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[コラム] 痴漢で人生を締めくくる前国会議長

  • 4月28日、韓国で年齢が50を越えた人々にとって最もホットなニュースは、朴熺泰(パク・ヒテ)もと国会議長が最高裁で懲役刑を受けたという話だった。

    朴熺泰もと国会議長の今年の年齢は79歳。韓国社会に非常に多くの足跡を残した彼は、人生の晩年を痴漢で締めくくることになった。

    検事時代に爆弾酒を考案した彼は、「政治9段」「総体的難局」「他人がやれば不倫、私がやればロマンス」など、多くの慣用的表現まで作った人物でもある。一言で、面白い人だ。おそらく、少なくともまわりから見ればそのように感じただろう。

    盧武鉉(ノ・ムヒョン)政権当時の2003年、キム・ドゥグァン行政自治部長官の解任建議案が通過するとき、これに反対した数少ないハンナラ党議員でもあった。単に故郷の後輩だから配慮したというよりは、翌年の選挙で正面対決したくなかったからだろうという観測が当時は有力だったが、内心は分からない。

    キム・ドゥグァン解任建議案の処理を控えて、彼はソ・チョンウォンやチェ・ビョンリョルなど当時のハンナラ党指導部とゴルフをしながら、「私たちもみんな田舎者じゃないか。キム・ドゥグァンとて里長をしていた田舎者が長官にまでなったのだから、今回は大目に見てやろう」と言ったという。

    このようなエピソードが伝えてくれるのは、彼が世事万事を曖昧に乗り切ってうまく受け入れてやったということを伝えている。おそらく人生の晩年を台無しにしたゴルフ場のキャディーへの痴漢も、彼のこのような性情から来ているのだろう。

    2014年9月11日、知人たちと一緒に江原道原州のとあるゴルフ場を訪れた彼は、キャディーの胸や腕などに数回触れたという。嫌だと振り払っても前半の9ホールが終わるまで身体接触は止まらず、けっきょくキャディーは運営スタッフに交替を要求したという。

    この事件が知られたあと、朴もと議長は「孫娘や娘のようで、かわいいという意味でタッチした」と釈明したが大衆、特に女性界の怒りは凄まじかった。検察は事件をずるずると引きずって世論の静まりを待ったが、国民の怒りは収まらなかったためにけっきょく起訴となった。

    一審裁判で懲役6カ月に執行猶予1年、性暴行治療40時間の講義受講の宣告を受けた。裁判に渡りながらも、建国大学法学専門大学院の碩座教授再採用にも飛んで行った。

    以後、控訴審でも減刑を受けられず、今回は最高裁で原審が確定されたわけだ。国立墓地に埋葬されることもできなくなった。

    朴熺泰もと議長の最高裁判決は、なぜ高年齢の人々から注目を集めたのだろうか。これは、この事件が単に個人の人生の屈曲という話だけでなく、ひとつの時代の終焉を意味するからだろう。

    そのとおり。金が多くて権勢のある人々の行動は大概そうだった。面白くてすごく良い人だと考えた周囲の者も、その程度の醜態は大目に見てやるのが慣行だった。身体をさわるとき「やだ、何してるんですか。触らないで下さい」と抗弁することはむしろ楽しみを煽って、一緒にゴルフをしていた知人も楽しんでいたのかも知れない。

    年寄り世代が生きていた時代はそれが通用した。あとで事が大きくなれば、金をいくらかわたして口止めするというのが慣行だった。

    今回も、キャディーは「朴もと議長の心からの謝罪を受け入れて処罰を望まない」と告訴を取り下げており、朴もと議長も犯行を認めるなど自粛をする姿勢を見せたが、実刑を免れることはできなかった。

    そうだ。慣行は消えた。年配の世代が楽に暮らしていた時代は終わった。これからはどう生きればいいのか。おそらくこのような心情で、このニュースを見守ったことだろう。

    朴もと議長は40時間のあいだ性暴力の講義を聞きながら何を考えるのだろうか。その齢ならば、居眠りをするに最適の時間ではないだろうか。
  • O2CNI_Lim, Chul | 入力 2017-04-30 09:06:00