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トランプ氏当選で懸念が深まる精油業界…来年以降の不確実性が大


  • トランプ氏当選で懸念が深まる精油業界…来年以降の不確実性が大
「アラスカの夏のような精油業界のつかの間の好況が、さっさと終わるのか心配だ」。

ドナルド・トランプ氏の米国大統領当選で、精油業界の懸念が深まっている。史上最大の実績を上げるように見える今年とは異なり、来年以降の不確実性が大きくなっている。

18日、精油業界によると国内精油4社は今年に入って第3四半期(5兆6882億ウォン、第3四半期の累積営業利益)までに、史上最高の実績を記録した2011年(年間6兆8135億ウォン)に近接する実績を記録した。

今年一年全体としても史上最大を超えうるだろうという見方も出ているが、業界の表情は明るくない。当初の期待とは異なり、トランプ当選が悪材料として作用する可能性が高いためだ。

業界では、△原油価格の下落、△精製マージンの縮小、△保護貿易強化にともなう輸出減少、△イランに対するスナップバック(経済制裁以前の状態への復帰)などを「トランプがもたらす4つの悪材料」として挙げている。石油開発事業などが活気を帯びることがありうるという点では好材料だが、まだ規模が小さいうえに実際の収入までの道のりは長い。

トランプ氏は大統領選期間中、「50兆ドルに達する価値を持ったシェールガス、石油、天然ガス、石炭など、米国のエネルギー資源に対する(採掘関連など)規制をすべて取り除いて雇用を創出する」と強調した。化石燃料に集中するというわけだ。原油価格が低い状況であることから、すぐさまシェールガスの開発などが本格化することは現実的に難しい。しかし中長期的に石油の供給が増えるというのが精油業界の観測だ。エネルギー経済研究院のイ・ダルソク専任研究員は、「短期的には政策に対する不安感、中長期的には供給過剰によって、しばらくのあいだ原油価格の上昇は難しいだろう」と予想した。続けて「原油価格はバレル当たり40ドル台で維持され、再生可能エネルギーの開発はペースダウンする効果があるだろう」と付け加えた。

しかし原油安の持続で今年の石油会社の実績に孝行役を果たしていた「在庫効果」も、期待することは難しいとされた。国内精油会社が中東などから原油を輸入して、韓国まで輸送するのに約1ヶ月かかる。輸送期間中に原油価格が緩やかに上昇すると、精油会社はじっと座っていても収益が増えるのが「在庫効果」だ。

精油会社の実績で売上げに影響を与える原油価格よりも重要なのが、営業利益を決定する精製マージンだ。精製マージンとは原油価格と完成品の価格の差を意味する。

精油業界ではバレル当たり4~5ドルを損益分岐点と見ている。今年初めにバレル当たり10ドル水準だったシンガポールの複合精製マージンは、現在は7ドル台で維持されている。石油協会では「トランプ大統領の就任以後は不確実性の拡大などで、精製マージンの変動幅が大きくなるという点が不安要因」だと指摘した。

不確実性・変動幅拡大と表現したが、業界の心配はマージン縮小の可能性を高く見ている。ただしSKイノベーションは、「今後2年あまりのあいだは域内に精製設備の増設などがない限り、需要急減などの突発変数がない場合は精製マージンは安定レベルで維持することができるだろう」と見ている。

保護貿易主義の強化もまた、製油業界の立場では慎重になる部分だ。石油協会によると今年の第3四半期までに、国内精油4社は売上げ全体の半分を輸出した。トランプ当選後に貿易量の減少などが進むと、精油業界は直撃弾を食らうだろうという展望が出てくる理由だ。

SKイノベーションと現代オイルバンクやハンファトータルなどの立場では、イランに対するスナップバックも心配の種だ。

今年に入ってイランへの制裁が緩和され、両社はイラン産の原油・コンデンセート(超軽質油)の導入量をすばやく増やしてきた。 SKイノベーションは全体の消費量(一日当たり110万バレル)の20%ほどをイランから取り寄せている。オイルバンクは現在、全体の輸入量(一日当たり55万バレル)の22%(一日12万バレル)をイランから取り寄せている。ナフサ成分の多いコンデンセートが中心だ。国内精油会社は昨年まではコンデンセートをカタールから輸入してきたが、今年に入ってイランへ輸入先を変えた。業界によると、イラン産は5~10%ほど安い。両社はさらに安い価格で量を持ち込んでくると知られている。 GSカルテックスとSオイルは、経済性の判断と支配株主などとの関係でイラン産原油を輸入していない。

イラン産については精油会社よりも気にする会社がある。ひと月500万バレルの輸入量の70%にあたる350万バレルを輸入するハンファトータルだ。ハンファトータルでは「価格競争力のためにイラン産を輸入してきた」とし「イランとの関係に問題がないことを望むだけだ」と付け加えた。

一部では肯定的な意見も出ている。 SKイノベーションの関係者は「今後は精製設備の拡大などが短期間になく、原油安になると精製マージンは改善されるだろう」と期待感を表わした。
  • 毎日経済_チョン・ウク記者 | (C) mk.co.kr
  • 入力 2016-11-18 16:28:40




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