾンビの群れにはどのような意志が作用したのでしょうか。ウイルスの意志でしょうか。
  • O2CNI_Lim, Chul | 入力 2016-01-24 08:00:00