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[コラム] テレビから姿を消した大河ドラマ

    「朝鮮第7代王が誰でしょう?」という質問を受けた友人が慌てるようにもじもじすると、すぐに横の友人にチャンスが移った。

    「よく分からないです」「次!」「はいその次!」答えられなければ、ひたすら横の人に質問が続く。そしていよいよ私の番が来た。

    「太定太世文端世…」(太祖、定宗、太宗、世宗、文宗、端宗、世祖の頭文字を取ったもの)母親が簡単に暗記できる方法として教えてくれた、朝鮮の王たちの頭文字を取った歌がふと浮かんだ。

    「世…祖?」「よし、世祖に決めた」

    中学生のころ、「王の名前当て」だけでいきなり時代劇にキャスティングされたことがある。演技がうまいからでもなく、顔が綺麗だからでもなく、ただクイズをよく当てて獲得した配役というのは生まれて初めてだった。大河ドラマに出演する俳優が歴史も知らないまま、セリフだけだらだら覚えて演じるのは容認できないというのが監督の堅固な主張だった。

    いわゆる正統時代劇である大河ドラマの場合には、歴史を再解釈したり脚色するよりは実際にそのまま再現して伝えるのに多くの意義を置く傾向が高い。ドラマに登場する配役も実在した人物たちの場合がほとんどだ。したがって出演する俳優たちもリアルな描写のために歴史的な状況や演じる人物の勉強が不可欠だといえる。このように大河ドラマは歴史的事実に重点を置いて物語が構成されるという点から、一般的なドラマとは違いがある。ドラマは視聴者たちに興味と面白さを与える目的が強く、放送番組の分類で娯楽番組であると考えられるが、大河ドラマの場合には楽しさを追求するのと同時に教育的な側面も提供してくれるという独特な強みを持っているのだ。

    しかし今では、どんな放送からも大河ドラマに出会うのは難しい。昨年にKBSで製作準備中だった大河ドラマが中断され、暫定的に廃止になった状態であるからだ。時代劇は臣下、将軍、兵士など数多くの配役たちの出演とセット、衣装、美容、小物などの問題で多くの製作費が投入されるが、それに比べて視聴率や版権輸出は低調な方だといえる。視聴者たちの興味を呼び起こすほどの甘い愛の物語や刺激的な内容が減るうちに、大河ドラマに興味を持つ視聴者たちは限定的になるしかない。複数の国との戦争の話のために輸出も制限的だ。自国の内容が否定的に扱われるドラマは輸入をしない。

    そのような結果、収益の創出を最大化することができる時代劇の製作が必然的になった。歴史を新たに再創造した物語が作られてアクション、恋愛、ファンタジーが加味されたフュージョン時代劇が多く登場することになったのだ。斬新な歴史ドラマが若い視聴者たちに人気を集め、今もなお様々なジャンルのフュージョン時代劇が継続して製作されている。一方で、大河ドラマの居場所はますます無くなっているのが実情だ。

    フュージョン時代劇のように歴史を様々な視点から見て複数の角度から解釈しようとする努力は、ドラマの発展にとっては明らかに良い現象のように感じる。

    しかし歴史が単純に興味中心の素材にのみ転落することはないか、面白さのために作られた物語のために歴史を正しく理解できないのではないか心配になることもある。このような側面から見ると、私たちの歴史を正しく接することができるようにしてくれた大河ドラマの廃止がますます惜しく感じられる。

    新政権発足で国民のための新たな政策の発掘が真っ只中である最近では、放送局も視聴者に有益で公益的な放送を制作するという義務と責任を持ってより多彩なプログラムを模索する必要がある。様々な試みと方法を通じてプログラムの制作にも新たな指標が開き、大河ドラマのように面白さと教育を兼ね備えた歴史ドラマの概念が再び開かれることを夢見ている。
  • 毎日経済_イ・インヘ 慶星大学 教授・俳優 | (C) mk.co.kr | 入力 2017-05-31 06:03:43