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[コラム] 伝統文化とメディア

  • 「トウモロコシの髪の毛が長く伸びたね。私たちが可愛く編んであげようか」

    子供のころ、祖母宅に行くと母親がトウモロコシのヒゲを髪の毛のようにして頭を編む方法を伝授してくれたものだ。三つ編み、四つ編みなど様々なヘアスタイルで精一杯飾ってあげると、いつの間にかトウモロコシ畑は自分専用の遊び空間になっていた。この遊びに飽きたら小さくて丸い小石を拾ってお手玉をし、きれいな石はお土産として家に持って帰った。

    祖母宅は面白い遊びだけでなく、不思議なおやつがいっぱい集まっている場所でもあった。干し柿の中にクルミが入った伝統おやつは、まるで赤い葉を巻いた綺麗な花のような形だった。しこしこした食感の中に感じられる甘さと香ばしさは、これまで一度も味わうことのできなかった新製品ゼリーのようだった。孫娘のため、直接あめを煮詰めて白い米のはぜに粗悪に埋め込んだ伝統韓菓も、やはりその味は一品だった。噛むたびにサクサクと砕けながら伝わる甘さは、一般的なチョコレートの甘さとは次元が違った。

    チャンネルを回していて偶然見かけた伝統的な食卓料理のおかげで、しばらく夢のようだった昔の思い出たちが次々と浮かんできた。

    今となっては伝統料理を一緒に味わって楽しむことのできる機会はほとんど消えてしまったようだ。名節連休には家族旅行に行くため忙しい。名節の食べ物は、いつでもマートで簡単に購入することができるため、特別な日という意味を付与してまで食べる必要がない。邪気や害虫を追い出すため缶に火をつけて回す「チブルノリ」や「ノルティギ 」「ユンノリ」のような名節に主に楽しんでいた民俗遊びも姿を消してから久しい。名節の文化を伝える機会が減ったことで、伝統文化に触れることのできる機会がさらに減ってしまったのだ。

    韓服をきれいに着飾って披露する韓国舞踊である「パンソリ」、国楽演奏などの伝統的な芸術も今となってはTVですら見れなくなった。視聴率が低調な、週末午後の時間帯に放映される国楽プログラムが唯一残っているだけだ。刺激的で娯楽性の濃いプログラムが強勢である現在の放送環境では、少し古くさく見える韓国の伝統文化プログラムは現実的に生き残ることが難しい。しかし韓国固有の文化の脈が途切れないためにも、メディアがより積極的に取り組む必要があると考える。

    文化はひとつの社会の構成員たちが一緒に生きていきながら編み出した、ひとつの生活様式であり歴史と見ることができる。したがって長い期間、着実に受け継がれてきた文化を維持することは、ひとつの国を守ることと同じで非常に重要なことだ。

    ハンバーガーやピザを好んで食べ、ラップやダンスミュージックを好む最近の子供たちに、韓国の伝統的な料理や伝統芸術を知らせるのは容易ではないだろう。彼らに伝統文化への興味・関心を吹き込む方法としては、メディアが唯一の希望と見ることができる。人気番組とのコラボレーション、伝統文化を活用した娯楽番組の制作など、メディアの影響力を活用した方法が必須的だ。

    「お母さん、韓国にも伝統舞踊があるの? 」

    子供たちが私たちの伝統文化が何であるか記憶すらしていない世の中になる前に、韓国の伝統文化を保存して継承していくことができる絶え間ない努力が成されることを願う。
  • 毎日経済 イ・イネ慶星大教授・俳優 | (C) mk.co.kr | 入力 2017-08-26 09:00:00