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「配達天国」の韓国をアジアの「共有キッチン」の拠点に

元ウーバーCEOのトラビス・カラニック氏のレストランビジネス 

  • 「配達天国」の韓国をアジアの「共有キッチン」の拠点に

Uber(ウーバー)創業者兼元最高経営責任者(CEO)のトラビス・カラニック氏(42歳、写真)は、100%配達専門のレストランビジネスモデル「共有キッチン」を韓国で始めることにした。このためにソウルで事業説明会を開き、ソウル市内に「共有キッチン」ビジネスのための拠点を9ヶ所~11ヶ所まで拡大すると明らかにした。「ポストウーバー」ビジネスを韓国で本格化するというもので注目される。

21日の業界関係者によると、カラニック氏と彼のチームは17日にソウル市のル・メリディアンホテルで外食業と配達業関係者約100人を集めて、彼の新しいビジネス「クラウドキッチン(Cloud Kitchen)」の非公開事業説明会を開いた。

ある出席者は「カラニック代表は共有キッチン事業を韓国で最初に成功させたいという強い意志を示した。韓国の配達インフラは世界最高水準であり、産業規模も大きいからだ。しかし諸般の施設は遅れているようで、韓国で大きなビジネスチャンスがあると説明した」と伝えた。この出席者はまた、「韓国でクラウドキッチンが成功するならば、料理の配達がさかんな他のアジア諸国に進出できると強調した」と付け加えた。カラニック氏はソウルに事業用地をさがしており、ソウル市内に少なくとも9ヶ所、最大11ヶ所まで「クラウドキッチン」をオープンさせる計画だ。カラニック氏はこのためにソウル市内のビルを直接買い付ける計画であることが分かった。

カラニック氏が始める「クラウドキッチン」はウーバーように消費者を対象とするのではなく、既存の外食業の事業者を主な需要者とする企業間取引(B2B)事業だ。外食やフランチャイズの創業者が最小限の資本と実力で創業できるように支援するという概念だ。そのために共同のキッチンを設けて、配達インフラを備え、食堂がマーケティングを行えるように手助けする。つまり外食業をしようとする人に対して、「料理」を除いた残りのインフラを提供することを事業アイテムにしたわけだ。カラニック氏がウーバーを通じて「共有タクシー」概念を実現したならば、クラウドキッチンを通じて「共有キッチン」を実現するというわけだ。

カラニック氏はウーバーを退いた後に株の一部を売却し、10100(テンワンハンドレッド)というベンチャーファンドを開始した。このファンドでシティストレージシステムズ(CSS)に投資して、自分が直接CEOに就任した。 CSSは駐車場や流通などの不動産をデジタルに合わせて再利用することを目的とした持株会社だ。カラニック氏は「デジタルに合わせて不動産を再変更する事業規模は10兆ドルを超える」と強調した。クラウドキッチンはCSSの最初の事業だ。特に共有キッチン事業は「仮想(Virtual)キッチン」「ゴーストキッチン(Ghost Kitchen)」とも呼ばれる。さいきんシリコンバレーとロサンゼルス(LA)、ニューヨークを中心に広がっている「食べ物の未来(Future of Food)」「`レストランの未来(Future of Restaurant)」概念のうちのひとつで、LAでキッチンユナイテッドが、シリコンバレーではキッチンタウンなどが成功するやいなや拡散する傾向にある。

この事業が興味を起こさせる理由は、外食やフランチャイズ創業をするためには「筋の良い」場所を先取りすることが最も重要で、初期のインテリアコストが高く、失敗の確率が大きくなっているからだ。外食創業者の80%以上が失敗するという調査結果が出ているほどだ。不動産やフランチャイズ料にかかる費用が大きくて料理の質が落ち、これが創業の失敗につながる悪循環が続くことになる。

共有キッチンモデルを通じてインテリアや権利金、許可の問題を解決することができ、食堂が顧客を確保する前に廃業する事例を減らすことができることが長所だ。 100%配達専門のキッチンであるクラウドキッチンには20~30のブランドが入店することができ、時間帯を区分してキッチンを分け合って使用する。できた料理を周辺各地に配達するだけでなく、共同でのマーケティングも可能だ。キム・ソヒョン スタンフォード大フードイノベーションディレクターは、「韓国はさいきん化粧品やファッションなどの業界で最も先を行く市場として認められている状況で、いまやフードイノベーションの分野でもカラニック氏が最初に選択する市場になるほど成長した」とし、「ウーバーCEOの当時、韓国で凄絶に失敗したにもかかわらず、韓国市場に再挑戦を宣言したのは少なからぬ意味がある」と評価した。

しかしカラニック氏の新しい実験が成功するかどうかは未知数だ。まだ概念があまりなじまないうえに、韓国の厳しい規制をクリアできるか疑問だ。実際、カラニック氏の事業説明会に参加した業界の関係者は、「厨房の共有が法的に解決するべき問題や規制が多く、市場調査の次元で進行するようだ」と評価した。

2009年にウーバーを創業したカラニック氏は、CEOを務めてウーバーを企業価値200億ドル(約134兆ウォン)の「共有経済」の代名詞にした。しかし社内セクハラを隠蔽しようとしたことと蔓延する性差別、過度の成果中心の企業文化などで批判を受けた。またカラニック氏はWaymo(ウェイモ)との訴訟などの責任を負って、昨年6月にCEOの座から退いたことがある。しかしまだウーバー株の13%を所有している大株主だ。
  • 毎日経済_シリコンバレー=ソン・ヂェグォン特派員 | (C) mk.co.kr
  • 入力 2018-10-21 20:51:54