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[コラム] うらやましがったら負け

    落ち葉を見ると心が乱れるのに、また憂鬱なニュースが聞こえてきた。隣国日本が生理医学の分野でノーベル賞を受け取った。

    世界で最も権威のある賞をアジア人が受賞したのだから、お祝いして当然だろうが、そうするには韓国が直面している現実があまりにもみすぼらしい。まだ文明が十分に発達していないアフリカの未開な国になったような気分にまでなる。

    数カ月前のリオ五輪が再演されている気もする。あの時もそうだった。日本はアジア人の体格では不可能なように思われていた陸上短距離の分野でのメダルを獲得した。男子400メートルリレーで4人の日本人が陸上大国米国を抜いて銀メダルを手に入れた時、率直に言ってすごくうらやましかった。

    韓国は、そもそも陸上でメダルを取ることは不可能だからと関係当局や協会が完全に支援をあきらめる雰囲気だが、日本は陸上の複数種目で決勝に進出し、最終的にメダルを獲得したのだから、陸上に興味がない人でも羨望するほかなかった。

    陸上連盟は世論の視線を集めて当然だった。悲壮な声で痛切に自省をすると発表したものの、4年後、いや12年後のオリンピックが終わった後にも同じ反省文を書くだろうという事実を知っている。

    ノーベル賞の授賞者が発表された後、視線は科学者に集まっている。国があれほどサポートしたのに、一体何をしていたのかと。

    韓国でノーベル賞受賞の可能性が最も高いと評価されたソウル大自然科学大のキム・グンソン学長は、あるマスコミとのインタビューで「ノーベル賞の季節になると、複数のメディアからの電話を受けるが、プレッシャーになる」と打ち明ける。

    ノーベル賞自体を重要視しなくとも、ノーベル賞が出てくる土壌を備えなければならないのに、自分の判断では韓国はそうなっていないと断定した。自分の判断が間違っていることを望んでいるが、韓国は受賞者が出てこない国に属しており、まだノーベル賞を受けとるに値する人がいないという言葉も付け加えた。

    国の支援が不足しているためではない。昨年、基礎研究費に投資されたお金はなんと19兆を超える。ソウル大自然学部も世界20位の水準で、卒業した後にあえて留学をしなくてもよいほどの研究施設も備えた。しかし、なぜノーベル賞はもらえないのか。

    キム・ソングン教授は3月に天才棋士イ・セドルと囲碁で対局した人工知能アルファGOの例を挙げた。AIに対する反響が大きくなると、韓国政府や企業は人工知能に何千億ウォンを投資すると発表した。 AIが出てから既に40年が経っている。数回の浮き沈みを経験して世界トップの棋士と囲碁を競うほどに成長したのに、成長した姿を見て「これは投資に値する」と言って腕まくりをしている格好だ。基礎がなくてAIの開発に一歩遅れたのに、基礎に向かうべきお金がAIに向かっているようなものだ。

    陸上や基礎科学も同じだ。過程は見ずに結果だけを重要視する。そのような視線がプレッシャーになった人材は初めからその道に入ろうともしない。3万6202対1の競争率をくぐって韓国初の宇宙飛行士となった航空宇宙博士は、自分の進路をMBAに決めたほどだ。

    日本のノーベル賞受賞の知らせを聞いて、ふと、このような考えが浮かんだ。うらやましがったら負けだ。素敵な女性とデートをする友達に会ったり、男同士で集まって応援する野球場の一角で仲の良さそうなカップルを見たとき、男が吐き出す不平のようでもあるが、陸上や基礎学問で韓国が直面している現実がまさにそうだ。

    うらやましがらずに黙々と自分の道を行くべきなのに、うらやましいからと真似をしようとするから、滅茶苦茶になってしまう。うらやましいから、隣国の慶事にもしっかりと拍手を送ることができない。
  • O2CNI_Lim, Chul | 入力 2016-10-16 08:50:00