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韓国映画、製作規模拡大して「海洋時代」に

鳴梁(ミョンリャン)・ヘム(海霧)・海賊(海賊:海に行った山賊) 

  • 韓国映画、製作規模拡大して「海洋時代」に
海は未知の存在だ。われわれの技術は括目するばかりに発展したが、ただ海だけは難攻不落だ。地球の表面で海が占める割合はなんと71%ほどにもなる。しかし、3600メートル(平均水深)の海で、人間の手が届くところはようやく90メートルに過ぎない。空に届くような数千メートルの高山をよじ登る人間だが、海の前ではあまりにも貧弱だ。

中を知ることのできないこの青い領域は、常に人間の求愛を受けてきた。無限の想像力の翼を映像で具現する映画監督が、海をほおっておくはずがない。神秘的な空間をスクリーンに移し替えようと、彼らは天文学的な製作費を惜しまなかった。海に向かった純粋な情熱は美しいが、興行成績が美しかったケースは指で数えられるほどしかない。映画のスケールを一段階高める「ブロックバスター専門監督」として有名なジェームズ・キャメロンも、深海を主な舞台にした映画『アビス』(1989)では苦汁を飲まなければならなかった。名監督レニー・ハーリンと女優ジーナ・デイヴィスが一つに組んだ『カットスロート・アイランド』(1996)は、制作費の20%も稼ぎ出せず終わった。しかし諦めるにはまだ早い。ハリウッドで世界的な興行成績を掘り起こした海洋映画が続々と生まれている。また、海洋映画においそれと挑戦できなかった韓国も、高品質の作品を今年の夏に大挙披露する。まさしくスクリーンで「海の時代」が開かれている。未知の領域に勇敢に踏み入った歴代の海洋映画をひも解いて、韓国海洋映画の座標を読んでみた。

海洋映画が「ブロックバスター」に昇格するまで

最初期の映画は海の奥深さに魅了された。何らの音も聞こえない隔離性、しかし無数の生命体が五色燦爛として輝く神秘さは、映画監督らに霊感を吹き込んだ。

1954年にリチャード・フライシャー監督は『海底二万哩』を通じて、人間が到達できない海の世界をこめようとした。リュック・ベッソン監督の『グラン・ブルー』(1988)は、海から人間の内面への省察を試みる。人間の限界に挑戦するダイバーたちの実存的な悩みは、穏やかな海の映像と一体となって穏やかな感動を作り出した。

海の映画は『タイタニック』(1997)を起点に、勇壮な大叙事詩に昇格される。海は人間をちっぽけなものにする災難の空間としておあつらえむきだった。天文学的な製作費が投入された映画は公開当時、全世界的に21億8537万ドル(約2兆2465億ウォン)を稼ぎあげた。海をあつかった映画の中で最高の興行成績だ。

映画は海の偉大さと恐怖をリアルに再現した。恐怖を醸し出す深海、快適な船になにはばかることなく入り込む波は、観客の心臓を凍りつかせた。ジェームズ・キャメロン監督は、恐ろしい自然災害の前で咲く人間の愛と犠牲を逃さなかった。

豪華クルーズの座礁を描いた『ポセイドン』(2006)、海に出没したエイリアンと戦う『バトルシップ』(2012)などは海洋ブロックバスターの系譜を継ぐ。現在、4編まで制作された映画『パイレーツ・オブ・カリビアン』シリーズは、既存の海洋ブロックバスターが固守した重い色彩を捨てた海洋冒険物だ。映画のモチーフとなったディズニーランドの乗り物のように、風を切り裂く快感とむさくるしい暑さを吹き飛ばす清涼感が魅力だ。キャプテン・ジャック・スパロウ(ジョニー・デップ)のウィットと、船上での洗練されたアクションは冒険の欲望を充足させる。第2編の『デッドマンズ・チェスト』(2006)は、世界で最も多い興行収入をすばやく稼いだ映画として記録されている。

製作規模が大きくなった韓国映画街にも「海洋時代」

韓国映画版で「海」は禁忌の言葉だった。撮影があまりにもめんどうで製作費がかかる一方で、しかし興行可能性は低いからだ。当時としては破格的に70%以上を海で撮影した『胸に埋めたナイフで悲しみを切って』(1992年)はしっかりとした試みが色を失うほどスクリーンで惨敗した。純粋な制作費だけでも150億ウォンが投入された『<台風』(2005)は、めったにみれない船上アクションで話題になった。しかし、スター監督クァク・キョンテク、トップ俳優イ・ジョンジェとチャン・ドンゴンが加わったにもかかわらず、約400万人を集めて寂しく退場した。

2009年の海洋パニック映画『TSUNAMI』が1000万人をこえて集め、そこそこ体面を整えた。釜山に津波がおおった中で、家族と国を守るために善良な市民の多様な群像をこめた映画は、国内の海洋映画では最初に驚くべき成功を記録した。しかし、その後『TSUNAMI』を超える作品は現れなかった。

今年からは気流が変わった。この夏、国内劇場街は青い光でゆらめいている。先月30日、李舜臣将軍の鳴梁海戦を扱った『鳴梁(ミョンリャン)』が封切りになり、海上アドベンチャーものの『海賊(海賊:海に行った山賊)』が6日に、茫々たる大海に漂流した船員たちの生存記を盛り込んだ『ヘム(海霧)』が13日、観客にお目見えする。

海洋映画の完成度は、映画産業の全般的なレベルを示す指標として読まれる。基本的に多くの金がかかるジャンルだからだ。映画撮影技術・制作費・演出力のすべてが裏付けされなければならない。

昨年には2億人が劇場を訪れるなど、韓国映画産業は飛躍的に発展し、100億ウォン前後(純制作費)の制作費に耐えられる余力が生じ、各製作社は新たな冒険の場として海を選んだ。『海賊(海賊:海に行った山賊)』の純制作費は130億ウォンで『鳴梁(ミョンリャン)』は148億ウォン、『ヘム(海霧)』は73億ウォンだ。

金はぞんざいに使われなかった。韓国映画のレベルに改めて感心するほど画面の色合いがいい。映画の後半1時間以上、迫真感あふれる海上戦闘シーンを盛り込んだ『鳴梁(ミョンリャン)』を見ると、全羅道の光陽に建てられた海戦セットの前であいた口がふさがらない。船が壊れ波濤がはじけ、船の上にうねる水流が鮮やかだ。水の流れを生み出す「ウォーターキャノン」技術の力だと制作会社は明らかにした。

『海賊(海賊:海に行った山賊)』は「海には出ないようにしよう」という撮影原則を立て、低コスト・高効率でエメラルド色の海を演出した。海の全体分量の80%がCGで再現されたが、リアリティは落ちない。カメラからの距離別に複数の海面を混合して使用する技法で、海の千変万化を表現した。

ヘム(海霧)』は海をCGなしで、実写でまかなった。水の流れが強いことで噂の海だけを選んで撮影した。緑と青の色が玄妙に混ざっている神秘さをカメラに収めた。『ヘム(海霧)』を見ると魚のなま臭みを嗅いだように、顔をしかめることになる。人間を締め付ける荒々しい波濤が、スクリーンを突き抜けて溢れ出るようだ。製作陣はリアルな画面のために、波濤ジェネレータを自主制作したと説明した。
  • 毎日経済_イ・ソンヒ記者 | (C) mk.co.kr
  • 入力 2014-08-01 16:00:11




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