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[コラム] 善良な企業オットゥギの後光

  • 「美味しくないと言ってごめんなさい。これからは文句を言わずに食べます」

    韓国ラーメン市場の絶対強者は農心だ。農心はロッテの辛格浩(シン・ギョクホ)会長の弟辛春浩(シン・チュノ)氏が設立した食品会社だ。設立当初の会社名はロッテ工業だったが、後にロッテグループから分離独立して農心(ノンシム)に名前を変えた。

    韓国ラーメン市場の先頭走者だった三養(サミャン)食品を抑えて業界トップになって以来、30年間も市場は農心の独壇場だった。一時は市場シェアが80%に迫ったこともあった。その時ほどではなくても、ここ数年間も60%台は着実に維持してきた。

    しかし、現在では絶対強者としての農心の地位が脅かされている。2014年には62.1%だったシェアが昨年53.8%に落ちると今年5月には49.4%と、50%の壁が崩壊した。30年ぶりに最大の危機が訪れたわけだ。

    ラーメン市場で農心が逃したのシェアはほとんどが後発の*オットゥギに持っていかれた。市場の支配権に影響を与える要素は製品、マーケティング、価格などだ。実際、昨年12月に農心が主な製品の消費者価格を平均5.5%上げたのに対し、オットゥギは10年前の2008年の価格を固守した点も市場の変化に影響を与えている。

    *オットゥギは1987年4月に破産した青宝(チョンボ)食品からラーメン事業を買収した。現在は25%の市場シェアで、ラーメン業界2位。

    しかし、オットゥギの躍進は単純に市場での競争によるものだけではない。着実に積み上げた「善良な企業」というイメージも一役買っている。

    韓国財界の慢性的な悪行である不正直な相続、非正規職社員の過剰採用、協力会社へパワハラなどから自由なため、若い消費者はオットゥギを「ゴットゥギ(God +オットゥギ)」と呼ぶほどだ。

    創業者である咸泰浩(ハム・テホ)氏が他界した後、オットゥギ(13.53%)と子会社の朝興(チョフン)(3.01%)の株式を譲り受けたハム・ヨンジュン会長は相続税1500億ウォンを5年にわたって分割払いすると明らかにした。これは2003年に教保生命が1830億ウォンの相続税を収めて以来、2番目に多い金額だ。ほとんどの財閥オーナーが相続税を減らすための便法を使うのとは全く異なる動きだ。

    少し誇張された面はあるが、非正規職を採用しないことも人々の心を温かくする。協力会社も本社への信頼が厚い。いくら市場の状況が苦しくても納品するものの値を適切に定めてくれるため、協力会社も暮らしやすいということだ。協力会社も稼いだ資金で新しい設備を調達して納品するものの質を高めようと努力し、新製品の開発をする時も積極的に協力するという相生が自然に行われる。

    オーナー一家の善行も目立つ。他界した創業者は社会福祉法人ミルアル財団に300億ウォン台の株式を寄付し、4000人以上の心臓病の子供の命を救った。ハム・ヨンジュン会長も亡父の意思を受け継いで毎月20人の先天性心臓病の子供たちに手術費を支援してあげている。

    2000年初めソクボントーストがソウル武橋洞でホームレスにトーストを無料で配るボランティア活動をすると、オットゥギはソクボントーストにソースを無償で提供した。このような事実はソクボントーストのキム・ソクボン社長が自伝に紹介しながら一歩遅れて知られている。

    このような要素が集まってオットゥギが「ガットゥギ」へと飛翔したわけだ。イメージが良くなるとオットゥギは2017年3月にブランドコンサルティンググループのインターブランドが選定する韓国50大ブランドに、食品メーカーとしては唯一名前を載せた。そして、新政府になってから初めて開かれる企業懇談会にも中堅企業としては唯一、財界序列15大グループと一緒に招待される慶事を迎えた。

    このような後光が市場に反映されないわけがない。オットゥギに関連する記事に書き込まれたコメントに「カレー、ラーメンが美味しくないと無視して申し訳ありません。今後、チンラーメン(オットゥギのインスタントラーメン)を買って食べます」という内容が書かれるほどだ。「善良な企業」の礎を積み上げながら、消費者を自分たちの味方にしてしまったわけだ。
  • O2CNI Lim, Chul | 入力 2017-07-30 08:55:00