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[コラム] 韓国は男女分断国なのか

  • 『82年生まれ、キム・ジヨン』

    2009年『母をお願い』以降、百万部以上の販売実績を上げた小説だ。日本、中国、台湾、ベトナム、フランス、スペインなど18か国に版権が売れたりもした。

    作家のチョ・ナムジュはカフェでアメリカーノを一杯買って、ベビーカーを引きながら公園に出かけたところ、お昼の時間に出くわした会社員から「マムチュン(Mom+虫)」と皮肉られたそうだ。 金を稼ぐのが大変な男性に比べて星回りがいいという意味だ。女性差別を深刻に感じていたところへ侮辱的な言葉を聞いて、自分が経験したことを本に出版しようと思ったそうだ。

    執筆方式も人物設定やストーリー構成が先ではなく、女性の就職、出産と保育、女性対象犯罪、フェミニズムなど4つのキーワードを中心に資料を集めた後、エピソードを構想する形で行われた。そのため、文学というよりはルポルタージュに近いという評価を受けたりもする。

    20~30代の女性の莫大な支持の中で発刊直後、ベストセラーになった。
    評論家たちの評価は2つに別れている。

    小説に引用された統計に意図的な解釈も盛り込まれていると、厳しく批判する人もいる。

    この本には「50代の大企業の人事担当者のアンケート調査では『似たような条件なら男性志願者を好む』という回答が44%で、『女性を好む』という人は一人もいなかった」という記事が引用された。そこで引用は終わった。しかし、記事は「『男性でも女性でもかまわない』という回答は56%だった」という一節に続く。

    とにかく「政治的素材を扱う小説は多いが、最終的に政治を成し遂げる小説は珍しい」というある文学評論家の言葉のように、小説が韓国社会にかなり大きな波紋を投げかけたことは確かだ。

    小説の政治行為はそうでなくても火がついている男女の葛藤を増幅させた。

    小説が映画化され、2019年10月に公開されたため韓国の男女は映画館のドアを出て、再び舌戦を繰り広げた。女性の観客は、女性が直面している現実をよく描写したと満足している反面、男性たちは「度が過ぎる」という反応だった。

    政治的に左右陣営に分かれ、連日舌戦が繰り広げられ、地域的な葛藤、世代の葛藤が縫合されない中、男女の葛藤は、韓国社会を葛藤が日常化した社会にしている。

    日本の朝日新聞が韓国を「男女分断国」と表現したが、これは現在、韓国で起こっている葛藤の一面に過ぎない。

    『82年生まれ、キム・ジヨン』は葛藤を扇動して成功の道を歩いている。
    小説だけでなく、韓国社会の葛藤の裏には、言葉と文章で有名になろうとする人々の欲望が込められている。

    女性の経歴断絶、ガラスの天井、デート暴力、少子化などの問題を提起するのは望ましいことだ。しかし、いつも問題を暴いてばかりはいられない。少なくとも社会指導層なら、問題提起とともに処方箋も提示しなければならない。そうでなければむしろ口を閉じたほうがいいだろう。
  • Lim, Chul | 入力 2020-01-23 00:00:00