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[コラム] 風だけが知っているでしょう

  • 今年のノーベル文学賞受賞者として発表されたボブ・ディラン(Bob Dylan)が、2010年3月31日に韓国で初の公演をしたことがあります。当時もノーベル文学賞の候補に挙げられました。

    20トンの装置に12人のバンド、20人のスタッフが一緒に来た公演でした。1970~80年代の軍事政権時代に生きていた韓国の若者たちは、彼の歌『Blowing in the Wind』で元気付けられました。

    Yes、and how many times must a man look up
    Before he can see sky?
    Yes、and how many ears must one man have
    Before he can hear people cry?
    Yes、and how many deaths will it take」till he knows
    That too many people have died
    The answer、my friend、is blowin'in the wind
    The answer is blowin'in the wind

    (人々はどれほど何度も見上げれば
    空を見ることができますか?
    一体どれほど多くの耳があれば
    人々が泣き叫ぶ声を聞くことができますか?
    どれほど多くの人が死ねば
    あまりにも多くの人々が犠牲になったという事実を知ることができますか?
    友よ、その答えは風に吹かれている
    その答えは吹いてくる風の中にある)

    群衆はボブ・ディランの歌を歌い、政治家らの覚醒を促しました。答えはすでにあなたと私、誰もが知っているではないか? 風の中に流れる答えをどうして知らないと言うのか? 空も知っていて、大地も知っていて、風も知っている事実をなぜ否定しようとするのか?

    珠玉のような歌詞を書いたボブ・ディランは偉大な詩人です。20代前半に書いた『Blowing in the wind』、この歌だけでも、彼は韓国でも抵抗のアイコンでした。なんと2000人を超えるアーティストが彼の歌をリメークしたというため、TIME誌も20世紀に最も影響力のある人物に選定するわけです。

    時が流れ、抵抗のアイコンを下して言葉を慎んでいるが、すでに発表した歌に込めた反転と平和、生命という時代精神は風に乗って耳に染みます。

    ところが、このような伝説的な歌手が韓国で初めて公演をするのに、1回の公演だけなのに、観覧料が高いA席、中高価格である座席のS席、R席、VIP席は十分席が残っているという公示が公演1日前に上がってきました。

    誰か尋ねたでしょう。韓国にはなぜボブ・ディランのような歌手が出てこないのかと。答えは売れなかったチケットが教えてくれています。ただのつぶやきに過ぎない歌詞、口から出るままに無駄口をたたく歌詞で発売1時間で完売するのに、なぜ難しく、大変な歌詞、人々を不快にさせる歌で座席を売るためにおろおろしなければならないのか?

    友人と冗談交じりの投げた話が思い出されます。韓江(ハン・ガン)が書いた『菜食主義者』は、英国のマン・ブッカー賞を受賞した直後ですね。

    「韓国でレベルの高い本を売ってお金を触るには?」
    「ノーベル文学賞を受けて来ればいい」
    「どうやってノーベル賞をもらうの?」
    「本をたくさん売らなければならない、そうすれば英語でも、日本語でも、ドイツ語でも翻訳されるんじゃないの?」

    とにかく韓国の作家たちが夢に描くノーベル文学賞を受賞することになったボブ・ディランは、うんともすんとも何も言わないですね。ノーベル委員会は、本人に直接連絡することを放棄し、側近に受賞の事実を知らせたのです。授賞式に来なくても賞を剥奪しないという立場も出しました。

    ボブ・ディランが授賞式に出席するでしょうか? 2000年にアカデミー映画祭の主題歌賞に選ばれた当時、ボブ・ディランは授賞式に出席する代わりに、映像で感想を送りました。2012年にバラク・オバマ大統領が「自由のメダル」を授与する際にも、感想の一言なく歌だけを歌ったでしょう。ボブ・ディランのファンたちの中には世の中の権威に飴を食べさせろと、出席しないことを望む人もいます。

    とにかく本当に授賞式に出席しないのでしょうか? 風だけが知っているでしょう。
    The answer is blowin'in the wind.
  • O2CNI_Lim, Chul | 入力 2016-10-23 08:45:00