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[コラム] 故郷に向かう道
- 田舎の人が田舎に住んでいることを有難く感じるときがあります。秋夕（チュソク）です。秋夕と漢字で書くため中国から渡ってきた言葉のようですが、そうではありません。韓国だけで使う韓国産の漢字の単語です。
秋夕に田舎の人が笑みを浮かべる理由は簡単です。高速道路や国道で渋滞している車を見物する楽しみがあるからです。少なくとも以前はそうでした。時代が、秋夕に実家を訪ねる代わりに、家族全員で海外旅行をしたり、「あなたがたは忙しいはずだから、私が上京するわ」という田舎の高齢者が増えたため、ソウルに来る逆上京も増えて、風景が変わりはしましたが、ある程度の渋滞は避けられません。
そこで、高速道路を管轄している道路公社は「いつごろ渋滞がピークに達するか」という見通しを出したりもします。
車が溢れかえった道路を見て、収穫をしていた農家は笑いますが、ただただ故郷に行くことがうらやましい人もいます。
大学入試を控えた受験生は、祖父母の家に行きたがりますが「あなたは家で勉強でもしなさい」という親の言葉に逆らうことはできません。入試機関の中には「鍵付きの学校」を開いて、連休期間中に祝日の雰囲気を少しでも感じさせないように、学生を追い込んだりもします。勉強をする考えのない学生は関係ないかもしれませんが、何も考えずに親について行って親戚に会えば「勉強もしないのか？」、「今年高3だろう？どの大学に行くつもりだ？」という質問をあびる可能性がるため、「私は家で勉強でもしている」と先に言い逃れをすることになります。
祝日にも非常勤務をする企業の従業員や、1年365日、1日24時間お店をオープンするコンビニエンスストアのオーナーも故郷を恋しがります。運動選手たちもファンに素晴らしいゲームを見せるために帰郷を諦めます。今年は野球選手が故郷の地から遠い所で汗を流します。秋夕連休期間中、試合が行われるため、電話で挨拶をする程度になることでしょう。
韓国とは異なり、外国では秋夕を祝日扱いせず休まないので、海外に暮らす韓国人たちも故郷の地を踏むことはできません。そういえば、いくら秋夕の連休が長くても5日ほどなので、祝日に指定されたとしても韓国行きの飛行機に乗ることは難しいでしょう。
非常にまれに、賭博で全財産を失った人たちも故郷の空を眺めながら悲しみに暮れます。江原道旌善に韓国人も出入りできるカジノが出来た後、全財産を持っていってささげ、家族とも生き別れをした後、カジノの近隣で過ごす人もいます。
そして、韓国からわずか3~4時間で行くことができても、故郷の地を踏むことのできない800万人の失郷民がいます。北側に故郷がある失郷民は、今や1世たちがあまり残っていない状態です。失郷民一世の平均年齢は90歳に達し、非常に若い歳に親に連れられて、南に下ってきた方も80歳近くになります。
彼らの気持ちは一つです。死ぬ前に故郷に行き、先祖が埋められたお墓に行くという願いを捨てることができません。
「故郷に行って、親とケンカし、親戚に愚痴を言われ、姑婦間で声を荒げて、そうするうちに、秋夕に田舎に行くことが怖いという人々もいます。行く時間も普段よりははるかに長くかかるという不満も漏らします。しかし、私は歩いてでも行くことができれば、数日ではなく、数カ月をかけてでも行きたいです」
これから、故郷に対する恋しさが失郷民二世に引き継がれます。しかし、二世が高齢になって死んだら、恋しさはただ漂う幽霊のものになってしまうことでしょう。 - O2CNI_Lim, Chul | 入力 2016-09-14 08:30:00
