コラム > オピニオン
[コラム] 仁川（インチョン）市の塾講師は、なぜ職業を聞かれた時にウソをついたのか？
- 仁川（インチョン）市の塾講師は、なぜ職業を聞かれた時にウソをついたのか？
タクシーに乗って漢江（ハンガン）を渡った頃、ラジオではちょうどニュースが流れていた。
ちょうど1歳を過ぎたばかりの女の子が新型コロナウイルスにかかったというニュースだった。
「ウソをついた仁川市の塾講師によって感染した生徒たちが訪問したコインカラオケで歌を歌って感染したタクシーの運転手が1歳の誕生日パーティーでカメラマンとして駆けつけ、夫婦と赤ちゃんを感染させた」という内容だった。
タクシーの外の風景はうす暗い限りだった。
昨日までは晴天だったが、大陸から吹いてきた黄砂で空一面が灰色にさえ見えた。
「塾講師は、なぜウソをついたのでしょう？」
マスクをかけたタクシーの運転手に聞かれた時、最初はちゃんと聞き取れなかった。
「何とおっしゃいましたか？」
「講師が、なぜ無職だとウソをついたのか知りたくて。講師はウソをつくほど悪い職業じゃないでしょう」
25歳の仁川の塾講師は梨泰院（イテウォン）のクラブに行って新型コロナウイルスに感染した。疫学調査の初期に自分の職業を「無職」と言ったが、訪問先や動線の陳述があいまいだった。仁川市の要請を受けた警察の位置情報（GPS）の照会結果、相当部分が一致しなかった事実を確認した防疫当局が再調査を行って追及すると、その時になってようやく塾講師を務め自宅で個人レッスンを行ってきたことも打ち明けた。
彼のウソで35人が新型コロナウイルスに感染した。そのため、検査の実施に費やした財政資金も膨大な金額になる。
塾講師がウソをついた理由は何だろうか？
大学4年生として在学中の彼は、最終学期に1科目だけ履修すれば卒業できるそうだ。就職に不利益が生じることを恐れて虚偽の陳述をしたようだと防疫当局は説明している。
「就職のせいだったそうです」
「本当の理由は、それだけでしょうか？」
タクシーの運転手は首をかしげる。信じられないという様子だ。
「すでに塾講師として働いているじゃないか。それに個人レッスンまでやってるっていうから収入が結構あると思うけど」
運転手は自分より講師の収入がはるかに多いと推測しているようだ。
動線と職業についてウソをついた理由も、またウソの可能性がある。
「なぜ嘘をついたと思いますか？」
「僕には分かりません。当局できちんと把握するでしょう」
仁川市の塾講師は、なぜウソをついたのだろうか？
彼の言うとおり大学卒業後の就職に対する不利益のためだったのだろうか？
それとも、塾講師や個人レッスンなどでかなりのお金を稼いでも、税金をきちんと納めていないかったから？あるいは課税当局から追徴されるのを恐れたのでは？という気もする。 - Lim, Chul | 入力 2020-05-22 00:00:00
