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オーディション番組、狂風の苦々しさ

  • 「おめでとうございます。準ミススマイルは参加番号27番イ・インヘ」

    放送局児童合唱団をきっかけにドラマに抜擢され、小学校の時から芸能活動をしたが、両親の反対で夢を諦めなければならなかった時期があった。しばらく時が流れて、最終的に両親と折り合いをつけた。しかし、芸能活動を再開することができる方法は何もなかった。

    その時目に飛び込んできた第1回ミススマイル選抜大会。芸能活動をしていた頃は年齢が幼かったため一緒に作品に関わっていたPDや作家との関係を維持するにも困難だっただけでなく、放送関係者たちの中で知っている人脈は1人もいなかった。 1990年のあの頃、所属事務所という言葉が不慣れな時代だからこそ有名芸能事務所を探して移籍することもなかった。また、放送活動を始めることができる唯一の方法は、雑誌で紹介されていた選抜大会への出場だった。その選抜大会の受賞が連結の輪になって、様々な広告やドラマ出演が可能になり、最終的に演技者の夢を実現することができた。

    しかし、以前と違って最近では、芸能界に入門する方法がより多様化したようだ。ポータルサイトに「選抜大会」と単語だけ入れて検索しても、様々な大会があふれ返り、大型芸能企画会社では、新人発掘のための公開オーディションを定期的に開催している。複数の放送媒体では、競うように演技者、歌手、モデルなど芸能人を選抜するサバイバル番組を数多く制作している。今はもう無数の雑誌の中から苦労して選抜大会の情報を見つける必要がない。誰もが書類を書けば企画会社のオーディションを受けることができ、放送を介して自分を披露する機会を簡単に得ることができるようになった。

    地域や年齢に関係なく誰もが挑戦可能で、才能のある人にデビューの道をすぐ開いていることは芸能人を夢見る人々とってどんなに嬉しいだろう。しかし、最近制作されているオーディション番組を見ると、番組としていくつか懸念がある。

    視聴者さえ戸惑うような巨額の賞金をかけた歌のサバイバル番組や、有名企画会社でのアルバム発売の機会という巨大な餌を撒いた悪口と暴言が飛び交う刺激的なラップバトルのオーディション番組、そして101人の麗しい少女を前面に押し出したアイドル誕生プロジェクト…。

    このプログラムの中にはヒーロー、悪役、三枚目、イケメンなどドラマのキャラクターがいっぱいである。病気や過去の歴史、ラブライン、嫉妬と争いなどストーリーも生きている。出演者同士の鋭い神経戦で厳しい批判と悪口が行き交う姿は、どんなドラマでも見ることができない鮮やかな緊張感であふれている。このようによく練られた構成は出演者の意図とは全く関係がない。

    視聴者の注目を集めるための手段として、それぞれのイメージが作られ、その上にストーリーが描かれていく。短くしか映らない断片的な姿のために、一部の出演者は、実力や才能とは無関係に非難を受けたりする。しかし、芸能界デビューを可能にするという名の下に、これらのことは甘受しなければならないとされている。

    「101人の中に、あなたの少女はいましたか?」

    この文は、人気オーディション番組のキャッチフレーズだ。

    視聴者が選んだランキングを中心に少女101人のうち11人を選別してアイドルグループを誕生させる番組で、現在はシーズン2の少年編の放映まで控えている。まるで恋人を選択するようにそれぞれの好みに合ったタイプを見つけてみろと誘惑する、非常に刺激的で扇情的な宣伝だが、出演者たちは芸能人になる夢を実現できるという一念で、取るに足りないことのように受け入れているのだ。

    自分の無限の才能を存分に披露し絶好の機会を得ようとする人々の心は切実だ。この心が単に視聴率上昇の罠に転落することがないように願って、一度のミスも許されない冷静な舞台の上で過酷な挑戦も厭わない姿に応援の拍手を送ってみる。
  • 毎日経済_イ・インヘ 慶星大学 教授・俳優 | (C) mk.co.kr | 入力 2017-04-01 09:50:02