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キム・ミョンミン、「新しき世界」と比較しない…これまでと違うノワール


  • キム・ミョンミン、「新しき世界」と比較しない…これまでと違うノワール
映画『一日』にて娘を失った父親に扮し観客と出会った俳優キム・ミョンミンが2ヶ月ぶりに映画『VIP』で再びスクリーンに帰ってくる。また『VIP』の余韻が終わる頃にはコミック映画『朝鮮名探偵3』とアクション映画『物の怪(もののけ)』で帰ってくる予定だ。「演技の本座」という修飾語まで付き、多くの観客に認められる今のキム・ミョンミンは勤勉からくる当然の結果のようだ。

『新しき世界』のパク・フンジョン監督の新作として話題を集めている『VIP』にて、キム・ミョンミンは警察チェ・イド役を熱演した。先立って『新しき世界』にてチェ・ミンシクが重みのある演技で警察カン課長を描き出したとすれば、キム・ミョンミンは法と手続きを無視して犯人検挙というひとつの目標だけに向かい全力疾走する警察チェ・イドを本人だけのスタイルで描き出した。

今月21日、ソウル中区三清洞にてシックニュースとであったキム・ミョンミンは、普段から待ち望んできたパク・フンジョン監督との作業を『VIP』を通じて叶えることができたと明かした。

「以前にも監督と作業できる機会があったのですがタイミングが合いませんでした。今回は私の時間が合い、今回を逃せばまたいつ作業できるかと思い『VIP』に出演することになりました」

これまでキム・ミョンミンは多様な感情演技を没頭度高く消化して大衆の愛を受けてきた。しかし『VIP』での彼の演技は少し違う。チェ・イドは映画の最初から最後までキム・グァンイル(イ・ジョンソク扮)を捕まえるため、必死で駆け回る。終始キム・グァンイルに向かう怒りを表し、どんな迷いも葛藤もないチェ・イドの姿は極めて今日面的で1次元的だ。これはパク・フンジョン監督が映画製作にて一番重要に考える要素のひとつだった。

「すべての俳優が断面的な演技をすることが映画のキーです。この映画はドライな部分が命です。最初に台本を見たときにはとても典型的なキャラクターだと思いました。まるでソル・ギョング兄さんが演じたカン・チョルジュンのようでしたが、ギョング兄さんよりもうまくやる自身もなく、踏襲することは嫌でした。けれど監督が『我々はそう行ってはいけない。無味乾燥に行かねばならない』と言うんです。監督が米国ドラマ『トゥルー・ディテクティブ』を参考にするようにと仰ったのですがとてもドライでこうしてはいけないと思いました。ですから妥協点を探したことが『トゥルー・ディテクティブ』よりもアップさせ、普段私たちが見てきた刑事よりも少しダウンさせました」

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各人物たちの背景や性格などに対する説明もほとんど無い。チェ・イドを含む4人の人物は全員ひとつの事件の中で各自の目標のために動くが、人物たちがなぜそんな選択をし、なぜ変化することになったのかについては十分に話が描かれていない。これにキム・ミョンミンはキャラクターを捕らえる際にいくつかの悩みと過程を経ねばならなかった。

「通常キャラクターの前事を書くのですが、監督がそんなものを想像するなと仰いました。チェ・イドは正義社会具現のために刑事となったのではなく、本人が成功することを喜びとする人物だ。それだけ賢く事件を捜査する際の勘がある。同僚刑事が死んでも『俺が同僚の敵を取る』といった考えではなく『能力も足りない奴に事件を任せるから死ぬんだ』そんな風に話す。けれどとても単線に進んでみると後半部に衝撃がないと思い、演技しながらすこしツンデレのような姿を入れました。とてもそんな感情そのものが表現できるシーンがなく、監督が徹底して排除させました」

人物間の複雑な葛藤関係や感情描写を背に、時間に焦点を合わせた映画であるだけに俳優たちに要求されるパク監督のディレクションもはっきりしていた。パク監督は本人が描き出した人物の設定を各俳優にそのまま着せ、彼の意図に信頼を送ったキム・ミョンミンは「監督に最適化された俳優になる」という気持ちで撮影に挑んだ。

「俳優たちに期待をかけてはならず、監督の名前に期待せねばいけません。これは監督の映画です。俳優個人の欲心を得ようとしたならば、入ることが容易ではない作品です。『新しき世界』とも比較してはいけません。監督は前作を踏襲する考えはほぼありませんでした。本人のカラーでノワールではありますが、これまで見たことのないノワールを作りました。組織暴力団が登場せず、斬新な素材の中から企画亡命者を打ちたててもどかしい感情を反映しようとしたようです」

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観客が『VIP』に期待するまたひとつの理由はそうそうたる俳優たちの新鮮な組合せだ。チャン・ドンゴン、パク・ヒスン、キム・ミョンミンなど有名な俳優と若きイ・ジョンソクまで、彼らの出会いは映画を見る前には簡単には想像できない。最近、作品に頻繁に登場するブロマンスなく、鋭い対立構造で構成された人物たちの調和はキム・ミョンミンも認める『VIP』のまた違う魅力だ。

「そのぎこちなさがこの映画の魅力ではないかと思います。中でも向き合う場面がほとんどありません。私の場合は3人全員に会いましたが、ヒスン兄さんはほとんどドンゴンに会っていません。ですから正直、映画で互いに意気投合して力を合わせる雰囲気はありませんでした。映画そのものの構成がそうだったので酒の席もありませんでした。そんなことをすべて勘案し出演したんです。けれどその慣れない組合せがむしろ長所となりうるとも考えます。映画でも人物が全員水と油です。実際に映画の中でも互いにぎこちなくブロマンスといったものはまったくありません」

ノワールだけでなくスリラー、コミック、ドラマなどジャンルを問わず多様な作品で観客と出会うことができることは、彼の演技力が大きな理由となっているが、何よりも演技に対する彼の真心が生み出した結果でもある。興行に対する欲心よりも揺らぎない俳優としての価値観を重要視する彼は自らを「愚直な俳優」と表現した。

「興行にとても敏感でないため困ります。周辺からは少しそういうものを見ながら作品を選べと話すのですが、それが私がやりたいとできるものでもなく、天に任せるしかありません。私はただ私の仕事に満足しています。私の演技に満足するのではなく、私が演技している俳優として生きていることに満足しています。興行が、ともすれば富と栄誉を追いかけることですが、それを先に見て進めば私の考えや価値観がぼやける可能性があります。シナリオがとても良いのに、これはダメであれはダメと好き嫌いすれば私が考えた俳優の道から外れるという気分になるでしょう。自らがずるくなる必要もありますが、今はそんな部分は不足しているようです」

20数年間多様なジャンルとキャラクターを演技してくれば疲れそうなものだが、彼の情熱は今も変わらない。『VIP』以降にも多様な作品で観客との出会いを控えている彼は「できるときにしないといけない」と今後の活動を期待させた。

「私がどれだけ長くできるでしょうか。もう疲れてはいけないでしょう。できるときにやらないと」
  • シックニュース キム・ダウン記者 / 写真=ワーナーブラザーピクチャーズ | (C) mk.co.kr
  • 入力 2017-08-27 07:00:00




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