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[コラム] 英雄の条件

  • 世界を救うために向かっていた人が道端で倒れて死んでいく女性を見た。

    さて、どうするか。

    学生時代の友人たちとよくしていた質問だ。世論調査の結果を見ていて、改めてその頃の記憶が思い浮かぶ。

    友人が出した意見は、それぞれ異なっていた。

    「大のために小を犠牲にするのは当然のことではないか」、「自分の命を差し出して国を助けに行く局面で、そんなことに気を取られてはならない」と主張する友人もいた。

    一方、野草のようなひとつの命を大切に思ってあわれむことのできない人が国を救うだなんて、自分の欲だろう、このような反論も提起された。

    ここで改めて正解を決める気持ちはみじんもない。正解が出てくるようにも思えない。

    価値観や性向が違うぶんだけ選択も異なるだろう。

    しかし筆者の個人的な考えを尋ねられるなら、倒れて死に行く女性を守るほうを選ぶ気がする。そのほうがより価値があるからではなく、目の前に起きた状況を見過ごせないからだ。すぐ目の前で起きている惨状を無視する人であれば、彼が助けた世界はどんな世界なのだろうか。少しいぶかしく思う心も生じるからだ。

    筆者に昔を思い出させた調査は「生まれ変わっても韓国に住みたいか?」という質問だった。

    トレンドモニターが全国1000人の成人男女を対象にした質問で、生まれ変わっても韓国人として生きたいと堂々と明らかにした人は30.2%にとどまった。半分以上の58.9%が「最近のようであれば、再び生れたいとは思わない」という反応を示した。

    進歩的な性向を持つ人ほど韓国に再び生れたくないという反応が顕著だという点も特異点だ。進歩的な人は生きたくない社会を生きたい場所に変えようと努力する人でなければならないのでは、という気がするからだ。

    韓国人としてまた生れたくない理由はそれぞれ異なる。

    生活に余裕がある国に住みたくて、福祉制度が整っている国で余裕のある生活を楽しみたくて、はるかに豊かな国の一員になりたくて、過度な競争社会が嫌だから。

    しかし、共通点は母国に対する失望感だ。このような失望感はどこから来ているのだろうか。

    再び筆者の個人的な意見に戻らざるを得ない。

    社会全体を救うために、社会の中で使い道がないからと捨てられた個人、人生の落伍者だからと振り向かれることのない少数が増えたからだという考えにもなる。

    社会を救うために向かっていた途中に出会った女性を救うなら、彼の代わりに命をかける人が登場するだろう。私が社会を助けることができなくても、卑賤な人の世話をしながら他の人に社会を救わせる動機を与えることができるだろう。筆者が考えるヒーローはそのような姿だ。

    道で倒れ死んでいく人のために献身する人、そのような感動を周囲に伝播する人。彼が大統領だったり戦争の英雄である必要はない。そのような英雄はパン屋の主人や、ピザを配達する近所のおじさんの姿であるかもしれない。
  • O2CNI Lim, Chul | 入力 2017-08-27 08:50:00