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[コラム] 慈善鍋の鐘の音

  • 道を行く途中、慈善鍋の鐘の音を聞くと通り過ぎるのが難しかった。
    わずかなお金を鍋の中に入れて帰ろうとすると、本当に気まずい。もう一度、慈善鍋の場所に戻って、追加でお金を入れてから、やっと気分がよくなった。

    よく分からないが、みんな同じ気持ちだろう。年末を告げる鐘の音が聞こえてくると、気分がよくなる募金をしたり、気まずい気持ちを無くすためだったり、どちらにせよ何もせずに通り過ぎるのは難しい。鐘の音が聞こえるからだ。

    慈善鍋を見た後、ふとフランス革命時代に首斬り台で亡くなったマリー・アントワネットが思い出される。彼女が言ったとウワサされた「パンがなければケーキを食べなさい!」というウソの言葉のせいだ。馬車に乗って怪我をした農民の息子を見つけては、ヴェルサイユへ連れて行って洗ってあげたり、食べ物を与えたりする人情深い王妃でもある。
    しかし、民の構造的な貧困については無知だった。なぜかって?見えないからだ。
    自分の人生とは完全に遮断された違う世界の物語だからだ。

    年末の街の象徴である救世軍の慈善鍋の募金額は年々減っているそうだが、筆者の考えではこれも同じように思える。募金の目標達成に負担を感じたのか、慈善鍋を運用する救世軍は最初から目標を無くしたそうだ。

    地球村全体から見れば、韓国はそれでも暮らしやすい国だ。
    経済規模で見た時、世界10位圏、輸出額は世界6位、国民1人当たりGNPが1万ドルを超える。 お金で解決されないことがほとんどない国で、上位10%以内の富豪たちの生活は豊かすぎるだろう。

    そのような国で、朝食と昼食を食べられなかった親子がお腹が空き過ぎて耐えられず、マートで牛乳2パック、りんご6個を盗んで捕まる事件が起きた。

    数十億の高層マンションが残した影の下で起きたことだ。

    政治家、企業家、芸能人、ジャーナリストは皆同じだ。みんな、車を走らせて走り回っているため、道の脇の片隅で、山から採ってきたナムルを売りに来たおばあさんの、しわのある顔に気付かず通り過ぎてしまう。見たこともないため、憐憫の情は、これっぽっちも感じない。彼らは助けが必要な人に統計数値で会うだけだ。
    「今の時代、ご飯が食べられない人が、どこにいるんだ??」

    自由を求めて北朝鮮を脱出した40代の女性が5歳の息子と一緒に餓死してから数か月が過ぎた後に見つかったため、事件が起きるたびに疑問が生じる。

    慈善鍋の鐘の音が路地裏通り、いや高層マンションに乗って雷鳴になると、このような問いかけが消えるだろうか?
  • Lim, Chul | 入力 2019-12-23 00:00:00