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[コラム] ヨンランセットを知っているか?

  • 韓国社会に「ヨンランセット」という新造語が登場した。最近、流行する新造語は、ほとんどがインターネットコミュニティで若者たちが作って使い、オフラインに進出する形式だが、ヨンランセットが作られたルートは全く異なる。

    生活の現場で年を重ねた人々が作った造語だ。

    公職者と弁護士、教師、記者団に3万ウォン以上の食事や5万ウォン以上の贈答品を提供する行為を禁止する「不正請託及び金品等授受禁止法(キム・ヨンラン法 / 金英蘭法)」が、憲法裁判所で合憲決定を受けて施行日が決定された後に生まれた。キム・ヨンラン法に抵触しない食事メニューやギフトセットが「ヨンランセット」だ。

    ヨンランセットは、国会に近い麻浦(マポ)のある食堂で1番最初に登場した。食堂周辺には警察署、法院(裁判所)、検察庁社布陣している。周辺に報道機関もかなり密集している。この食堂が出したメニューは、刺身と鍋が一緒に出てくる7万ウォンのセットだ。ここにビール2杯と焼酎1本を加えても9万ウォンを超えないため、法に抵触しない。百貨店や大型マートの棚には4万9000ウォンのギフトセットが販売されている。

    マートだけでなく、JWマリオット、シェラトン、ウォーカーヒルホテル、リッツカールトンなどの高級ホテルも、秋夕(チュソク)に備え、5万ウォン未満のギフトセットを出しているという。

    このような場面を見ると、キム・ヨンラン法がまるで食べ物の価格は3万ウォン、贈答品の価格は5万ウォンと定めた法律だという気さえする。接待を受けるな、という趣旨は跡形もなくなったということだ。

    もちろん、名節ごとに高官たちの家に絶えず続いていた宅配はなくなるだろう。100万ウォンを超えるイシモチギフトセットも探すのが難しいだろう。しかし、果たして接待が消えるだろうか。この法律が施行されるといって、不正請託が韓国社会から姿を隠すだろうか?。

    内心期待を持つが、韓国人の反応はいまだ否定的だ。手法がより巧妙になり、隠密になるだろうという考えが支配する。一言で高価な贈答品をやりとりする社会指導層を信じられないという不信だ。

    キム・ヨンラン法が作られたきっかけは、男性弁護士が内縁の女性検事にベンツのレンタル料を渡し、高級ブランドバックを買って発覚した事件だ。携帯電話のメッセージの記録が公開され、波紋が起こったにもかかわらず、2人が恋人の仲だと主張し、処罰が不可能になったため、新しい法律の必要性が提起された。

    合憲決定後に議論は相変わらずだ。この法律の適用対象であるメディアは、いまだに否定的な記事を書いている。まだ施行もされていないが、60年経った韓定食店が堪えられず廃業したり、人間関係を冷え込ませるだろうという批判も相変わらずだ。

    労働者の最低時給が議論の対象になると、使用者側に立った新聞放送であるほど否定的な見方がはるかに濃い。記者の年俸が多い新聞社の論調が、年俸が低い新聞よりも否定的である点も面白い部分だ。

    このころになると、韓国のメディアをキレギ(*)と見るネチズンは、メディアの二重の物差しと批判する。

    キム・ヨンラン法は、不正腐敗がない清廉な社会を作ろうという社会的合意から作った法律だ。この法律が、公職者とジャーナリストらの社会指導層が金の誘惑から抜け出し、自らを自由にするきっかけになればいい。

    キム・ヨンラン法が、少なくとも腐敗認識指数がOECD(経済協力開発機構)の最下位という不名誉を洗う装置になることを願うだけだ。

    *キレギ( 기레기) =記者(기자)+ゴミ(쓰레기)の合成語。記者をゴミ扱いし、韓国メディアに対する不信を露骨に表わした言葉。
  • O2CNI_Lim, Chul | 入力 2016-08-15 08:00:00