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[コラム] キム・ムソン議員のスーツケースパス

  • しばらくの間メディアの関心外であった正しい政党のキム・ムソン議員が、騒々しくメディアを飾ることになった。韓国だけでなく、海外メディアもそれに乗じた。

    見もせずにスーツケースを転がしたといい、「No look pass」カーリングという言葉が飛び出しながら「韓国エリートの素顔」という非難も受けた。

    米国のオンラインメディアなどはこのキム議員の映像を報道しながら、コメント欄にあった「ケジョッシ(犬オヤジ)」「カプチル(パワハラ)」などを韓国語のまま紹介した。「ハングルの世界化」という輝かしい功績を立てたわけだ。

    「自分の訃告だけ除けばすべて良い」とマスコミの報道を喜ぶ政治家だが、これは違う。スーツケースの一度の失敗が「パワハラ」の模範事例として浮き彫りになるのは、決して望んだことではないだろう。

    キム議員は「あえて解明する必要がない」という態度を見せたがマスコミが騒いだため、後になって「記者たちが待っていると思い、すぐに荷物を渡したかった」と釈明した。映像に登場した秘書も「私を発見してスーツケースを転がした」と明かした。

    映像の前後関係を見ると状況上、キム議員の解明が真実だったと感じられる。スーツケースを転がした場所に秘書がいなければ、非常に可笑しい事態が発生したはずだ。車輪のついたスーツケースはどこまで転がっていくか分からない。下階に落下することもあり、通りがかった人にぶつかって「これは誰のだ」と怒られることもあるだろう。さらに秘書がキム議員に目礼をする姿も画面では見て取れない。

    「見もせずにスーツケースを転がした」という言葉は、その場面を見てもいない人たちが誇張解釈をした可能性が非常に高いという話だ。

    だからといってキム議員の態度が正しいわけではない。目下に対して物を渡しながら「お疲れ」や「頼んだ」のような心も画面では見て取れないからだ。

    筆者はむかし、国会議員の「パワハラ」を目撃したことがある。国営企業の役員と海外に一緒に行った国会議員の秘書も、誰もいない状態で手に持ったバッグをホテルのロビーに下ろし、そのまま持っていこうとしなかったのだ。結局、国営企業の役員がバッグを持ち上げる姿を目の当たりにした。国営企業の役員はバッグを持ちながら怒りが込み上がったことだろう。

    国営企業の役員まで平気で「パワハラ」対象にするのだから、自身の秘書はどうなるのだろうか。あえて説明する必要もないだろう。

    しかし、おそらく韓国の50代以上の壮年層にはキム議員の行動を「パワハラ」と考えない人も多いだろう。これはまた世代の違いを感じさせる部分でもある。会社の従業員を召使いのように扱う社長なら、キム議員から自分の姿を投影することができるはずだ。

    キム議員のスーツケースパスは「パワハラ」だろうか。おそらく韓国社会は、この答えから探す必要があるようにも感じられる。
  • O2CNI Lim, Chul / 写真=キム・グァンジン前委員SNSキャプチャー | 入力 2017-05-28 08:57:00